同い年の頑張りに、自分も励まされた
青木 渡邊さんは1回目のROOTS 66の時、どんなふうに見ていらっしゃいました?
渡邊 「ああ、この人たちと一緒の年に生まれたんだ」とリアルに思いましたね。あらためて。「僕は裏方の選択をして、表に出てる人たちはこうやって現役で、みんな頑張ってるなあ」って思いました。僕は40になるの、すごくイヤだったんですよ。30は早く来てほしかったんですけど、39になった年に「40、イヤだったなあ」って。考えてみたら、中学校ぐらいの歴史の先生とかって40ぐらいだったはずだけど、かなりオッサンだったじゃないですか?「俺、来年、あの域だ!」と思って(笑)。たぶん女性が30になる感覚と近いんじゃないかと勝手に思ってるんですけど。
宮田 はい、はい。なるほど。女性は30だって言いますもんね、そういうのを感じるのは。
渡邊 それで「40……はぁ~、ほんとに中年に入るんだ」と思ってた時のイベントだったんで、「いやあ、同い年、頑張ってるなあ」って。で、「自分もいちおう仕事は頑張ってるつもりだったけど、もっと頑張んなきゃな!」みたいに思いながら見てましたね。
宮田 でも今、シェイプされてますよね?10年前の時より。
渡邊 あ、してますしてます(笑)。僕は食生活で……。
宮田 そう、炭水化物ね!同じですよ(笑)。みんな、やってると思うなあ。ナベちゃんもそうなんだね……って、つい「ナベちゃん」って言っちゃうな(笑)。デビューした時からの付き合いだから。
渡邊 そうそう、ずーっとお世話になってたんですよ。和弥さんたちに。
宮田 それが最近は偉くなってるから、あんまりみんなの前では言わないけど。威厳を保たないといけないからね。
渡邊 いやいやいや(笑)。そんなの、いいですよ!
青木 (笑)僕は太ってきましたね。若い頃はずーっと40kg台だったんですけど、30代の後半に結婚して、食生活が規則正しくなったら、徐々に……。
渡邊 あ、結婚は太ることの、まず第一歩ですからね!家に帰ったら夕飯がある、それを食べなきゃいけない、というのは。そのことについて僕、ちょっと考えて、ある時から(夕食が)要る日だけ電話することに変えました(笑)。
宮田 そうそう!(笑)絶対、そのほうが建設的!カミさんの作るご飯って、夕食というよりも、その人の気持ちでもあるじゃないですか?それをないがしろにすると、家庭崩壊につながりますからね!
青木 わかります。僕は晩ごはんは遅くなっても家で食べるほうです……って、こういう話も、若い頃にすることは、きっとなかったですよね?
宮田 なかった!!
渡邊 (笑)ないですね。
66年生まれのミュージシャンが多い理由とは ?
青木 しかし何で66年生まれには、こんなにたくさんいるんでしょうね?濃い顔ぶれが。
宮田 だよなあ……これはディスクガレージの中西さんに力説されたことがあるんですけど、10年、5年でポイントがあるっていうんですよ。僕らの10個上にはサザン(オールスターズ)がいて、ハウンドドッグがいて、ARB、THE MODS、それにRCサクセション……あの世代ですよ。で、その5つ下にはBOΦWYがいた。そしてそのまた5年あとにバンド・ブームがあって、ジュンスカだったりの66年生まれがいたということらしいんですね。これは中西さん説ですよ?(笑) そういう周期に集まることってあるのかな。俺らの下ってどうなのかな?
渡邊 桜井(和寿)くんは45とかですよね?やっぱり5つぐらい下かな。僕、この歳にミュージシャンがいっぱいいるひとつの要因は『ザ・ベストテン』じゃないかと思うんですよ。小学校5年とか6年ぐらいで、クラスのほとんどが見てて、翌週の1位は誰かとか、昨日は誰だったとかをみんなで話してましたもん。その『ベストテン』とか『夜ヒット』(夜のヒットスタジオ)、あとFMの『コーセー化粧品 歌謡ベスト10』とか『DIATONE ポップスベストテン』とか……。
宮田 はいはいはいはい!ありましたね~!
青木 これもスガさんですけど、10年前の時に集まってみたら、みんなが昔ギターでコピーしてた曲が一緒だったって言ってましたよね。ちなみに2006年のROOTS 66で出演者総出でカバーされたのが、ゴダイゴの「銀河鉄道999」とサザンの「勝手にシンドバッド」、そして沢田研二の「勝手にしやがれ」。どれも小学校から中学校にかけての頃のヒット曲ですね。あの頃は『オールナイトニッポン』を聴いてる友達も多かったし、僕も歌番組はよく観てました。とくに沢田研二が好きで、『ベストテン』は毎週見てて、サザンもあれで知りましたからね。
渡邊 サザンは衝撃でしたよねえ!『ベストテン』の「今週のスポットライト」で出てきたらランニング姿で、何だこの人たちは!?って思いました。
宮田 桑田さんって、いでたちがロックだったんですよね。寝間着で出てきて、ちょっとおかしい、みたいな。今の時代だったら、かなり危険なことも……まあ、いまだに放送禁止みたいなことを言ってますけど(笑)。そういう意味じゃ、スピリッツがロックなんだよなあ。
青木 精神というか存在自体が、ということですね。でもあの頃を思うと、今はメディア側の規制も厳しくなりましたね。ちょっとした間違いもリアルタイムですぐに拡散されて、一般人でも一斉に叩かれたりするし。そういう意味では、のどかというか、大らかな時代でした。音楽も社会も。
(第2回に続く 次回2月23日掲載予定)