この曲も6、7年前に作った曲です。作ったのは50代ですね。作ったのはいいけれど、こっぱずかしくて歌えなくなった(笑)。以前から言ってるんですが、10代、20代の頃に恋愛の歌を歌うのはきれいだと。聴いてる方も気持ちがいい。30代の恋愛になると、深読みして聴くような恋愛の歌になってくる。40代になると、純粋な気持ちで歌っても、純粋だと受け取ってもらえなくなる。50代になると、歌っているほうがどれだけ純粋な気持ちで歌っていても、気持ち悪いと(笑)。
いやいや、歌うその姿自体が無理だと(笑)。そういう状況を客観視した時に、歌えなくなったんですよ。こういう歌を自分が歌ったら、リスナーはどう受け止めるんだろう、これは無理だろうと思ったんです。ところが60代になって還暦を迎えると、若い頃を振り返ってその時の気持ちになって歌うも良し、純粋に歌として表現するも良しで、ラブソングを歌うことが素敵な年代に入ったんじゃないかと感じました。だから今回、歌えたんです。昨年リリースしたアルバム『Breath of Bless』の中に「どうしたの?」というラブソングが入っていて、あの曲がきっかけになりました。これからまたラブソングを歌えるんじゃないかという気がしました。今はまた戻ってきたなと感じています。
昨年のツアーで熊本と大阪が延期になって、このままできなくなるんじゃないかなと思った時に、ストリングスチームのリーダーに電話して、「次のツアー、またお願い」って頼んだんですよ。「三位一体の形態でもう1回やるからね」って。それが今年の初めです。そうしたらものすごく喜んでくれました。ストリングスチームが集まった時にも、「またやりたいね」ってみんなで言いあっていたんですって。お客さんも、ここ何十年、あんなに喜んでもらえたツアーはなかったんじゃないかというくらい、みんな、喜んでくれました。CHAGE and ASKAでは映画で始まって映画で終わるツアーなど、企画的な良さが際立っていたツアーはありましたが、あれとは別の次元で、ここ何十年ではいちばんお客さんが反応してくれたツアーだと思います。
ストリングスチームの参加、大成功でしたね。クラシック畑の人たちでありながら、彼女たちはピックアップマイクを受け入れてくれたんですよ。ひとつひとつの楽器に付けてくれたので、音がガンと来るし、その音がロックサウンドと一体になってくれるし、これは大正解だったなと感じました。彼女たちも驚いていました。集団であんなことをしたことがなかったので、新鮮な体験になったようです。ストリングスがバンドサウンドの中にしっかり入り込んでいて、その演奏を背景に歌うのはとても気持ちのいいものでした。ツアーをやっている最中もなんとか最後までやり切りたいと思っていたんですが、2か所中止になってしまったこともあって、アンコール公演をやろうと早い段階で決めていました。
そこなんですよ、本当にそこは考えました。繋げるってことですね。ただしアンコール公演と言いながら、セットリストはかなり変わります。でもアンコール公演という意味合いは確実にあるんですよ。前のツアーのハイライトになっていたシーンはうまい具合に入れていこうと考えています。
前回失敗したことが一個ありまして。それは歌謡曲のカバーを入れなかったこと。次は入れて、飛ばしていきます(笑)。
誰もが知っている日本の歌謡曲の名曲を今のシンガーが今の音でカバーするのがいいんですよ。本気でやってます。そして思いっきり楽しんでます(笑)。
今度のツアー、楽しみでしかないです。なんたってあの空間ですから。みんなで楽しむしかない。みんなで楽しむことがマイナスなことに対するバリアにもなるだろうし、全身で楽しむことで免疫力も上がるんじゃないかって思っています。