──ライブの在り方も自然と変わりますよね。
吉田そうですね。それまでは技術的な話をすることが多かったんです。「あそこの部分、ちょっとフラットしてたね」とか。そういうことはわりとどうでもよくて、「その日がラストライブになったとして、どうしたら後悔しないで終われるか」ということを考え始めて。
山田だいぶ変わりましたね。前は「楽屋でいつもと同じように過ごして、そのままの雰囲気でステージに出る」ということを心がけてたんですけど、3年前からは「ステージで何を残せるか?」という気持ちでステージに立つようになって。上手く歌えなかったとしても、ちゃんと自分の気持ちを置いてこれたときは満足感があるんですよ。心を削ってる感じもあるから、クタクタになりますけどね。
吉田2人でやってると、お互いのことが瞬時にわかるんですよ。「あ、いま置きに行ったな」とか(笑)。体はひとつしかないし、体力のことを考えて「ここは抑えよう」というのも必要なんですけど、優先順位としては一番ではないというか、いまは「やり尽くしたい」という気持ちが強いんですよね。
山田どれくらい自分たちが出来ているのか、10周年のタイミングではっきり形になってきた感じもあるんですよ。それは10周年の完結でもあり、新しい始まりでもあって…。
──なるほど。そういう意識の変化は、楽曲にも影響しますか?
吉田そうですね。“届けたい”から“残したい”に変わってきたというか。“届けたい”と“残したい”って、似てるようで少し違うんです。自分たちの価値を“売れる、売れない”ではかるのはちょっと虚しいと思っていて。一人でもたくさんの人に届けたいと思って曲を作ってきて、上手くいくときもあれば、ふるわないこともあったんですけど、いちばんはそこではなくて。僕らが一生懸命に生きて、それをなるべく純度の高い状態で形に残すことが、いまの自分たちにとっては大事なんですよ。
山田うん。
吉田いちばん変わったのは、この2人以外、誰も入れないで曲を作るようになったことですね。僕と山田の意見が分かれたときは、他の人の意見を聞くことが多かったけど、そうすると純度が下がっちゃうんです。
山田2人だけで作るのって、ヒリヒリした感じもありますけどね。
──なれ合いじゃダメだし、当然、緊張感も必要ですからね。
吉田そうなんですけど、自分たちの状態はこの10年でいちばんいいんですよね。お互いを尊敬できてるし、自分のことよりも吉田山田のことをいちばんに考えているので。ふたりで全部を決めるということは、成功しても失敗してもすべて自分たちの責任だし、そこはヒリヒリしますけど、いざこざとか言いづらいことはホントになくなりました。ふたりの時間をしっかり取るようになったのも大きいですね。お茶したり、ゴハンにいったり、まるで高校卒業したばかりの頃みたいです(笑)。
山田確かにいまがいちばん話しやすいですね。いろんな話をしてるし、いい意味で肩の力が抜けて、柔軟性もあって。
──新曲の制作も進んでいる?
吉田まさにレコーディングの最中なんですけど、いい感じですよ。次のアルバムはいいと思います!
山田ハハハハ(笑)。
吉田制作を通して、「ちゃんと僕らのなかに何かが育ってきたんだな」って感じられて。純度が高い状態でモノ作りが出来ているので、いいものができると本当に嬉しいんですよ。
山田手ごたえはすごくありますね。次が7枚目のアルバムになるんですが、5枚目(『変身』)、6枚目(『欲望』)と合わせて「10周年を締めくくる、3部作の完結編」と言っていて。大風呂敷広げ過ぎちゃったかなと思ってたんだけど(笑)、辿り着きたいところにちゃんと近づけている実感があるので。
──では、2019年後半のライブについて。8/24(土)には47都道府県ツアーのファイナル、25(日)には夏の恒例イベント「吉田山田祭り」を上野水上音楽堂で行い、そして11/30(土)には中野サンプラザホールで「吉田山田10周年記念『大感謝祭』」が開催されます。
吉田8月のライブについては、あまり考えないようにしてるんです(笑)。たぶん、けっこうしんどいライブになるので。
山田そうだね(笑)。
吉田8/24のツアーファイナイルは、シングルのカップリング曲もセットリストに盛り込もうと思っているんです。47都道府県でアルバムの曲を全部やっているなかで、「カップリング曲が聴けなくて残念だった」という声もけっこうあったので、それをツアーファイナルでやろうと。
山田いままでに2〜3回くらいしかライブでやったことない曲もあるんですよ。
吉田うん。メインとなる曲もやるので、つまり“全部乗せ”ですよね(笑)。次の日の「吉田山田祭り」はバンド形式だから、脳の切り替えが大変そうだなと。
山田もちろん楽しみですけどね(笑)。
吉田「吉田山田祭り」は今年で5周年なんですよ。毎年楽しみにしてくれて、「来年も行こう」と思ってくれてる人がたくさんいるので、僕らもすごく嬉しくて。
──中野サンプラザの「大感謝祭」は10周年の集大成という位置づけですか?
吉田集大成は47都道府県だと思っていて、そこで出し切りたいんですよね。「大感謝祭」では新しい曲もやって、“これからの吉田山田”を中心にしたくて。いま作ってる新曲にはすごく力があると思っているので…。もちろん「大感謝祭」なので、いままで愛してもらってきた曲、いろんな場面で聴いてもらった曲もやります。それをいまの僕たちが歌うことにも意味があると思うので。
山田本当にいろんなライブをやってきたし、大雨が急に止むような奇跡(2016年8/20の日比谷野外大音楽堂)も経験して。今回もお互いに満足できるライブにしたいですね。まず、ちゃんとお客さんの顔を見て歌おうと思います。大きな会場で、たくさんの人が来てくれても、1対1という感覚も持っていたいので。
PRESENT
直筆サイン色紙を1名様に!
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