兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第48回[2月の巻~前編~]

コラム | 2020.02.20 17:00

イラスト:河井克夫

音楽などのライター、兵庫慎司が、自分が観たすべてライブなどについてひとことレポを書いて、半月に一回アップしていく連載の2020年2月前半編です。半月で8本行ったうちの3本が新代田FEVER、そしてそのうち2本で同じバンドを観ている、というのは、なんなんだろう。と思います、我ながら。
あ、実は、2月13日に渋谷PREASURE PREASURE で、マカロニえんぴつのメジャー・デビューのコンベンション・ライブも観たんですが、関係者用のお披露目ライブ的なやつで、一般にチケットを売ったライブではなかったので、レポしないでおきます(バンドの音楽的基礎体力の高さがよくわかるすばらしいステージでしたが)。
あと、2月11日(火・祝)に、大阪ロフトプラスワンWESTで、「ライター鈴木淳史の『今宵のインタビューLOF部屋』というトークイベントに出たのですが、これ、「出た」であって「観た」ではないので、このレポからは除外します。
というようなルールで続けている連載でございます。

2月1日(土) LOST IN TIME @ 新代田FEVER

2020年になって初めての、バンド・セットでのワンマン。前回のワンマン=11月24日下北沢CLUB Queは、MCを入れるのはアンコールの一回だけ、それ以外はMCの代わりに本編中で3回ぐらい、海北大輔がポエトリー・リーディングをする、というスタイルで行われた。
で、それがとてもよかったもんで、今後ワンマンはずっとこういう形にすればいいのに、と思った。で、この連載でもそう書いたりもした(こちらです)。
そしたら、この日もそのパターンで、本編中は3回ポエトリー・リーディングがありでMCはなし、アンコールでだけMCあり、という構成だった。で、やっぱり、とてもとてもよかった。MCのタイミングで音楽の世界から現実に引き戻される、というのがなくて、ずっと音楽の世界にいる感じが続くステージで。
なお、アンコールで、東京キネマ倶楽部でのライブが発表になった。6月21日(日)。去年も同じ時期に、同じ会場で行ったワンマンです。

2月2日(日) Caravan @ CLUB CITTA' 川崎

毎年恒例の『新年祭』。このDI:GA ONLINEにレポを書きました。こちらです。ぜひ。

2月4日(火) BiSH、突然少年 @ 新代田FEVER

BiSHのセントチヒロ・チッチの企画するイベント『THAT is YOUTH!!!!FES』の2回目で、突然少年をゲストに招いてのステージ。BiSHのファンがBiSHに対してものすごくあっつい温度だった、のはまあ当然としても、その熱さを突然少年のステージにも向けていたことで、とてもいいイベントになっていた。
アンコールでは、BiSHと突然少年で、突然少年の「火ヲ灯ス」。めちゃめちゃよかった。突然少年のオフィシャルYoutubeにアップされています。

2月7日(金) WESTBAM、石野卓球 @ LIQUIDROOM

石野卓球が、「TAKBAM」というユニットを組んで音源をリリースしたこともあるドイツの国民的DJ、ウエストバムを招いて行った、東京・大阪のツアーの東京編。23時のオープンから25時まではSUGIURUMN、25時から27時頃までウエストバム、27時から石野卓球がプレイした。
私、ウエストバムのDJを聴いたの、久々でした。で、あまりに楽しくて、気持ちよくて、ウエストバムが石野卓球にDJを代わったあと、ステージの柵前に下りてお客さんをバックにスマホで自撮りを始めたのを見て、思わず写りに行ってしまいました。
翌朝思い出して「何やってんだ俺は」と思いました。で、ウエストバムのインスタを観て、特にアップされていないのを確認して、安心しました。

2月8日(土)『新日本製薬presents SONG & FRIENDS 100年後も聴き続けてほしい名アルバム 一夜限りのプレミアムコンサート 佐野元春の名盤『Café Bohemia』』 @ LINE CUBE SHIBUYA [渋谷公会堂]

って、長いタイトルですが、さらに補足説明。これ、音楽プロデューサー武部聡志が選ぶ、100年後も聴き続けられてほしい名アルバムを、さまざまなミュージシャンが再現するというシリーズ・ライブです。過去に荒井由実『ひこうき雲』と、小坂忠『ほうろう』で行っていて、その三回目がこの日。
演出・プロデュースは松任谷正隆と武部聡志、演奏は10人編成の「Café Bohemia GRAND ROCKESTRA」、サウンド・プロデュースはそのメンバーでもあるDr.kyOn。出演は、GLIM SPANKY、田中和将(GRAPEVINE)、山中さわお(the pillows)、RHYMESTER、小坂忠、山口洋(HEATWAVE)、LOVE PSYCHEDELICO、堂島孝平、中村一義、そして佐野元春。そう、これ、全部観たのです。どうでしょう。ぜいたくすぎるでしょう、それは。
基本的に、それぞれ『Café Bohemia』から1曲、それ以外の佐野元春の曲を1曲歌っていく構成。本編ラストは佐野元春が登場して、「99BLUES」「Individualists」「YOUNG BLOODS」。アンコールは全員で「約束の橋」。佐野元春、「ありがとう、すごく光栄です」とお礼を言ったあと、「なんか、お誕生日会みたいな感じ?」と感想を付け足していた。本当にそういう気持ちなんだろうなあ、と納得しました。

2月10日(月) 打首獄門同好会 @ ZEPP NAGOYA

結成15周年のいろんな活動の締めくくりのワンマン・ツアーで、頭とファイナルが東京公演なんだけど、そのどちらも自分が行けないスケジュールだったのと、翌日の11日が大阪で仕事だったもんで、「あ、前の日が名古屋だ、じゃあ名古屋で一泊すれば観れるじゃん」と思い、事務所にお願いして見せてもらったのが、この日だった、のですが。
最初のMCで大澤会長も説明していたが、ツアーが発表された時、この名古屋の日、「2月10日(祝)」というふうに誤っていた。メンバーもスタッフも誰も気がついておらず、普通に祝日だとみんな思いこんだ状態で、スケジュールが切られていたのです(翌日の建国記念の日と間違えたのではないかと推測します)。
それを見たファンのみなさんから「違いますよ、平日ですよ」と指摘されてびっくり、しかし今さらどうすることもできず、開演時刻を早くしていたのを19時に訂正して行った、という。まあ今の打首なので、平日だろうとチケットはあっさりソールドアウトでしたが、そんなことも含めてとにかく終始大笑いな、ひたすら楽しいライブでした。
打首のインターネット番組『10獄放送局』でおなじみ青木亜一人(アシュラシンドローム)がむちゃぶりで歌わされるコーナーもあり。アンコールでは彼の仕切りで、『10獄放送局』第48回のオープニング映像とエンディング映像を、客席をバックに撮る、という趣向もありました。
すでにアップされています。こちら。

2月13日(木) 大木温之 @ 新宿紅布

2019年7月に食道がんであることがわかり、すべての活動を休んで手術、その後療養に入っていたはること大木温之。11月29日からベーシストとしては(コゴローズやトモフスキー等で)復帰していたが、全開で歌うのはこの日が最初。紅布、すごい人口密度。
ひとりで弾き語りで30曲以上やった。3曲目だったっけ、新曲もやった。オナニーマシーンの「恋する童貞」のカバーも歌って「イノマー!」と叫んだ。ラスト2曲は、観に来ていたベース岡田光史とドラム茂木左を呼び込んで、3人で「プリリヤン」と「いきのばし」。完全復活、と言っていいと思う。
4月12日の京都ミューズホールの30周年イベント(京都みやこめっせ)と、4月25日か26日のARABAKI ROCK FEST.に出ることはすでにアナウンスされていたが、新たに、4月29日千葉LOOK「ピーズ解禁」と5月8日F.A.D yokohama「ピーズ放流」の2本のワンマンも、この日発表になった。いずれも、大木温之+我孫子義一+岡田光史+茂木左=ピーズ、としての出演だそうです。

2月14日(金) 突然少年 @ 新代田FEVER

新作『辺りを見渡せばきっと側に誰かいる』のレコ発、TENGAとのコラボライブ(前からこのバンドはTENGAと一緒にいろいろやっている)。新作に参加したドラマー3人(元BEAT CRUSADERSのマシータ、Mouse On The Keys の川崎昭、classicusのメンバーで銀杏BOYZ等のサポートも務める岡山健二)と演奏するコーナーがあったり、「バレンタイン劇場」という名のメンバーによる寸劇のコーナーがあったり(ギターのカニユウヤは女装)、転換の時間にボーカル&ギター大武茜一郎のお父さんが弾き語りで歌ったり、最後に通常のライブがあったり、と、何かもう、とてもカオスな時間でした。

  • 兵庫慎司

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    兵庫慎司

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