宇徳敬子 25TH ANNIVERSARY スローライフと私〜Organic Cafe~
2018年10月7日(日) Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
ソロデビュー25周年を記念して、新曲を含む自身初となるセルフカヴァーアルバム『スローライフと私〜Organic Cafe〜』を発売した宇徳敬子が、アルバムリリースを記念して行っていた東名阪ツアー<「スローライフと私〜Organic Cafe〜」>を10月7日、マウントレーニアホール 渋谷プレジャープレジャー東京公演ファイナルで締めくくった。
アンコールでは、ワンマンライヴを年に1〜2回からスタートして、ここ何年かで「自分のペースで歩めるようになりました」と話し、だからこそ、25周年を迎えたいま「やっと“歌手”になれました(笑)。嬉しいです。ありがとう」と集まったファンに報告した宇徳敬子。
この日の公演チケットは完売。場内には「おどるポンポコリン」で大ヒットを記録したB.B.クィーンズのコーラスで彼女を知った人、同グループから派生した3人組ユニット・MiーKeのメインボーカルとして「想い出の九十九里浜」などをヒットさせていた頃に彼女を知った人、ソロへ転身後、アニメ『名探偵コナン』のエンディングテーマに起用されたヒット曲「光と影のロマン」で彼女に出会った人や、はたまたB'z、T-BOLAN、WANDS、FIELD OF VIEW、三枝夕夏 IN db、小松未歩、愛内里菜といったアーティストのコーラスに携るスタジオミュージシャンとして彼女と出会った人など、それぞれが様々な時代の彼女と出会い、そこから宇徳敬子を支えてきたであろうファンが、遠く台湾からもこのアニバーサリーを祝いに駆けつけていた。
暗転した場内、スクリーンには月が映し出され、そこから宇徳が地球にやってくるほのぼのとしたアニメーションのオープニングムービーに続いて、ライヴはソロデビューシングルであり、ニューアルバムの1曲目「あなたの夢の中 そっと忍び込みたい」で幕開け。ステージに立つ宇徳はクリアな声の奥に真の強さを備えた美声で、一音一音、めちゃくちゃ正確なピッチ感で巧みにミドルテンポの歌を操っていく。だが、「Happy Way」の歌のみのフリーテンポになるパートでのエモーショナルな高まりや、場内にハンドクラップが響いた「Realize」のスタッカートをつけたパーカッシブな歌のアクセントの入れ方、客席の掛け声を叫ばせるエネルギッシュな歌で場内をヒートアップさせていった「あなたは私のENERGY」など、アップチューンの曲をとらえる歌唱は、ビートをジャストにとらえ、アタックの強い声で伸びのある歌声を届けていく。
この前半だけで、彼女の25年というキャリアを感じさせる圧倒的なテクニックを歌で体感。なのに、宇徳の歌は聞き手に緊張感を与えない。常にリラックスさせた気持ちで癒してくれるのは、彼女の耳に心地よい声の成分と、本人のキャラクターの影響も大きい。モデル出身ということもあって、本物の宇徳は本当に美人でスタイルも抜群。だが、歌っていないときの彼女といえば、しゃべっている途中にマイクを置いて汗を拭いたり(その間もおしゃべりは続行)となかなかの天然っぷりを発揮するお茶目さん(微笑)。そんな彼女、「宇徳さーん!」と呼ばれると驚いたようにそちらに顔を向け、前列に可愛い子供を見つけると話しかけるように何度も手を振るようなチャーミングな女性でもあるのだ。そうして「日々悩んでいることを忘れるのも大事なこと」という曲解説から、2人が未来のために別れを決意する「二人のために未来のために」、遠くにいる彼をいまでも愛おしく想う「まぶしい人」の“浄化ソング”2曲を歌っていったパートは、主人公の情感を細かく表現していく声色、ビブラートやファルセットを使った歌の表現に会場が酔いしれた。
また、「八方塞がりのとき、みなさんはどうしますか?」と観客に問いかけた場面では、自身が前が見えなくなって壁にぶち当たったとき「私は曲を書くことで前が見えた気がしました。なので、ちょっとマイナーな曲なんですけど、光が向こうにある。そんな風に思って聴いてください」という曲紹介から「愛の戦士〜I'm a Fighter~」、さらにマイナーで、かつサウンドもハードな「満ち潮の満月」を続けて熱唱。少し間をおいて笑顔に戻った宇徳は「生きてると大変なことがあったりするよね」とファンに友達のように話しかけた。
ライヴの後半戦は「このツアーで全然歌ってないの」といったあと、ニューアルバムで前川真悟(かりゆし58)とコラボした「声のジェット機〜アイのコトバ〜」を、お客さんにサビパートをその場で叩き込み(笑)、観客とのコラボでこの歌を東名阪ツアーで初パフォーマンス。そうして、本編ラストはお客さんのさらなるシンガロングに包まれながらボーナストラックに収録されている新曲「One More Chance」を華やかに歌い上げた。
“UKコール”に呼ばれ、再びステージに現れた宇徳から、12月24日に日本橋三井ホールで久々にクリスマスコンサートを開催することが告げられると、観客は大喜び。さらに「ゲストだ〜れだ?織田哲郎さんでーす!!」というサプライズ発表に、場内は割れんばかりの拍手喝采に包まれた。
そうして「今日はMi-Keのメドレーを演らなかったから、織田さんつながりでデビュー曲歌っちゃおうかな。ソロでは初の『おどるポンポコリン』、みんな“(近藤房之助パートの)タッタタラリラ”大丈夫?(観客「大丈夫!!」)」といって、織田が作曲したアニメ『ちびまる子ちゃん』の「ゆめいっぱい」と「おどるポンポコリン」を続けてパフォーマンス。想定外のプレゼントに観客は一丸となった盛り上がりを見せ、場内はこの日最大の熱狂と歓声に包まれた。それを見た宇徳は「いやー、盛り上がりましたね。会場が一つになるって気持ちいいですね」といったあと「さくらももこさん、ありがとうございました」と天井を見つめ、そっと手を合わせた。そして、最後に「来年も、みんなと会えるハッピーな企画をやっていくのでよろしくお願いしまーす」と挨拶したあと、ファンがみんなでDメロを最後に大合唱する「光と影のロマン」で、ライヴを熱く締めくくった。
クリスマスコンサートは、宇徳の抜群の歌唱力で心地よくなるのはもちろんのこと、ゲストの織田哲郎との共演はニューアルバムでの再会があってこそ。この日しか見られないふたりのプレミアムなステージは見逃せない。
セットリスト
01. あなたの夢の中 そっと忍び込みたい
02. 不思議な世界
03. ⾵のように⾃由〜free as the wind〜
04. Happy Way
05. Realize
06. あなたは私のENERGY
07. ⼆⼈のために未来のために
08. まぶしい⼈
09. どこまでもずっと
10. あなたが世界⼀
11. 愛の戦⼠〜I'm a Fighter〜
12. 満ち潮の満⽉
13. 神様からのプレゼント
14. 声のジェット機〜アイのコトバ〜
15. Good-by morning
16. One More Chance
EN
01. ゆめいっぱい
02. おどるポンポコリン
03. 光と影のロマン