──そんなに楽器演奏にはまりましたか。世間では踊れるシンガーというイメージが強いですが。
もともと、ライブ中にバンドがセッションしている時間も好きだったんですよ。ミュージシャン同士が目を合わせて演奏している姿を見て、こういうのがライブの楽しさだよなと思っていて。そういう時間をこれから、もっと実現していけたらいいなと思ってますね。……そういえば、小田さんのライブを見ながら考えていたんです。フォークソング全盛の時代に、小田さんのカリスマ性に惹かれた人たちがファンになって、お互いにいろんな人生を歩み、歳も重ねて、今また、手拍子したり、一緒に歌ったり、熱き気持ちになったりしてる。いろんな年代を超えて、ずっと応援され続けてる小田さんの姿を見て、ミュージシシャン、アーティストとして素晴らしいなと心から感動して。私が売れたのは、ちょうどアイドル全盛の時代だったので、どうしても世間ではそういうイメージがありますけど、私ももうそんな年齢ではないし(笑)、お客さんも歳を重ねているので、今の自分たちに見合った音楽の楽しみ方をライブでも提供できたらなって思ってますね。
──東名阪を回るライブツアーが決定してますが、どんなツアーになりそうですか?
30周年の時は、デビューからの歩みを振り返りつつ、『ディア・ポップシンガー』というアルバムを引っさげてのライブだったので、今度のライブはもうちょっとロックっぽい感じにできたらいいなと思ってますね。ちょっと飛ばしていこうかなって。
──練習しているアコギの弾き語りとかも?
やりたいですね。度胸だけはあるので、毎回、チャレンジするようにしていて。やっぱり、お客さんの前で弾くっていう目標があった方が自分もモチベーションが上がりますから。スリル満点ですけど(笑)、失敗しようがしまいが、なんとも言えない緊張感が大好きです。
──先ほど「今の自分たちに見合った楽しみ方」というお話がありましたが、お客さんにはどんな気持ちで来て欲しいですか?
今回はとにかく、シンプルに歌に寄って、歌うことをどれだけ表現できるかなっていうことだけを考えていて。私のことをいい意味で、アイドルって言ってくださるのは嬉しいし、今でも<荻野目ちゃん>って呼んでくださることはすごくありがたいなと思っているんですね。でも、音楽においては、アイドルという枠にはとらわれたくないなと思ってて。例えば、今、活躍しているBABYMETALさんもサウンドが骨太だったりしますよね。そういう意味では、今回のツアーで、荻野目洋子の音楽性というものをちゃんと伝えたいし、当時のレコードやCDを持っていようがいまいが、その時、その場所で聴いたお客さんが<この曲ってこんなにいい曲だったんだな>って感じてもらえるようなライブをしたいなと思います。