名古屋の“純情/妄想ミクスチャー”シンセポップロックバンド、The 3 minutesが、1年半ぶりの新作となる3rdミニ・アルバム『インスタント・インスタンス』を完成させた。ライブで1年ほど演奏してきた楽曲、まだ一度も披露していない楽曲、彼らの代表曲のひとつでもある「ハルノウタ」の歌詞をリライト&リアレンジして再録するなど、5曲ながらにバンドがこの期間で培ってきたスタンスが凝縮された作品となっている。ライブ感あふれる同作について、そしてライブタイトルに“3度目の正直”という言葉を冠する5月19日のTSUTAYA O-nest(渋谷)ワンマンについて、メンバー全員にたっぷり話を聞いた。
──『インスタント・インスタンス』、ライブ感のある作品に仕上がりましたね。
りょう(Vo)
ライブの熱量を音源にどうにかこうにか詰めようと努力しましたね。まさにライブのセットリストみたいなミニアルバムになったと思います。ライブで1年くらい演奏してきた曲もあり、まだ一度も披露してない曲もありと、盛りだくさんの内容になったと思います。曲順や曲間もメンバーでじっくり考えました。
ひろ坊(Key)
デモも合わせて30曲くらいあるなかからこの5曲に絞って。
なおき(Dr)
ライブ終わったあとお客さんから「この曲のCDないんですか?」と訊かれることも多かったんです。だから「スマホのうた」と「ちゅーしたい」を入れるのはマストでしたね。
わたべ(Ba)
今回リズム隊は一緒にレコーディングしてるので、ちょっとリズムがずれてるところも残ってて。そういう意味でも生感が強い音源になったと思います。
──表題曲であり1曲目の「インスタント・インスタンス」は、歌詞もバンドのことを表していると思いますし、音の面でもThe 3 minutesど真ん中と言えるのではないでしょうか。
ひろ坊
最初にこの曲のデモを持っていった時はメンバー全員からダメ出しをされて(笑)。そこから何度も作り変えて、そのたびにメンバーからアバウトな注文をもらって。それを2ヶ月ちょっと繰り返したあたりで「まあいい感じになってきたんじゃないの?」と言ってもらえました(笑)。原型はイントロとAメロくらいですね。ぴったり3分の、シンセポップロックになるようにしました。
──この曲はわたべさんが歌詞を書いてらっしゃるんですよね。
わたべ
去年いろんなフェスやサーキットに出させていただいて、それ以外にも観に行って勉強したりもして。去年のMETROCKのSiM先輩のライブでMAHさんが「お前らロック好きでここに来てるんだろ、後先考えてんじゃねえよ。俺らで全部出し切って(次に出てくるトリの)エレファントカシマシさんに謝って帰れ」と言っていて、これがライブや!と感銘を受けたんですよね。歌詞にはそういうエッセンスも入れてます。この曲はリードだからもちろん1曲目でもいけるし、最後のMCからつなげられるラストの曲にもなれる。
ひろ坊
「あと3分ですべての体力使え!」ってMCして最後に「インスタント・インスタンス」をやる感じ?(笑)。
わたべ
(笑)。「3分」というテーマからもっと具体的に僕ららしさを表現できたらなと思って書いていきました。「インスタント・インスタンス」がThe 3 minutesのなかで、SiM先輩の「KiLLiNG ME」みたいな立ち位置の曲になってくれればいいなと思ってますね。
りょう
まだライブで演奏してないのにライブの絵が浮かぶナンバーになったし、この曲ができたことで「The 3 minutesの名を世に知らしめたい!」というバンド内の士気も上がりました。どんなバンドが好きでも入ってこれる、いろんな入口がある曲になったと思います。「こんなことをするのはThe 3 minutesじゃない」ではなく、「これもこれもThe 3 minutesだよね」と言われるバンドになりたいですね。
──「ちゅーしたい」と「スマホのうた」も1年ライブで演奏してきてだいぶ育ってきた実感はありますか?
りょう
「ちゅーしたい」は「えっ、なにこの歌詞気持ち悪い!でもこの気持ちすごいわかる!」というところに行きたくて、レコーディングするにあたってライブでやってたモノから歌詞を変えたんですよ。好きだからちゅーしたいんだ!という気持ちをもっと届きやすくしましたね。ギターソロにはたかひろの持っているラウドのテイストが出てるかなと。
たかひろ(Gt)
ギタリストとしてはオイシイ役目をいただきました(笑)。加入して初音源なので(※たかひろは2017年に加入)、自分の表現が音源としてかたちになるのはすごくうれしいことだな……とCDが完成して実感しました。
りょう
「スマホのうた」と「ちゅーしたい」はライブ終わりに「この曲が入ってるCDないですか?」と言われた2曲なので、音源としてももう一度聴きたいと思えるものを目指しましたね。
──「ハルノウタ_rewrite」も原曲と同じシチュエーションを歌った曲でありながら、歌詞はだいぶリライトされて、アレンジも様変わりしています。
りょう
僕らみたいなライブでノれる曲を多くやっているバンドこそ、「ハルノウタ」のような聴かせる曲で勝負できるかどうかが大事だなと思っているんです。この曲は「もっと歌詞がわかりやすいほうがいいんじゃないか?」という意見もあって、歌詞のディレクションを受けたり、テンポ変えのアドバイスもいただいてリライトしました。引き算の引き出しが作れて、客観的な目線が備わった実感がありますね。
たかひろ
今までのThe 3 minutesにはないようなアレンジになりました。この曲のアレンジをしてくださった十川(ともじ)さんがキーボーディストなので、コードの動きがギターでやるには鬼のように難しいんです(笑)。ライブで演奏することになるので、これから気合い入れて練習をしないと。
りょう
そうだね(笑)。僕らだけでは行けないところに踏み込めたし、新しい可能性が見えるものになりました。ライブでは原曲も今回のリライトバージョンも、両方できるようにしたいですね。
──新しい可能性というと、「誓い」もそういう曲ではないでしょうか。The 3 minutesの掲げている“妄想と純情”というよりは、“リアルと純情”という気がしました。
りょう
自分がバンドをやっている理由や、The 3 minutesが音楽をやっている理由をちゃんとかたちにできた曲です。アルバムタイトルの『インスタント・インスタンス』もThe 3 minutes=3分というバンド名にちなんだものなので、「誓い」をこの作品に入れられたのも、バンドにとってすごくでかいと思います。だからこの曲をライブでやったらどういう気持ちになるのか、まだわからないからどきどきで(笑)。
たかひろ
「誓い」の歌詞はりょうくんのエピソードですけど、僕たちの気持ちも代弁してくれてるような気がして、感情移入できる曲です。この曲ではアコギを弾いているので、特に感情が入りやすくて。音にも自分の気持ちが乗せられたかなと思っていますね。
りょう
この曲は音的にも大人になったというか……そういう感じもあるよね。
ひろ坊
今までのThe 3 minutesでいちばんテンポも遅いから。
りょう
そういう曲を音源化できたことも、バンドの力になってますね。5曲ともこれまでの音源と比べて、歌を大切にしたうえで迫力のあるバンドサウンドになっていると思うんです。僕らはバンドなので、5人の色が出たこともすごくうれしいですね。自分たちはこうしたい!というわがままを通しつつ、どこまで周りの意見を取り入れて制作やライブをしていくか、というのはバンドの醍醐味だとも思います。
──The 3 minutesは2018年3月に初の東京ワンマンを行い、8月に「ここを埋めるまで帰(変え)れません」というタイトルの、そして2019年5月19日には「3度目の正直、これが僕らのスタンスです」というタイトルのワンマンを、すべてTSUTAYA O-nestで開催します。まず2018年に行ったワンマン2回はどんなライブになりましたか?
りょう
1回目でもある東京初ワンマンは、名古屋のバンドが初めて東京でワンマンをやる、たかひろが加入してまだ日も浅い、リリースイベントではない単発のワンマン……ということで、どうなるかわからない部分も多かったんです。だからこそやれることは全部やった、というワンマンになりましたね。
なおき
ライブ当日までの間も、いろんなライブ会場に行ってビラ配りしたり、チケットをおうちまで直接届けたり……いろいろやったね(笑)。
りょう
やれることの限界までやった感覚があるよね(笑)。当日のライブの録画を観てみて「やってやるぞ!」という気合いの入った空回り感や緊張が、観ていて気持ちいいライブになったかな……と思いました。8月のワンマンは反省点も多かったんです。3月に得たことを忘れてしまった、悪い意味で慣れが出てしまったなと。
わたべ
陰キャラがイキっちゃった……みたいな感じというか(笑)。「ワンマンならこういうことをしておけばいい」みたいなことをやっちゃってた部分は、正直あったと思います。それであらためて初心に返って「自分たちはなにがしたいのか」ということを考え直しましたね。
りょう
満足いくライブにできなかった悔しさが、そのあと「もっとがんばろうぜ!」っていう力になったんです。そのあとに出演した大阪のRUSH BALLや、DJライブキッズあるあるさんのツアーに、いい影響が出たと思います。
なおき
RUSH BALLやあるあるさんのツアーは、お客さんと一緒にライブが作れた感じがすごくしたんです。これからのライブもお客さんとの一体感をどんどん高めていきたいし、5月19日のワンマンはお客さんの想いも全部受け止められるようなライブがしたいと思っていますね。
りょう
だから5月19日のワンマンを観に来い!って感じはあるよね。
たかひろ
そうだね。5月19日は前回のワンマンで思った気持ちを全部払拭できるワンマンにできたらなと思います。
──因縁の地・O-nest、ライブも大成功することを祈っております。
ひろ坊
もちろんライブ自体も大事なんですけど、どうやって埋めるところまでこぎつけるか、どうやって宣伝していくかも重要だなと思っています。O-nestでのワンマンも今回で3回目だし、今回はリリースワンマンだし……埋めたいですよね(笑)。やるしかないと思ってます。
わたべ
『インスタント・インスタンス』も“3分”を表す言葉でもあり、「インスタンス」という言葉は「イン・スタンス」という意味にも取れるので、「これが僕らのスタンスです」という提示でもあるんです。3分間という短い時間で魅了する――音楽とライブで勝負したい。奇を衒うよりは、真っ向勝負していきたいですね。
りょう
O-nestでのワンマンは3回目ですけど、あくまで初心の気持ちでイベントを作っていきたい気持ちは大きいですね。僕らにとっては3回目のワンマンだけど、来てくれる人のなかには初めてのThe 3 minutesワンマンという人も多いと思うんです。だから今回は今回にしっかり焦点を当てて集中して、お客さんに「今日来て良かったな」と思ってもらえるライブをやりたいですし、それがいちばん大切なことだと思っています。だからこそ、最終的にソールドアウトできることができたら、すごく幸せだなと思うんですよね。
──3月4月とThe 3 minutesは全国で毎日のようにライブがあるので、そのなかで体力や表現力、バンド力もつきそうですしね。
りょう
バンド力が上がらざるを得ないスケジュールですよね(笑)。乗り越えるべきものだし、ひとりでも多くの人に『インスタント・インスタンス』を届けるためにも必要なことだと思っています。『インスタント・インスタンス』リリース・ライブの名古屋編は地元の大先輩のTHREEOUTが、大阪編には超能力戦士ドリアン先輩が出てくれます。THREEOUTさんはお世話になってる気心知れた先輩。超能力戦士ドリアン先輩は参加型ライブをやっているバンドなので親近感をおぼえるし、何度もラブコールをしてもなかなかスケジュールが合わなかったのが、ようやく実現するんです。『インスタント・インスタンス』がいろんな人に刺さるアルバムになったので、いろんな人に刺さるライブがしたい。持ち曲を磨きに磨いて挑もうと思っているので、ぜひぜひ遊びに来てください!
PRESENT
直筆サイン色紙を3名様に!
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