人間的にかっこよかったら出てくるものもかっこよくなるんじゃないかなと最近思ってます(黒川)
──制作やライブを通してお互いの理解度が深まって、3作目というタイミングだからできることでもあるのかな?と思いました。
田中たしかに。翔平の考えていることにはある程度方程式や流れがあるから、「いままでの傾向からするとここに余分なものを入れるのは良くないな」みたいにある程度予想が立てられて。そのうえで自分のセンスで返すことができましたね。だから『ES』にはすごく自信が持ててるんです。
黒川うんうん。自分がいいと思った範囲内で(古閑に対して)「こういうのが好きなんでしょ?」って狙っていく感じだね(笑)
田中そうそう(笑)。そこで「いいね!」と言ってもらったら、「してやった!」みたいな(笑)。そういう楽しさがありましたね。
黒川「全然違う」と言われることもめっちゃあるんですけどね(笑)。
田中枕を濡らした夜もありました(笑)。翔平はそういう気難しい面もあるんですけど、どこか抜けてるところがあるロマンチストなんですよね(笑)。そういう翔平だから作れる楽曲やアレンジだと思うし、やりたいことを作品にすぐ生かせる力があるので尊敬している。だからこそ僕らも新しいことができるんですよね。
──そうですね。『ES』を聴いている感じ、古閑さんも過去2作より表現したいものが明確にあったうえで曲作りにあたってるんだろうなと。「風景の一部」のようなやわらかい歌ものの曲で締めくくるのも、次章のインタールードなのかな?と思いました。
田中こういう曲で締めくくるところも、翔平のロマンチストなこだわりを感じますね(笑)。その翔平らしさがみんなのセンスとごちゃ混ぜになりつつ、みんなでまとめあげて――それがユアネスらしさになっていくのかなと思っています。僕らみんな「俺がいちばんかっこいいぜ!」と思ってなくて(笑)。もちろんプライドはあるんですけど、誰かを蹴落としてまで上に立とうとする気持ちはないので、この4人でいるときに気を張らなくていいんです。音楽がしたいから音楽ができてる。このスタンスを守り抜いていきたいんですよね。作品もしっかり1枚1枚作っていきたいんです。
──『ES』を制作したことは、だいぶバンドにとっていい影響がありそうですね。
田中過去2作でいろいろ実験をしたり足掻いたりしたぶん、僕個人としては今作で冷静になれたところがあるんです。自分を出したい場面があれば出せる自信があるぶん、楽曲に対してベストなアプローチができるようになったかなって。もしかしたら昔から聴いてくださっている人で「もっとごりごりしたサウンドが聴きたかった」「インディーズ時代の曲のほうが好き」と思う人もいるかもしれないけど、それらすべての要素は今の僕らのスタイルのなかにもちゃんと残ってる。そういうものが欲しい時はその時代の曲を聴いてほしいし、今後過去の要素が出てこないことはまず有り得ない。「音楽を長いスパンで楽しみたい」という僕らの想いが届いてくれたらうれしいですね。
偶然や奇跡、お客さんに頼るだけではなく、音源に出せない味みたいなものを感じられる演奏をしたい(田中)
──ライブに行けば過去曲も聴けますし。
田中そうですね。ライブは音もごりっとしてますので(笑)。
──たしかに(笑)。黒川さんはいかがですか?
黒川最初はポエトリーリーディングとか恥ずかしいなってちょっと思ってたんです。でも実際やってみたものを聴いたら「案外かっこいいじゃん」と思って(笑)。それまでの僕は、嫌われたくない、邪魔になりたくないから、当たり障りのないことをしていた気もするんです。でも人ともの作りをしていくうちに、自分以外の人の気持ちを考えるようにもなったし、「自分の言葉で気持ちを出すのは大切なことなんだな」「素直に気持ちを出してみるのもいいものだな」と思えるようになりました。
田中素直なほうがお互い楽しいしね。
黒川でも難しいけどね(苦笑)。
田中わかる(笑)。だから無理しないようにしよう。黒ちゃんが考えすぎちゃうのも仕方のないことだ(笑)。
──そういう複雑なものを持っている人だから、あれだけ琴線に触れる歌を歌えるのだろうなと思います。
黒川「音程が取れていればそれでいいというわけではない」ということはいろんな人の歌を聴いてわかったので、人間的にかっこよかったら出てくるものもかっこよくなるんじゃないかなと最近思ってます。僕はそれだけです!
田中素敵なことを聞けました(笑)。
──「One Man Live Tour 2020 "ES"」も充実の内容になること間違いなしでは?
田中今作だけでもいろんな色があるし、「この曲はライブでどんな化け方をするんだろう?」と思いながら楽しみにしてほしいし、実際に見て「お、ここ音源とこういうふうに変えてきた!」みたいに楽しんでほしいです。人力で再現不可能なところが、僕らの腕の見せどころですね。
黒川ステージに立っている人間の表情が見えるだけで、曲の聴こえ方もだいぶ違うと思うんです。曲の良さをより濃く出せるのが、ユアネスにとってのライブだと思ってますね。それが来てくれるお客さんにより伝わったらうれしいです。
田中そんなこと言うと黒ちゃんじっくり顔見られるよ(笑)。
黒川わーそれはちょっと恥ずかしい!(笑)。曲の良さをしっかり出して、過去作とつながった世界観をセットリストで作って、曲の流れでも楽しんでもらえるライブにしたいです。大きい会場はすごいし気持ちいいけど、それだけだと独りよがりになっちゃうし、お金を払ってライブに行くことがどれだけのことか僕らもわかっているつもりだし。どれだけ楽しんでもらえるかが大切だなと思っています。
田中ライブは自分たちで考えて作り上げたものしか出ないからね。僕らが演奏をして、それがお客さんにどう捉えられるかというだけのところだと思う。偶然や奇跡、お客さんに頼るだけではなく、音源に出せない味みたいなものを感じられる演奏をしたいですね。ツアーに限らず、前でも後ろでも端っこでも、音が届いている範囲には同じ気持ちになってもらえるライブにしたいと思っています。
PRESENT
直筆サイン入りポスターを1名様に!
※転載禁止
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