再始動から10周年、ABEDONが加入して現体制になったサード・アルバム『服部』から30周年、川西幸一が還暦で60周年、全部足すと100周年、それが2019年! というわけでニュー・アルバム『UC100V』を3月27日にリリースし、4月から12月までかけて武道館2daysを含む50本の全国ツアーに出るユニコーン。100周年にかける意気込みを5人にうかがいました!
テッシーが100周年とか言い出して、「なんてすばらしいことを言うんだろう!」と(ABEDON)
──この年はアルバムを作ろうとか、この時期にレコーディングをして、この時期にリリースして──みたいな具体的なスケジューリングは、今のユニコーンの場合、どのように決めていくんですか?
奥田民生
ABEDONとマネージャーで決めてるんじゃない?だいたいは。で、電大のスケジュールを訊いたり。まあ電大は逆で、ユニコーンの合間でやるみたいな。
手島いさむ
俺が「ユニコーンどうなん?」って訊いて。アルバムとかね、新曲の制作もあるから、うまく噛み合うように──。
奥田民生
なんか俺もあれだよ?今年は25周年とかさ、そんなムードなんだよ。
──ああ、そうか、「愛のために」でソロ活動を本格的にスタートしたのが1994年。
奥田民生
そうなんだよ。
EBI
じゃあソロをやらにゃあ。ユニコーンやっとる場合じゃないんじゃない?
ABEDON・川西幸一・手島はははは!
奥田民生
場合じゃなくない!じゃあ100周年に足して、125周年にしてもらって(笑)。
──この「いろいろ足して100年」というのを考えたのはどなたが?
ABEDON
それはこの人(手島を指す)。
手島いさむ
いや、俺とスタッフとでいろいろ話をしてて。「2019年は、あれとこれを足すと100年ですよね」っていうのは、2〜3年前から言ってたの。
奥田民生
「昭和☓年にあれがあった」とか、そういうのを憶えてる派なんでね、テッシーは。
手島いさむ
READY(奥田民生がユニコーンの前にやっていたバンド)が解散したのは1986年の3月22日、とかね。
ABEDON
よく憶えてんなあ。まあ、テッシーが、去年のファンクラブ・ツアーの時に、100周年とか言い出したのが聞こえてきた。で、「なんてすばらしいことを言ったんだろう!」と思って。
──『UC100V』は、いつ頃から制作作業を進めていったんですか?
EBI
けっこう今回は、アルバム作ろうって決めたのは早かったと思う。
手島いさむ
「アルバムは11月・12月でレコーディグしよう」ってスケジュールを押さえられたのが、5月とかだったかな。
川西幸一
でもずっと書かなかったけどね。
奥田民生
なんにもせんかったけどね。
EBI
はははは!
──メンバー全員で曲持ち寄る会みたいなのがあるんですか?
ABEDON
あるある。
──今回はそこに何曲持って行ったか、教えていただけます?
奥田民生
4曲ぐらいかな。
ABEDON
2〜3曲。
川西幸一
俺は、2曲じゃなかったけなあ……。
手島いさむ
俺は1曲。
──EBIさんは?
EBI
3.5キロ。
EBI以外全員はははは!
ABEDON
キロって!
手島いさむ
ボケようと思って、単位が間違っとるって──。
EBI
ボケようと思ってないって!
奥田民生
「.5」もおかしいし!
EBI
「.5」っていうのは、最後までできてないけど持って行ったってこと。
──曲を持ち寄った時点では、アレンジとかはどの程度までできあがってるものなんですか?
EBI
それはもう、毎回全然違いますよ。
手島いさむ
民生なんてもう今回、弾き語りだもん。
奥田民生
弾き語りっていうか、頭の中にあるやつを、その前の日にババッと録っただけだから。今までは俺、わりとデモをかっちり作る派だったけど、いろんな都合で、やめた。
──都合とは?
奥田民生
あの、いまいち、家に録音システムがないっていう。
手島いさむ
そういうのあるよな。
奥田民生
『カンタンカンタビレ』の部屋に、機材を持って行かれてて、「あの機材ねえじゃん」って。弾き語りになっちゃった。
──かっちりアレンジまで詰めて持って来る人は?
手島いさむ
ABEDON、かっちり作ってたよね。
ABEDON
今回ね。前回は適当だったかんね。
奥田民生
川西っつあんとかは、GarageBand(音楽制作ソフトウェア)でちゃんと作るよ。
ABEDON
あのアレンジを俺らがコピーしてるだけだもんね、川西くんの曲は。
──民生さんの弾き語りの曲とかは、どういうふうにアレンジしていくんですか?
奥田民生
いや、そりゃあもう、スタジオで、「じゃあまあこんな感じでいっていただけますかね?」ぐらいの説明を軽くして、音を出して──。
川西幸一
その場で作っていく感じよね。
奥田民生
だから、弾き語りで曲を出して、みんなが聴いたあとに、俺は「こういう感じのアレンジかな」っていうのを、一応頭の中で考えて……あたりまえか。
ABEDON
はははは。それはお願いしますよ!
EBI
それすらやらなくなったら!
曲を決めずにレコーディグに入るから(川西)
──たとえば1曲目の「10Nuts」にパーカッションを入れようとか、4曲目の「1172」にギロを入れようとか、ああいうのは?
奥田民生
まあ、やりながらですね。1曲目のパーカッションは、俺がやることなくて。だからやったのよ。「なんか入れなきゃ」と思って。
手島いさむ
あの曲は、最初に川西さん・EBI・ABEDONの3人で、セッションで作ってて。で、なんとなくリズムができたから、もじゃもじゃふたり(手島・奥田)がギターということで。で、先に俺がギターを入れたら、オケがいっぱいいっぱいになってしまって、民生が「じゃあ俺はパーカッションを」と。順番が逆だったら俺がパーカッションをやることになったかもしれん。
──選曲は?選ばれる曲もあり、ボツる曲もあるわけじゃないですか。
手島いさむ
ムード、ムード。
川西幸一
曲を決めずにレコーディグに入るから。
──えっ!?
奥田民生
みんなで曲を聴く会の時は、お寿司食べながら聴いてるわけ。で、その時に、どの曲をやろうって言わないのよ。まあ、「レコーディング初日はこの曲からかな」ぐらいの話は、するかもしれないけど。あとはもう──。
EBI
1曲目、何やったっけ? テッシーの曲か。
手島いさむ
毎回俺の曲から始まる。
ABEDON
そう。なんかね、適してんだよね、各楽器の音決めに。変則的じゃない、オーソドックスな楽器編成だから。だから最初にやるのよ。
──どのあたりで「録るのはこの曲まで、残りはボツ」って決まるんですか?
川西幸一
アルバムの半分ぐらい、5曲とか6曲とか録ったあたりで、なんとなく空気で──。
ABEDON
何曲か録ると、アルバムの全体の感じが見えてくるじゃん。そこで足りないものを考え始めるんで、みんな。そうすると、だいたい1パッケージになるでしょ? で、「じゃあここで一回区切るか」っていうようなことになる。
手島いさむ
ABEDONはわりと地図を描くから。その方針に従って。
ABEDON
みんなわりとヒントをね、作業中に出すんですよ。絵を描いたりとか、しゃべったりとかで。それを拾っていって、なんとなくこう合わせると、なんか自動で進んでいくっていうか、いい感じに進んでいくわけさ。
──いつもは、自分が作った曲を自分で歌う場合と、自分が作った曲を他のメンバーが歌う場合があるじゃないですか、ユニコーンは。
EBI
うん。今回はね、ないんです。全部自分の曲は自分で歌ってる。
奥田民生
そう。忘れてた。
ABEDON
しまった。
──前回まであったのは──。
奥田民生
わざとしてた。
ABEDON
おもしろいもんね。
奥田民生
そう、「この曲は川西さんが歌ったらどうか?」とか。忘れてたね、今回。
ABEDON
忘れてた。言ってよ!(笑)。
──今回は誰もそれを言い出さなかった?
ABEDON
うん。まあ、その必要を感じないぐらい、スムーズにいい感じにいったんじゃないですか?だから、名盤と言えよう。
──あと、これは今回もですけど、EBIさんが歌う曲は違う人がベース弾くとか。
EBI
それはある。
奥田民生
そういうのはやっぱ、ライブのことを考えた時に、「たまにはギター持ってまんなかに立って歌ってみたらどう?」とか──。
手島いさむ
「ハンドマイクはどう?」とか。
──あれは再始動以降からですよね。
EBI
そうね。
ABEDON
ライブの絵面はけっこう重視よ?
川西幸一
そうだね。そこはまず大事だよね。
ABEDON
コーラスの配分も、配置的にボーカルの両側からきたらいいな、とか。
──「気まぐれトラスティーNo.1」はABEDONがドラムですが。レコーディングでドラムを叩いたのは今回が初?
EBI
初でしょ。
手島いさむ
初だと思う。
──川西さんが歌う曲は民生さんがドラムを叩くのが、これまでのセオリーでしたよね。
奥田民生
いや、なんかねえ、あの時ABEDONがハイテンションだったんですよ。曲をやる時、必ずキーボードじゃない楽器に飛びついて
川西幸一
EBIの曲だったらABEDONがベース、俺の曲だったらドラム──。
EBI
「これ取った!僕の!」みたいな(笑)。
奥田民生
テッシーの曲ではギターを弾き。
──で、みんなも「ABEDONドラム、いいじゃないか!」と。
ABEDON
不満?
──(笑)いやいや、全然不満じゃないですけど、すごいなと思ったのが、間奏のフィルで、スティックとスティックが当たったカチッて音が、そのまま入ってるじゃないですか。
川西幸一
そうそうそう。あれはね、わざとなの。
──「直さないんだ?」と思って。
ABEDON
直すわけないじゃない!あれはできないよ?
EBI
やろうと思ってもできない。
ABEDON
そう。憧れですよ!あれがきこえた時のね?
川西幸一
あれがきこえたら幸せになれる。
ABEDON
幸せのスティックだから、ほんとに。