TVアニメ『探偵オペラ ミルキィホームズ』をはじめとしたマルチメディア展開、「Project MILKY HOLMES」の一環として、メインキャラを演じる三森すずこ、徳井青空、佐々木未来、橘田いずみによる声優ユニット、ミルキィホームズも始動。2010年6月に「雨上がりのミライ」でメジャーデビュー、2012年には日本武道館ライブや平安神宮奉納ライブ、その後、横浜アリーナや幕張メッセなど大会場のステージに立ち、さらには海外でのパフォーマンスなど着実に歴史を刻んできた。しかしプロジェクト立ち上げから10年を迎える2019年1月28日の日本武道館ライブでその活動のゴールを迎えることに。声優ユニットの先駆けであり、トップランナーとして活動してきた4人にインタビュー。1万字を超えるインタビューはひたすら笑顔で明るく、最後までミルキィらしかった。その模様を前後編でお届けする。
──まずアニメ・声優ファンには認知度が高いミルキィホームズですが、初めて知るという方にグループの特徴と魅力のご紹介をお願いします。
徳井青空
『ミルキィホームズ』というアニメやゲームでキャラを演じている声優4人が作品と同じ衣装を着て、グループ活動もしています。2次元の作品が好きな方もリアルなライブが好きな方も楽しめるグループです。
橘田いずみ
アニメと同じ衣装を着ているから一見、キャピキャピとかわいい言動をするのかなと思いきや、まったくそんなことはなく(笑)。飾らず等身大で、皆さんの周りにいるような身近さがあるので、男性ファンだけでなく、女性ファンの方や幅広い年齢層の方に応援していただいております。
佐々木未来
作品自体は探偵ものなんですけど、私達の活動は探偵っぽい帽子を衣装でかぶっているくらいで。作品が自由でハチャメチャだから私達もとにかく自由で(笑)。おもしろそうなことがあれば、音楽だけではなく何でもチャレンジするのが魅力かなと思います。歌う楽曲のジャンルや雰囲気も幅広いし。
三森すずこ
活動を始めた頃は、よくある女子のユニットかなと思っていましたが、9年続けてきて今ではオンリーワンの最高齢声優アイドルユニットになったかなと。
(全員爆笑)
三森すずこ
ずっとメンバー変更もなく、安定感もあって。また歌う曲もアイドルっぽいものもあれば、カッコイイ曲もあり、長年迷走……挑戦してきました。音楽活動だけでなく、自分達で田植え&収穫したお米を売ったり、プロ野球の始球式をしたり、アウェイな現場も数々経験してきましたが、ハッタリで何とか乗り越えてきました。
──アニメ作品から派生し、共に歩んできたユニットらしく、ライブステージも歌って踊るだけでなく、寸劇やトーク、ミニゲームなど様々な演出絵を取り入れた、エンターテイメントショーになっているのも特長ですよね。
徳井青空
そうですね。私達メンバーだけでなく、キャラも入り混じったステージになると、作品の世界観に入りながら歌も楽しめるお得なグループです。
──先日、ラストシングル「毎日くらいまっくす/そして、群青にとけていく」がリリースされました。ダブルAサイドシングルですが、まず「毎日―」は今までのミルキィらしいハチャメチャ感全開の元気でテンションが高い曲です。
徳井青空
ミルキィらしい、元気で明るくて、おもしろくて、ちょっとおバカな感じが全面に出ていて、ライブでお客さんと一緒に楽しめるノリノリな曲調なのに、意外に歌詞はせつないことを歌っていたりして。そのギャップがじわじわ響いてくる曲になっています。
橘田いずみ
掛け声最後の“ミルキィForever!!”のフレーズが好きで。活動が終わってもいつまでもみんなの心の中にいるよということを私達と皆さんが一緒に再確認し合える感じが素敵だし、楽しくて輝かしい未来に向かっていけるような、最後だけど笑顔になれる曲です。あと皆さんに“「ミルキィ!」”と呼び掛けてもらえるパートもあるんですけど、実は今までそういう曲がほとんどなくて。もっと作っておけばよかった。いつまでも歌い続けていきたいなと思いますが、あと1回しか歌えないわけですけど(笑)。
佐々木未来
ライブの定番曲が最後にできてしまったなと。
徳井・橘田・三森 もっと歌いたかった!
佐々木未来
武道館に向けて「Road to Final」と題したライブ&イベントツアーをやってきて、仙台公演で初披露した時、お客さんもすごく喜んでくれたり、感動してくれて。みんなで手を振り合ったり、1つになれたからずっと歌いたいと思ったほど好きな曲になって。ハチャメチャ感もあるけど、せつなさもあって。特にDメロ(最後のサビの前)の“この夢は想像以上だね こんな日が待ってたなんて”でいつも泣きそうになるんです。確かに活動が始まった時には想像できなかった今を実感して。今まで私達のたくさんの曲達を作詞してくださった、こだまさおりさんだから、私達を知り尽くしているからこそ書ける歌詞だと思うし、ずっと見守ってくださったんだなと、スタッフさん達の愛も感じました。
三森すずこ
元気いっぱいの曲だけど、「ああ、もう終わるんだな」というセンチメンタルな気分にもなって。“風も追いつけないフルスピードの青春なんだ”というフレーズがありますが、結成から今まで、私達いい歳になってもずっと青春を駆け抜けてきたなという実感も湧いてきたし、応援してくれたみんなもたぶんそうだと思うし。青春の儚さや疾走感が詰め込まれた曲で、とっても素敵だなと思います。ライブでも盛り上がるからもう1年早く生まれたらよかったのにと思うけど、ゴールを前にした今じゃなきゃ歌えない曲だし、出会えただけで幸せだなと。
──もう1曲の「そして、群青にとけていく」はミディアム調の優しくて、ちょっとせつないナンバーですね。
佐々木未来
ミルキィ史上最高に悲しい歌です。
徳井青空
そして2018年度に日本で発表された曲の中でも一番悲しい曲だと思う(笑)。曲も歌詞も悲しいから、わたしはレコーディングして完成してからほとんど聴いていないし、ファンの方からも同じ理由で1回しか聴いていないという人も多くて。完全にお別れの歌になっていて、「また会えるね」など希望的観測はまったくなく、「さよなら。お互い頑張りましょう」とさっぱり言い切っているところがまた受け入れがたくて。
橘田いずみ
ただ「また会おうね」とか期待を持たせるようなのは私も好きではなくて。この活動が終わる時は、ゲームやアニメのキャラクター達と一緒に棺に入って終わりたいと思っていたくらいなので(笑)。「終わり!」って言いきったほうがミルキィらしいし、アニメ自体も元々、希望を与える作品ではなく、ただ「バカになれ!」といって、元気を与えるような作品だったから。お別れだけど、私達はもっと素晴らしい未来に向かっていくからという潔さがいいと思う。
三森すずこ
「また復活するかも」と淡い気持ちをいっさい抱かせないようにはっきり伝えるようなところもミルキィのいいところだから。大切なものとお別れするときって、また手に入るかもと思うよりも、しっかりお別れに向き合ったほうが気持ちの整理がつきやすいし、前に進めると思うから。みんなにも順序だてで心構えを。
橘田いずみ
そうだね。曲の最後が“さよなら”で終わるところも素直に泣けると思うから、武道館でみんなで一緒に号泣したいです。私は笑顔でなく、涙で終わりたいです。
佐々木未来
曲をいただいた時、卒業式に合唱する曲みたいだなって思いました。歌詞もメロディもきれいで、最初に公開した数分の視聴動画で聴いただけで私も涙が出そうになりました。だからしばらく置いておこうと思ったけど、今では結構聴いてます。今から聴いて慣れておかないと武道館で泣いちゃいそうだから。
三森すずこ
ちょっとずつね。
徳井青空
練習しておかないとね。
橘田いずみ
歌詞間違えたら終わりだし。
佐々木未来
たぶん泣いてボロボロになっちゃうと思うけど。ミルキィアンのみんなも感情が爆発する曲だと思うので。
三森すずこ
それもよしだよ。2Aで“明日は未来の1日目で 今日が全部生きているの”という歌詞があって、今までイベントなど楽しかったことがたくさんあったけど、それが全部ゼロになってしまうのではなく、今の自分の一部になっているし、みんなにもそんな風に進んでもらえたらいいなという気持ちも込められています。
──1月にはベストアルバムがリリースされますが、何と5枚組(CD4枚・BD1枚)、60トラック以上というすごいボリュームですね。
徳井青空
レーベルを移籍してからの曲を全部入れました。※2010年から2013年3月までLantis、以降現在までブシロードミュージック(当時響ミュージック)にて活動。
橘田いずみ
前のレーベルからもベストアルバムを出しているので、2つのベストアルバムで私達の曲をコンプリートできますよ!
佐々木未来
これまで100曲弱も歌ってきたんだなと自分達でも驚きです。
三森すずこ
こういう形で私達の活動を振り返るものが出るのもうれしいし、私達同様にそれぞれの曲に皆さんも思い入れもあると思うので。
橘田いずみ
こういうベストアルバムってかさばらないからいいよね。棺に入れるのはベストアルバムだけで済むから。
三森すずこ
また棺(笑)。あと新録曲も収録されます。正真正銘のミルキィ最後の曲です。ミルキィアン(ミルキィホームズのファン)の方も興味を持ってくださった方も私達の歴史と軌跡をこのベストアルバムで楽しんでください。
──ミルキィホームズとしての活動を振り返ってみた感想をお聞かせください。
徳井青空
約10年間活動してきたので、20歳から30歳まで……。
橘田いずみ
女の旬だね。
徳井青空
そう!多感な時期であり、花咲く時期の大切な時間すべてをミルキィに捧げてきたので、みんなに私の人生の特においしいところを見てもらえたんじゃないかなと(笑)。あとミルキィじゃなければ経験できないこともたくさんあったし、たくさんの人にも出会えて、私の人生を豊かにしてもらえたと思います。
橘田いずみ
始めた頃、私の友人達はちゃんと就職してまじめに生活している中で、私は未来のことが想像できないスタートだったので(笑)、最初は「これでいいのかな?」と不安もあったけど、今、同窓会に行くとみんなと比べて「私、若いな」って思うし。
(全員爆笑)
徳井青空
ミルキィパワーだ。
橘田いずみ
普通に大学を卒業して、就職してというのとは全然違う人生を歩めたし、この約10年で経験したものが今後の自分にどう影響をもたらしてくれるのかと考えるとワクワクしてます。まさに“さんきゅー!ミルキィ”の気持ちで。とにかく「楽しかった」のひと言ですね。
佐々木未来
私はミルキィのオーディションに合格して、声優を始めたし、お仕事をすること自体も初めてだったのですべてを教わった感じです。岩手から上京して1人暮らしを初めて心細かったけど、ミルキィが家族みたいな存在で、まさに「ホーム」でお姉ちゃんが3人いるような。それが今でも続いているし、1人のお仕事があっても帰ってくる場所がある安心感もあって。そんなミルキィがなくなって、1人ひとりが別々の道を歩むわけですが、メンバー同士の関わりはなくなってしまうわけではないので、3人と出会えたことも一緒に過ごした時間も素敵だったなと思います。
三森すずこ
私もミルキィがきっかけで声優になって。それまでは舞台のお仕事を中心にやっていたので、アニメやゲームに詳しくなくて。でもメンバーの3人がいろいろ教えてくれて。こんなアニメが流行っているとか、こういう踊りを踊るとみんなが喜んでくれるとか。ファンのみんなと仲良くなりたくて、「ハレ晴レユカイ」は青空に教えてもらって。
徳井青空
「空色デイズ」を歌ったほうがいいとか。懐かしいね。
三森すずこ
あと「パンツはしましまなんだ!」とか(笑)。別世界に来た感覚だったけど、私のことを面白く・楽しくしてくれて、ファンの方も「頑張れ!」って応援してくれるし、なんて幸せな世界なんだろうって思いました。声優をやっていても経験できないこともさせてもらえたし、最初の武道館ライブも結成後わずか2年でさせてもらえたし、貴重なことばかりでもう感謝しかありません。
──皆さん、声優として本格的な活動を始めたのが、ミルキィが最初だったからこそ固定観念に縛られず、様々な挑戦を楽しんでやれたのかもしれませんね。
三森すずこ
「これやって」と言われても疑問も持たず、「そういうものなんだ」と思ってた。
佐々木未来
大人にだまされながら(笑)。
橘田いずみ
もし声優のお仕事をちゃんとわかっていたら断っていたこともあったかも(笑)。
徳井青空
とりあえず提案されたらやってみようという気持ちで何でも取り組んでましたね。
橘田いずみ
でもミルキィの活動をしていることで、他のお仕事でどんなことがあっても動揺しなくなった。
三森すずこ
どんな色の衣装でも着られる。だってあの衣装を普段着ているんだから。
徳井青空
とてもかわいいんですけど、例えばシャロ(三森さんが演じるキャラ)だったら髪がピンクだからピンクの衣装も似合うけど、私達が着るの?と衝撃的だったけど、今はもうアレが似合い過ぎて、他の衣装が考えられなくなりました(笑)。
後編へ続く。後編は明日アップ予定!
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サイン入りポスターを2名様に!
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