星をテーマに歌とアコースティックにこだわり制作した「星めぐりの歌」は「CDショップ大賞2019」で東北ブロック賞を獲得。寄り添うような温かい歌は、多くのリスナーの心をとらえた。
村松同じ岩手県出身の宮沢賢治が作詞・作曲をした「星めぐりの歌」は弾き語りをしていたときに1度、歌ってみようと練習したことがありました。でもそのときは、「自分には背負えない」と感じて歌うのをやめてしまったんです。じいちゃんとばあちゃんが宮沢賢治が好きで、話を聞かされて育ったから、思い入れが強い分、歌うことが難しかった。
黒沢東北ブロック賞を獲ったって聴いたときは驚いたよね。弾き語りって地味なイメージを持たれてしまうことが多いけれど、ちゃんと作っていれば聴いてくれる人がいるんだって。届くんだって励みになった。
村松そうですね。昨年のツアーから、知的な人がライブ会場に増えた気がします。
黒沢トクは英語3点なのにね。
村松地元での反応もすごい大きくて。宇多田ヒカルさんのとなりに、僕のCDを大きく展開していただいていたりして、誇らしい気持ちです。少し前に「歌えない」と諦めていた「星めぐりの歌」。幼いときから自分の中にあった曲なので、縁がめぐって歌うことができたことに感謝しています。小さいときの自分と、いまの自分をつなぎ止める。大切な曲になりました。この曲を歌うときは、宮沢賢治にケツをたたかれている感じがします。しっかりやれって。
黒沢トクはトクにしかない輝きを持っているけれど、それはさんさんと輝く太陽じゃなくて、周りが暗ければ暗いほど光って見える星のような存在って思うよ。
村松東京に本当の闇はないですもんね。
黒沢うん。静かだなって思っても、何かの音が鳴っているからね。真っ暗になったときに、初めて見えるものもあると思うんだ。トクがいつも「星がきれいなところ」って生まれた場所についてを話してくれるけれど、そういうの知らないオレからしたら憧れもあるんだよね。オレには出せない世界観をトクは持っているんだよ。
村松東京も良いなって思うけれど、星空とかも含めて、より良いものを知っているのかなとは思います。
黒沢うん。
村松が生まれた12月11日の誕生花をタイトルにした、新作「ディアスキア」では五線譜の中を泳ぐように歌う「Innocent Rain」のほかデヴィッド・ボウイの「Heroes」、原田郁子の「銀河」をカバー。スコットランド民謡の「The Water Is Wide」は、哀愁あふれる歌声で表現の幅をさらに広げた。
村松ミニアルバムではデヴィッド・ボウイの「Heroes」に加えて、原田郁子さんと忌野清志郎さんの共作「銀河」を歌わせていただきました。実は「銀河」は「星めぐりの歌」に収録する候補曲でもあったんです。ずっと「入れたら良かったかな」って引っかかっていたから、今回歌うことができて良かったです。
黒沢4回ぐらいリテイクして、最後のテイクを収録したんだよね。毎回、これが本番っていう気持ちで臨んだから、このまま出してもいいなというテイクが4つ生まれた。トクは、歌うたびに良くなるから、歌のアベレージじゃなくて、そこから先の表現力の部分がどこまで伸ばせるのかって。
村松歌詞に生と死が含まれているので、最初はいまの自分に歌えるかなと躊躇したのですが、最近親しかった友人が亡くなったりして…。【ぼくらは 銀河の星つぶだよ】【遥か 昔からの旅人だよ】っていう歌詞に輪廻を感じて。めぐりめぐって一つの命だって。込められた思いがしっくりきて。見送った友人たちが僕を照らしてくれているって。「銀河」の歌詞のひと言ひと言と、僕をつなげてくれていると感じました。「忘れることはないよ」って、胸の中に一本の道ができた思いでした。
黒沢トクが持っている世界観を引き出すことがオレの役目だから。トクと、トクが歌うことによって、曲の中に眠っている、その先にあるものを光らせていきたいんだよね。
5月5日に東京・青山で初めてのワンマンライブが決まった。星がより美しく輝く新月の夜だ。
村松初ワンマンが、新月。オレ、持ってますね。月にとっては、新しいスタートの日でもありますし、楽しみです。
黒沢オレも久々に、ガチでギタリストとしてステージに参加するから、前の日は眠れなくなりそうだな。でもうまく行くときは行くし、そうじゃないときは、その中でやるしかないし。心配するのはやめた。やってみなくちゃ分からないしね。やれば、その結果が付いてくるし。
村松はい。ぜひみんなに来てほしいです。新曲はもちろん、まだやったことがない曲を黒沢さん、おおくぼひでたかさん(ラップスティールギター)、隅倉弘至さん(ベース)、神谷洵平さん(ドラム)とともにバンドアレンジにしたり、このメンバーでライブをするのは初めてなので、全てを出し切りたいと思っています。
黒沢うん。「星めぐりの歌」「ディアスキア」とようやく、A・B面そろったからね。いまのトクを感じてほしいよね。
村松はい。「ディアスキア」に収めた曲に共通しているのは「孤独」。最後に収録した「Sing」は、僕にとって歌うことが「居場所」という思いを込めています。みんな1人じゃないよ、一緒に歌おうとつづっているので、集まってくれたみなさんと歌うことができたらと思っています。東京の後は、地元に戻って弾き語りのワンマンもあるし。人生がガラッと変わりそうです。
黒沢そうだね。いつかトクが生まれた場所で、野外ライブができたらいいね。
村松岩手の宮古市は本州最東端に位置しているのですが、あの街で夜空を見上げたら、僕が星が好きだという理由が分かると思います。ライブができたら、最高ですね!
PRESENT
村松徳一×黒沢秀樹 寄せ書きサイン色紙を1名様に!
※転載禁止
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