兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第109回[2022年6月後半・やついフェス2022×2日、D.A.N.とOGRE YOU ASSHOLEと鬼の右腕、DURAN、坂本慎太郎が出た『FESTIVAL FRUEZINHO 2022』、『ドライブインカリフォルニア』の大阪公演2本目、の6本を観ました]編

コラム | 2022.07.20 18:30

イラスト:河井克夫

 音楽ライター兵庫慎司が、基本的に生、時々配信で観た、主に音楽・時々それ以外の、すべてライブのレポを書き、月二回ペースでアップしていく連載の109回目=2022年6月後半編です。今回は、フェス3、通常のライブ2、演劇1、の計6本を観ました。

6月18日(土)11:30 『YATSUI FESTIVAL! 2022』1日目@渋谷複数会場/ ニコ生×5、YouTube、LINE LIVE、LINE RECORDS

 やついいちろうプレゼンツの『やついフェス』。2020年は配信オンリー、2021年は会場数を減らして観客数を抑え、クラウドファンディングを募って「各ステージから無料生配信あり」で開催、そして今年2022年は、できるだけコロナ禍前の形に近づけて、かつ無料生配信もありで、行われた。
 で、私、ここ数年、毎年どこかでオフィシャルレポを書いていて、去年はこのDI:GA ONLINEにアップされた。で、「その日の公演が終わったらレポを即出し」だったのもあって、現場に行って各会場を観て回って終演後に書くよりも、PCの前で各会場からの生配信を観ながら書いた方がいい、と判断し、そうした。その1日目のレポはこちら。≫ DI:GA ONLINE:YATSUI FESTIVAL! 2021、6/19(土)DAY1クイックレポ
 で、今年は、即アップじゃなくて原稿の納品が数日後だったのと、去年はやっぱり「現場に行きたかったなあ」という悔いが残った、のもあったので、現場に行って、帰って書いて、それが後日、このDI:GA ONLINEにアップされました。
 という、1日目のレポはこちら。≫ DI:GA ONLINE:YATSUI FESTIVAL! 2022 6/18(土)DAY1レポ
 このフェス初登場の新鮮なアクト、毎回のように出ていて今年もすばらしかったアクト、いろいろ観たが、個人的にいちばん「食らった」のは、チャンス大城プレゼンツの「地下芸人トーク」でした。「うわあ、これ、今晩確実に悪夢を見るわ、俺」と思いました。で、見ました、本当に。

6月19日(日)11:30 『YATSUI FESTIVAL! 2022』2日目@渋谷複数会場/ニコ生×5、YouTube、LINE LIVE、LINE RECORDS

 というわけで、2日目のレポはこちら。≫ DI:GA ONLINE:YATSUI FESTIVAL! 2022 6/19(日)DAY2レポ
 『やついフェススペシャル歌合戦』に出場した、戸田恵子と宮迫博之の歌が、超絶にすばらしかったり、ダウ90000などが出たお笑いコーナーが大変に充実していたり、RIP SLYMEが再始動後初めてのライブをやったり、と、いろいろ盛りだくさんな日でした。生で観れてよかった、どのアクトも。

6月21日(火)19:00 D.A.N.×OGRE YOU ASSHOLE ゲスト:鬼の右腕@SHIBUYA Spotify O-EAST

 4年ぶりに開催された、D.A.N.とOGRE YOU ASSHOLEのイベント『Optimo』。ぴあにレポを書きました。ゲストの鬼の右腕も含め、3アクトともすごいインパクトでした。
 ≫ ぴあ:【ライブレポート】4年ぶりに開催 D.A.N.×OGRE YOU ASSHOLE対バンライブ『Optimo』

6月23日(金)19:00 DURAN@SHIBUYA Spotify O-EAST

 稲葉浩志やスガシカオなど、あちこちでひっぱりだこのギタリストであり、バンドやソロで自身の活動も行ってきたDURANが、2021年11月3日に2作目のソロアルバム『Kaleido Garden』をリリースして全国ツアーを回った、そのファイナルがこの日。なお私、その『Kaleido Garden』のリリース時に、SENSAでインタビューをしました。こちら。≫ SENSA:「普通」の枠に収まらないギタリストDURAN、新作『Kaleido Garden』に刻んだ生きた証
 で。この日のライブ、もう本当に自由だったし、「自由であること」の魅力に満ちていた、終始。
 ギターと歌のDURAN、Shiho(Dr)、MASAE(Ba)、鬼塚康輔(Sax)、松下ぱなお(Perc)の5人編成。セッション状態で延々と続く曲あり、ザ・ストゥージズやジミ・ヘンドリックスやブラック・サバスのカバーあり、ゲスト・ラッパーふたり(906とWestie)が加わる曲あり、DURANがドラムを叩いてドラムのShihoがギターとボーカルを担う曲もあり。
 DURANだけでなくメンバー全員、音楽と自分との距離が近いというか、演奏することがあたりまえというか、楽器が身体の一部というか。「こんなふうに演奏できたら楽しいだろうなあ」を超えて、「こんなふうに生きられたら楽しいだろうなあ」と、素直にうらやましく感じた。とてもいい気分になりました、観て。

6月26日(日)14:30 『FESTIVAL FRUEZINHO 2022』@立川ステージガーデン

 去年=2021年のフジロックは、コロナ禍の中、「海外アーティストなし」「世間の賛否両論で言うと“否”の嵐」という中で開催されたが、むしろそんな時だから行って体験しておきたい、というのと、3日目のトリが電気グルーヴなので行かないわけにはいかない、というので、参加を決めた。で、電気が出る3日目だけじゃなくて、1日目から行くことにしたのは、この人がフィールド・オブ・ヘブンのトリだから、なのだった。
 というほど大好きな坂本慎太郎、2022年6月3日に、6年ぶりのニューアルバム『物語のように』がリリースされた。当然、即買って聴きまくる。すばらしい。で、7月14日(木)に、リキッドルームでライブを行うことが発表になる。もちろん先行で申し込むが、当たる気がしない。
 後日、当然のように落選。ただ、多数の友人知人から「俺も外れた」「ダメだった」というLINEやメールが続々と届く中、「当たった!」という人がふたりもいて、びっくりした。なんちゅう引きの強さだ。現在から来年いっぱいくらいまで分の、運を使い果たしたと思う、そのおふたり。
 で。他のライブの予定、その時点で発表されていたのは、8月13日(土)のRISING SUN ROCK FESTIVAL 2022 in EZOへの出演と、6月26日(日)に立川ステージガーデンにて、cero、Bruno Pernadas(ポルトガル)、坂本慎太郎、Sam Gendel & Sam Wilkes(アメリカ)の4組の出演で開催される『FESTIVAL FRUEZINHO 2022』の、2本のみ。
 ライジングは、自分の日程的に、行くの無理。じゃあ立川の方に……(公式サイトを見る)……えっ、チケット代、14,000円! 出演4組で? 今年のROCK IN JAPAN FES.と同じ値段じゃん。海外から2組呼ぶからか。にしても、ceroはちょいちょい観てるので、正直、ここで観なくてもいいし。海外アーティスト2組のうち1組は「よく知らない」、でももう1組は「けっこう好き」。ではあるけれども、自分の気持ちとしては、「坂本慎太郎に14,000円払う」のに、限りなく近い。
 どうしよう。うーん、うーん、うーん……と、直前まで迷ったが、チケットが売り切れる気配もなかったし、「これは天が俺に観ろと言っているんだな」と心を決め、14,000円払った。で、行ってよかった、最高だったので。
 1それは違法でした 2まだ平気? 3死者より 4好きっていう気持ち 5浮き草 6愛のふとさ 7物語のように 8君はそう決めた 9ディスコって 10ツバメの季節に
 という全10曲。つまり『物語のように』から5曲、2020年にリリースした中から2曲、それ以前のディスコグラフィーから3曲。新しい曲、いっぱい聴けたし、過去の3曲=「死者より」「君はそう決めた」「ディスコって」の3曲も、どれも大好きだし、大満足で帰った。
 なお、その後(7/14リキッドルームの終演のタイミングで)、今年10月〜12月に、東京・大阪・神戸・熊本・沖縄の5ヵ所を回るツアーが発表になった。ツアーやるんかい! 初めてじゃないか、こんなふうに普通に国内を回るの。回る土地が、ちょっと独特だけど。
 とはいえ、やはり当たる気がしないので、とりあえず全公演申し込んだ。いちばん家から近いのは、初日の東京、10月26日(水) 昭和女子大学人見記念講堂。いちばん遠いのは最終日、12月7日(水)沖縄桜坂セントラル。さあどうなる。

6月30日(木)13:00 『ドライブイン カリフォルニア』@サンケイホールブリーゼ

 この松尾スズキ作・演出の『ドライブイン カリフォルニア』の、1996年・2004年に続く再々演、5月29日(日)に下北沢本多劇場で観た(この連載にも書きました ≫ DI:GA ONLINE:兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第107回[2022年5月後半・THE 2、SPRINGMANとハイエナカー、阪神×楽天、ウルフルズ、DOPING PANDA、GLIM SPANKY、『ドライブインカリフォルニア』、フラワーカンパニーズとSaToMansionなどを観ました]編)。
 で、あまりにおもしろかったのでもう一回観たくて、ぴあから「当日引換券」発売のお知らせが届くたびに、何度も開始時刻前からスタンバって申し込もうとしたが、申し込む以前に、アクセス集中でページにつながらなくて無理。しかし、6月29日(水)から始まる大阪公演を見ると、あれ、まだチケット売ってる。じゃあもう大阪まで行ってしまおう。と決めて、この大阪での2公演目に、足を運んだ。
 で、びっくりした。サンケイホールブリーゼ、初めて来たんだけど、でかい! 渋谷のシアターコクーンより大きいんじゃないか。東京公演は下北沢本多劇場だったので、ギャップがすごい。自分の席が、2階のまんなかよりちょっと後ろだったのも大きかったが、これ、生で演劇を観る際の限界キャパなんじゃないか、と思った。
 舞台自体は、さらに進化していた。阿部サダヲ、猫背椿、皆川猿時、村杉蝉之介などの、松尾作品でおなじみの大人計画の面々は当然のようにいいし、麻生久美子、谷原章介といった有名役者陣もよかったが、それ以外の面々もすばらしかった。特に川上友里、東京で観た時以上に、爆笑をかっさらっていた。

  • 兵庫慎司

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    兵庫慎司

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