──アルバムには「Squall ~ 2016 ver. ~」も収録。いわずとしれた松本英子さんの代表曲ですが、いま、この曲にどう向き合っていますか?
何千回と歌ってきて、表現は自然と変化していると思いますが、向き合い方はずっと変わっていないんですよね。ダグラスとのレコーディングと同じで、「Squall」と出会った瞬間も鮮明に覚えているんです。19才のとき、福山雅治さんからこの曲のデモテープをもらって——その時点では歌詞が付いてなかったんですが——「何て素敵な曲なんだろう」と思って。そのとき感じた興奮やドキドキ、私自身がこの曲に恋したときの気持ちを持って歌うというのは、ずっと変わらないですね。できる限りフレッシュな気持ちで歌って、聴いてくださる方に恋をしてもらえるかが勝負というか。シンプルなだけに難しいんですよ、この曲。「今日はいい『Squall』が歌えた」と思えるのは、年に1回くらいです(笑)。そういう曲だからこそ、ずっと歌い続けられるのかなって。
──6月16日(日)には神田明神ホールで20周年を記念した「20th ANNIVERSARY LIVE ~Coloring Book~」が開催されます。
フルバンドのコンサートは5年ぶりなんです。アルバム『Coloring Book』の曲もそうだし、20年のなかでみなさんに聴いてもらった楽曲も入れつつ構成したいなと。やりたいことを詰めすぎると長時間になってしまうので、バランスよく選曲したいですね。ずっと応援してくださってる方から、“はじめまして”の方まで、みんなで一緒に楽しめる日にしたいなって。ちなみにバンドメンバーは、「おせんたく」のレコーディングメンバー(鶴谷崇/Key、狩野良昭/Gt、竹下欣伸/Ba、小森啓資/Dr、石川周之介(Sax/Fl)、MANAMI/Cho)です。
──楽しみです!松本さんにとって“歌”とは、どんな存在なんですか?
松本英子として歌うこと、表現することが、ようやくおもしろくなってきたんです。時期によっては歌うことがしんどかったこともあるんですよ。19才、20才くらいでいきなり壁にブチ当たって「あんなに好きだった歌が、こんなにもつらくなってしまった」と感じたこともあったし、出産後に復帰したときは、いろんなことがゼロに戻ってしまって、上手く踏み出せないこともあって。葛藤することも多かったけど、でも、やっぱり歌に戻ってくるんですよね。リリースしていない時期もライブはやり続けていたし、やっぱり歌うことが自分のいちばんの表現方法なんだなって。おしゃべりも好きだし、演じることも楽しいけど、自分らしい表現はいつも歌のなかにあって。いちばん長く続いていることだし、やっぱり好きなんだと思います。何度も何度も「ここからスタート」と思いました。いよいよ本当にここからがスタートだなと。時間がかかりましたけど、やっとそう思えるようになったし、こうやって歌えていること自体が喜びなんですよね。支えてくれたファンのみなさんがいなかったら、ムリだったでしょうね。
──やはり、歌を聴いてくれる人たちの存在が大事なんですね。
はい。心の茎がパキッと折れてた時期もあったけど(笑)、みなさんが花を持ちあげてくれたというか。ありがたいなって思います、本当に。
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