10thシングル「Lies or not?」では、これまでになくアグレッシブで激しい演奏を展開しているアンフィル。今年の年末まで続くワンマンツアー『anfiel WINTER LIVE TOUR 2019 「LiES OR NOT?」』の手応えと、年明け1月に恵比寿LIQUIDROOMで予定されている5周年ライブに向けての気合いを訊いた。
曲と歌詞、ビジュアルイメージのトータルで表現するっていうのは毎回意識してます(翔梧)
──3曲ともそれぞれカラーがはっきりしていて、聴き応えのあるシングルですね。
未月(Gt)今回はライブを意識した、攻撃的なシングルを作ろうということで、リード曲の「Lies or not?」はバンドとしてカッコいいものを提示しようというコンセプトで制作しました。
yukito(Gt)カッコいい曲というのは前から目指しているんですけど、今回はより激しく、楽器隊もより際立つようなフレーズだったり。なので、歌のメロディーもおのずと高くなるし、けっこう挑戦しましたね。ドラムはすごく派手にしたり、ギターも休みないくらいに弾いていたり。“限界突破”っていうワードをよく使うんですけど、今回はもうみんなすごいです。
──具体的にはどんなアプローチを?
ハル(Dr)デモの段階で、ドラムは手足が5本ずつくらいないと叩けないフレーズなんですよ(笑)。まずそこを一回分解して組み立て直すところから始まって。もちろんyukitoが考えてきたフィルも使うんですけど、テンポも速いし手数も多いので、そこがいちばん苦労しましたね。多分今まででいちばん派手なドラムなんじゃないかなと思います。
棗(Ba)今回はベースも派手に行きたいなと思って。yukitoが作った曲のデモからイントロを拝借して、あとは自分の思うがままにフレーズを詰め込んで。スラップを入れてみたり、上物をちょこっと入れてみたり。イメージしていたベースラインが弾けたんじゃないかなと思います。キッズに戻ったつもりで詰め込みました。
未月(Gt)ギターに関しては、リードはyukitoさんに任せて、僕は割とバッキングを弾いてるので、苦労はあまりなかったかなと思います。ただ、テンポ200くらいでダウンピッキングとかしてるとライブが大変だなって。腱鞘炎になっちゃいそうで、力み過ぎないようにやってます。
yukito(Gt)もともと自分は歌を際立たせようというタイプなんですけど、今回はギターもド派手にしちゃおうということで、サビ部分も単音のフレーズがバリバリ入っていて。ギターソロも今回すごく難しいことをしてるんですけど、バッキングも休みがないのでライブでは大変です(笑)。
翔梧(Vo)5年間のアンフィルのボーカルとしての人生を詰め込んだなって感じがしてます。yukitoが作るメロディーって良くも悪くもすごくきれいなんですよ。でも、今回はカッコいい歌を乗せたかったので、あまり動かない旋律っていうか、話し合ってストレートに歌うように変えたり。汚しの部分もけっこう入れてますね。2年前くらいから、叫んだりシャウトっぽいことをするようになったんですけど。そういうエッセンスをちょっと入れてみようとか。
──歌詞はどんなイメージで?
翔梧(Vo)今までいろんな衣装を着てきましたけど、今回は黒と金くらいの無彩色な感じで。なので、色がないイメージっていうと白と黒、嘘と真実かなって。曲とビジュアルイメージと歌詞のトータルで表現するっていうのは毎回意識してます。今回、曲もメロディーも歌もそうですけど、“汚し”を入れたくて。ここ1年間くらい“綺麗事”って歌詞をけっこう使っていて。綺麗事ばっかりじゃやっていけないよなっていうのがマイブームだったので、“夢は絶対かなうよ”みたいな歌詞じゃないものを書きたくて。そのほうが歪んだギターにも合うし、激しいドラムにも合うかなとか。
──カップリング曲「Q」は詞も曲も未月さんの作品ですが、またガラッと印象が違う曲ですね。
未月(Gt)この曲はけっこうポップですね。曲作りに行き詰まってた時、気分転換で軽快なカッティングのギターと四つ打ちのドラムで、っていうのを息抜きがてら作ったものなんですよ。
──既に今回のツアーでは演奏してるんですか?
未月(Gt)はい、けっこう好評ですね。聴いてけっこう絵が浮かぶと思うんですけど、タテノリのジャンプとかで盛り上がる曲になってきましたね。
──「whisper bell」は季節的にぴったりの曲ですね。
未月(Gt)クリスマスライブが12月23日にありまして。何か似合う曲を作れたらいいなと思って、そこを意識して作った部分もあります。こういうアレンジ、こういうメロディーにしたらクリスマスっぽいなって考えながら。この曲を聴いて、次の年の12月も楽しみにできたらなっていう意味も込めて。
翔梧(Vo)大サビで、声が10人くらいいるんです。僕が6人で、あとはメンバー4人で。みんなで歌ったハーモニーを重ねてるんですけど、そういう初の試みをしていて。
未月(Gt)プリプロの時にメンバー全員で歌ってみたりしたんですけど、それがちょっとジャニーズっぽくて(笑)。すごい楽しかったです。
翔梧(Vo)CDを出すたび、毎回何かに挑戦してるんですけど、今回は全員が歌って、しかもハモるっていう。今まで、怒号みたいのはあったんですけど、歌うっていうのは初めてです。最後のフェイドアウトしていくところは歌が残る感じなんですけど、どの高さで誰が歌ってるかを聴き分けてもらったら面白いと思います。
歌ってて自分が泣けちゃうくらいの歌じゃないと、他人に聴かせる意味はないと思う(翔梧)
──敢行中のツアー『anfiel WINTER LIVE TOUR 2019 「LiES OR NOT?」』は全15本と今まででいちばん本数が多いそうですね。
翔梧(Vo)5年分のアンフィルを見せるというよりは、5年間があったからこその今のアンフィルを見せるという感じでやってます。ライブの定番曲はもちろんありますけど、今のアンフィルを見てもらいたい。そこに刺さる昔の曲をどう組み込めるかを考えつつ。
──初めて行った場所とか、ツアーの手応えはどうですか?
yukito(Gt)僕、地元が北海道で。出身は函館なんですけど、札幌で初めてワンマンができるっていうのですごい気合いが入ってて。僕の中では初日からすごい盛り上がりでしたね。一人でソロを弾いたりとかの見せ場を作ってもらったり。昨日の柏も楽しかったですし、自分らもファンのみんなも本当に楽しんでるっていうパフォーマンスができてます。
未月(Gt)わりと僕、ライブ中は細かいことを全然考えないタイプで。無我夢中で動いたりするんですけど、今回はより曲に入り込める雰囲気でライブができてます。ファンの人たちにもそれが伝わって、かなりテンション上がってると思うんですよ。心のレスポンスじゃないですけど、こっちの熱がちゃんと向こうにも伝わってるし、向こうからの熱量で僕たちが本当にすごくいいテンションでライブができてて。かなり成長してリキッドルームに臨めるんじゃないかなと思いますね。
──では、1月24日のリキッドに向けての意気込みを。
ハル(Dr)前からやりたいハコだったので、自分の中でテンションもモチベーションもすごい上がってて。このツアーでどんどん完成度を上げて、完璧な状態でリキッドに挑めたらいいなと思います。
棗(Ba)もっと引っ張っていけるような、先を見せて安心できるようなライブにしたいなって思っていて。周年は周年で気合い入れなきゃいけないけど、自然とツアーにそれが反映されて回れているというか、ちゃんと5周年を見据えて行けてるのが嬉しくて。このままツアーを回っていけばすごいことになるんじゃないかなと感じてます。
未月(Gt)今までの周年ライブっていうのはファンのみんなと一緒にお祝いできる日みたいな感覚でライブを見せてたっていうのもあるんですけど、リキッドではお祝いの隙を与えないくらいの良いショーがしたいなって思っていて。もう…やっちゃいます(笑)。すごく楽しみです。
yukito(Gt)エレキギターが入っていない「雫の星」とか、今回の「whisper bell」も基本アコギとピアノだったり、違う編成での見せ方もできるような曲が最近増えてきたので。そういう部分も世界観のひとつとして見せたいなと思ってます。
翔梧(Vo)最近ライブが楽しくなってきてるんですよ。普段生活している上で発することができない言葉とか、本当は思ってるのに伝えられない言葉っていっぱいあるじゃないですか。それをステージ上だと言えるようになってきたり、本当に大きな声で笑えるようになったり。最近泣いちゃうこともあるんですけど、感情の振り幅というか、もともと感受性は豊かなほうだと自分では思うんですけど、それが増してきていて。何も考えてないと根本にあるものが、自分の知らない翔梧が出てくる。それがすごく楽しくなっていて。その日の熱量が高ければ高いほど、頭空っぽになったほうが心が出てきやすくなるんです。だから、今後のツアーでは知らない翔梧がいっぱい出てくると思うんですよ。それも、ファンのみんなとこのメンバーと作ってきた5年間がなかったら絶対なかった翔梧だし。昔、自分が感動できないもので他人を感動させられるわけないじゃんって言われたことがあって、本当にそうだなって最近思うんです。歌ってて泣けちゃうくらいの歌じゃないと他人に聴かせる意味はないし、何かを残せないとなぁと思う。最近はやっとそれが追いついてきたかなというのがあるので。己を解放して。己の知らない翔梧くんの魅力が、今はまだ生まれていないアンフィルの魅力になっていくと思うので。ツアーを頑張って回って、みんなと一緒に楽しい思い出を作って、その結果成長した俺がリキッドに立ってるといいなと思います。楽しみです。