ベースだけでどこまで喜怒哀楽みたいなものが表現できるかなっていうのが、今回の“公園作り”のテーマでした(藤本)
──藤本さんはいかがでした?ベースだけどめちゃくちゃ歌っている、そんなプレイが痛快でした。
藤本弾きまくりましたね。私は歌を歌っているわけじゃないですけど、音階はある。指のタッチとかでもすごく変わってくるわけで、ベースだけでどこまで喜怒哀楽みたいなものが表現できるかなっていうのが、今回の“公園作り”のテーマでした。
──公園作り!
藤本今回、公園づくり感がありましたね。みんなで設営から最後の色塗りまでやったって感じ。ここに滑り台があったらいいよねとか、ここにベンチがあったらいいよねみたいなイメージで、ひとつの公園ができた感じがします。公園って、すごくいい場所だなって思うんですよ。小さい子供から世間をさまようアラサーもいて(笑)、だけどただそこにあるものっていうか。で、誰のものでもない。でもみんなを癒してくれたり、遊べたりして、いいなあって。そういうアルバムになってくれたら嬉しいっていう気持ちは芽生えましたね、これが完成した時に。
──その公園作りというのは、「THE PARK」というタイトルありきのテーマだったんですか?
藤本今回、タイトルは先に決まってたよね?
津野内容が決まりきる直前に。アイディアとしてはずっとあったんですけどね。
藤本いつかセルフタイトルをつけたいね、みたいなことは前から話してたので。
──じゃあ今回、そのタイミングが来た、と。
藤本必然なのか、偶然なのかはわからないですけど。
津野でも清々しい気持ちですよ、とっても。考えたのはバンドを組んだ時からで、たぶんそう思ってるバンドマンってかなり多いと思うんですけどね。セルフタイトルってどんな感じなんだろうなっていうのはぼんやりとありましたけど、それで行こうと思う機会もなくここまでやってきて。赤い公園という名前を残して、再出発で4人で新しいバンドになって、気づいたら自分の中から「これどうかな」って言ってた感じでした。なんか今回は、そういうことが多かったんですよね。自然と、とか、気づいたら、とか。
──それは楽曲に関してもですか?
津野そうですね。「絶対零度」という曲がTVアニメ「空挺ドラゴンズ」のエンディングテーマとして使ってもらえたこともそうだし、逆に、録ったんだけど自然の流れで入れないことになった曲も数曲あるし。最終的に収録された曲でも、ライブで披露していたものとはアレンジが全然変わっていたりとか。
歌川「ジャンキー」とかも結構最初の方にレコーディングして、年末のツアーでもやったんですけど、ツアーしてても変わってた。
津野「Unite」とかもね。デモの段階からライブまでにめちゃくちゃ変わって、レコーディングでまた変わってとか。どっちがいい悪いじゃなく、そういうのも全部流れなんですよね。デモの音源のタイミングで録ってたらこのアレンジは生まれなかったし、ツアーやったから演奏もアレンジも全然変わったしとか。
藤本そうだね。「絶対零度」も、今すでにライブでまたアレンジが変わったりしているし。
津野結局バンド生活をしていく上で、どこかでしおりを挟むというか、そういう感覚に近かったかもしれないですね。それが今回は、ここまでで「THE PARK」だったっていう。
すごくピースフルな印象ですが、弱さと強さの両方を持っている感じが引き出された曲なんじゃないかなと思います(石野)
──なるほど。ちなみに「KILT OF MANTRA」もライブで披露されているんですよね。
津野この曲は、(石野以外の)3人の時に1回だけやってて。で、押し入れに入れてホコリかぶってたんですけど…。
歌川引っ張り出してきた。「あ、理子の声で聴きたい」と思って。
藤本割とみんな一致してたよね。これは「THE PARK」に合うんじゃないかなって。
石野この曲はすごくピースフルな印象になっていると思うんです。だけど、歌詞の中にいる主人公は、胸を張っていて勇敢なんだけど、すごく脆さもあるというか。その弱さと強さの両方を持っている感じが引き出された曲なんじゃないかなと思います。
──しっかりした解釈ですね。石野さん、本当に10代ですか(笑)?
歌川やっぱり(笑)。
藤本サバ読み説が濃厚になってきましたね。少女の肉体を借りた35歳かも。人生1回目ではないよね(笑)。
歌川そんな気がする。
石野このタイトルって、歌詞の中にも散りばめられているんですけど、キルトとかタータンとか、イングランドの方(の民族衣装など)を想像すると思うんですけど、現代の、ちょっと軍歌じゃないけど、私達なりの軍歌みたいな曲でもあるんじゃないかなと思っていて。
津野めちゃくちゃわかりやすい。
歌川腑に落ちる。
石野これからも、心にそっと寄り添ってくれる感じはあるなと解釈しています。
──「chiffon girl feat.Pecori(ODD Foot Works)」はどういうきっかけだったんですか?
津野この曲ができて、仮歌を録る段階でフィーチャリングも良さそうだなって話になって。この曲はラブソングなんだけど、そういえばラブソングを書くのがとても上手な人がいるなと思ってPecoriくん(ODD Foot Works)に声をかけさせてもらいました。
石野これ、ライブは大変です。
津野考えると、ちょっと胃が痛くなる(笑)。
藤本今回に限ったことじゃないけどね。
歌川いつもそう。
津野終わって結局は「めっちゃ楽しかったー!」っていう。
──アルバムを締めくくる「yumeutsutsu」は、もうなんだか泣けて泣けて。
津野これは一番最後に作った曲なんです。当初10曲目の「KILT OF MANTRA」で終わろうみたいな話もあったんですけど、もう1曲作ってみないかって言われて。全然物足りなくはないんだけど、もう1曲って思った人がいる中で突破するのもなんか自分の中でモヤッとする部分があって、血ヘド吐きながら作りました。アレンジも大変で。だからここには、私達の血痕が随所随所に(笑)。
藤本念がこもってる。
──この曲を理子さんが歌うことが、どれだけパーフェクトなことかと思えました。
津野うん、そうですね。この曲、レコーディングしてマスタリングも完成して、この曲でやっと、ずーっと傍にあった私達にとっての1stアルバム作りがやっと終わったっていうふうに思いました。
歌川ほんとだね。
津野「イエーイ」で終わるもんね、このアルバム。
歌川天晴。
石野この曲は誰でも主人公になれちゃいますよ。
津野いいこと言う!
歌川いい言葉。
津野色々と録っている途中は、その曲をどういう形で発売するかみたいなものはかっちり決まっていなかったんですよ。シングルにするのか、アルバムに入れるのかとか。だからアルバムがこの11曲になるって決まったのは、割と最近のことで。だからこの曲ができて、最後のまとめ作業ができて、今、体がすごく健康な状態なんですよね。「赤い公園だ」って、思えています。
明日に向かって柔らかく、ちゃんと飛び込んでいく勇気みたいなものを今はこの4人で提示できている(津野)
──そのアルバムを持って、いよいよツアーも始まります。初日は初のホール公演、LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)です。
藤本まだ全貌は見えてないけど、やりたいことはすごくあって。「あら、こんな赤い公園見たことない」「こんなステージ見たことない」っていうものをお届けできるように、今からみんなで“ねるねるねるね”していきます。
石野次のツアーの時までに、もっともっと成長できていたらいいなと思います。
歌川ホールということで物理的にやれることは増えるかもしれないけど、ライブハウスでも全部同じ気持ちでいたいなと思います。ホールだから特別ってことじゃなくね。
津野私はLINE CUBE SHIBUYAになってから、まだ会場に行ったことがないんですが、(以前の)渋谷公会堂っていうものに、すごく思い入れがある方もたくさんいらっしゃると思うんですね。でもLINE CUBE SHIBUYAは、きっと今の時代のいろんな技術を使って、これからの音楽のために新しく作られた場所で。そういう場所でできるっていうのが、すごくいいなと思っています。メンバーが抜けて理子と一緒にもう1回バンドを始めた私達にとっても、このアルバムを作れたこととも、これからのツアーにとってもすごく相性がいいと思うし、まず否定するんじゃなくて、明日に向かって柔らかく、ちゃんと飛び込んでいく勇気みたいなものを今はこの4人で提示できているかなって思うから。そして、そうやって飛び込んでいく姿を見て、勇気を持ってもらえたら嬉しい。お父さん・お母さん世代も若い子も、一緒にワクワクしながら新しい時代に行けたらいいなという気持ちで、さっきお話しした「yumeutsutsu」という曲も書きました。新しいLINE CUBE SHIBUYAで、新しい赤い公園を、初めて見に来る方も一緒に楽しんでいただけたらと思います。で、そこからライブハウス、回ってきます!
──「SHOKA TOUR」ということで、ぜひ初夏の浮き足立つ気分を感じながら赤い公園を追いかけて欲しいなと思います。
津野うん、求めて欲しいです。私たちも、求めます!
PRESENT
直筆サイン入り、アルバム『THE PARK』のポスターを1名様に!
※転載禁止
受付は終了しました