前向きなマインドでもありつつ「この時代がいつまで続くんだろう?」という、もやっとした雰囲気も出したくて。この曲を最後に持ってくることで余韻を残したかったんですよね。わたしも歌詞を書きながら、現状に息苦しさを感じながら「いつか明ける時が来る」と信じつつも、実際どうなっていくんだろう……という気持ちを抱えていて。そういう矛盾を言葉にも落とし込めたかなって。今のわたしの素直な気持ちが、いちばん歌詞に出てるかな。
あははは、そうですね。最近は失恋や恋の苦しみをテーマにした曲が多かったんですけど、自分が結婚したこともあって「美しい時間」はあたたかい曲になったかな。あと、やっぱり2020年で大事な人たちに会う機会が減ってしまったことが影響していると思います。人とごはんを食べたり、お仕事をすることがこんなにも尊いことだったんだな……と気付かされた期間だったので、いろんな人との“美しい時間”の尊さを忘れずにいきていきたいなという思いを込めて、恋愛に落とし込んでいきましたね。今までわたしが書いた失恋ソングの女の子たちも報われる曲になってほしいなと思いつつ。
この曲はなかなか歌詞が書けない時期が長かったんですけど、“美しい時間”という言葉がパッと思いついてからは何も考えずに書き進めたんです。なんで一人称を僕にしたのかも覚えていなくて。日本語の綺麗な歌詞を書きたいなと思っていた時だったので、ただただ夢中になって書いちゃったんですよね。これからの季節、晴れた昼間に「今日はあったかいね」なんて言いながら聴いてもらえたら、幸せな気持ちになれるんじゃないかな。音数が少ないぶん、より歌詞から感じる情景も引き立つんじゃないかなと思っています。
コーラスワークはドリーミーな感じと果敢無げな雰囲気、女性の強さが出せるので、『Love Me』から引き続きこだわってますね。変わったハモを作ったり、よーく聴くと後ろにめちゃくちゃ厚いコーラスが入ってたりするんです。録るのはすごく大変なんですけど(笑)。主メロよりもハモを録ってる時間のほうが全然長くて。主メロ録ってからが勝負!(笑)。
そうそう、どこにハモを入れるか、どこにフェイクを入れるか、どのキーでハモるか、言葉は「ウー」なのか「ラー」なのか「ハー」なのか……。一つひとつボーカルディレクターの方と一緒に勉強しつつ作っていきました。頑張りましたね(笑)。細かいところまで聴いてくれる方がいると報われます(笑)。
「PINK」は《SATC》とか《R.M.T.T》とか、わかる人だけわかればいい面白い歌詞を入れ込んでみました(笑)。「ライブができる!」という喜びや高揚が、恋している時に似てるな、という発送から始まった曲で、ライブハウスで生の音に触れた時に感じる「音楽ってこんなに楽しくてきゅんとするものなんだ!」という気持ちから歌詞を書きました。実はこの曲、トラック自体は『Love Me』の頃からあったんですよ。
マネージャーさんは『Love Me』の時にこの曲を入れたいと言ってくれたんですけど、わたしが「今のわたしがこの2ステップを歌うのは早いんじゃないかな。お客さんがびっくりしちゃう可能性があるから、ひとまず寝かせたい」とお願いしたんです。なので2年越しに世に出せるんですよね。1番と2番のメロが違ったり、聴いていて楽しい曲じゃないかな。PARKGOLFさんのポップだけどエッジが効いた感じが、わたしのやりたいイメージと合致しました。「dress」も本番Recで「もっとかっこよくしたい!」と思って、急遽キーを下げて。この曲もすごく気に入ってますね……というか全曲すっごく気に入っているんです(笑)。
いろんな方々にトラックを作っていただいているぶん、トラックの良さを生かしたいんです。その気持ちで歌を乗せて返すと、みなさんわたしの歌に応えるようにトラックを変えてくださるんですよね。みんなが一つひとつ重ねていくことでどんどん曲が出来上がっていく――そのラリーが今作めちゃくちゃ楽しかったんです。
なっていましたね。今年の5月の企画ライブが急遽配信のみになったんですけど(※2021年5月の「MAKE MY DAY vol.8」)、それが決まったのが4日前くらいだったんです。「このまま中止にしたくない。スタッフもみんなスケジュールを押さえているから、配信ライブに切り替えよう」と急ピッチで用意をしてくれて、そのうえで実現した配信ライブだったんですよね。こんなにもいろんな人が動いて、いいものを作ろうとしてくれていることが、本当にうれしかったし力になったんです。
うんうん。いつの間にかこんなに味方がついてくれてたんだ! と救いになりました。いろんな人と制作をしていくと自分だけではできないことが実現できるので、本当にありがたくて。いただいた曲をいかに最大限にかっこよくできるかを第一に考えて制作できたし、『flower(s)』は1st、2ndの経験を踏まえた集大成として作れた感覚がありますね。
いちばん納得がいく作品に仕上げること、一切妥協しないで作ることを目標にしていて、『flower(s)』はわたしだけでなく、チーム全体でそういうアルバムになったと実感しているし、それをかたちに出来たことがものすごくうれしいんです。わたしもお花屋さんで知らなかったお花に出会うことも多いので、聴いてくれる人にとって、『flower(s)』の楽曲が、1輪でも、1束でもそんな存在になってくれたらうれしいな。
昔は「作っていただけるだけでうれしい」というスタンスだったんですけど、最近は「こういうことがしたい」という要望を遠慮せずにいろんな人に言えるようになったんです。シンセの音選び、コーラスの入れ方……こんなに自分の意見を反映できた作品は初めてかも。いろんな作家さんの力があって、妥協なく好き勝手に作品を作れました。曲作りのやり方を掴めたからこそひとつの区切りを迎えられて、次にやりたいこともいろいろと浮かんできているんです。年内に進めたいんだけどどうかな……? だから来年以降も止めずにどんどん曲作りをしていきたいと思っていますね。
うんうん、そうですね。福岡と大阪は4人編成、東京は5人のフルバンド編成でライブをする予定です。このインタビューの段階では配信ライブで「美しい時間」をバンドセットで披露したくらいなので、11月の頭から短期集中型でリハに入るんですけど……。まだセットリストを考えている段階なんですよね……(笑)。アルバムの新曲をどう配置しようか、今までの曲とどう混ぜようか、ものすごく悩んでいるんです。
そうだったらうれしいな。『Love Me』を作った時とはやりたいことも少し変わっているので、過去曲もライブアレンジをしたいですし、ツアーファイナルのWWW Xはとにかく音がいい会場なので、5人でその良さを生かしたライブができたらいいなと思っています。とにかくめちゃくちゃ満足のいくアルバムを作れたので、初日の11月14日・福岡でお客さんの反応が初めて見られるのが本当に楽しみ! 早くツアー回りたいですね。
PRESENT
サイン&メッセージ入りチェキを2名様
※転載禁止
受付は終了しました