中島卓偉が開催した東名阪ワンマンツアー<(16 BEATS ONLY!!)Dance!Feel The Noize.>。このツアーは、これまで自身が発表してきた16ビートの楽曲のみでセットリストを組むという、なんとも挑戦的かつ異例なもの。なぜこういったライブを行なうに至ったのかは、当サイトでのインタビューで語ってくれているので、ぜひそちらを読んでいただきたいのだが(中島卓偉、“16ビート”の楽曲のみを演奏する東名阪ツアーを開催。その挑戦的な試みの真意を聞く)、かいつまんで説明すると、彼はデビューしてから19年の間、16ビートを意識して楽曲を作り続けてきた。しかし、それらをライブで披露するときに、「リズムの取り方」や「グルーヴの解釈」に関して、オーディエンスとの間に大きな齟齬を感じ続けていた。日本独特の文化である1拍目と3拍目ではなく、そもそもロックは2拍目と4拍目でリズムを取ることが基本であって、自分の曲も8ビートではなく16ビートを感じて楽しんでほしい。そんな彼の長年の想いをわかりやすい形で伝えるべく企画されたのが、今回のツアーである。その最終公演が、2018年6月22日(金)、渋谷WWW Xにて開催された。
卓偉は、サポートメンバーである生熊耕治(Gt.)、鈴木賢二(Ba.)、安東祐介(Dr.)と共にステージに登場。グラムロック感のある衣装に身を包んだ4人は、肩を組んでフロアに向かって一礼。各自持ち場につくと、安東が豪快なドラムを叩き始め、ライブは「BADLY NOOOO!!!!」で幕を開けた。ステージから放たれる凄まじいグルーヴに、オーディエンスはシンガロングで応戦すると、そのまま「OCTOPUS SOLDIER」「PASSION HIP LADY」と立て続けに曲を繰り出していく4人。卓偉はときにフロアにマイクを向けたり、檄を飛ばしたりしてオーディエンスの興奮を激しく煽れば、「上手く言えない」では、キレのあるダンスを華麗に見せつける。また、男性には低めに、女性には高めに設定したコール&レスポンスから「焼酎ギャル」になだれ込むなど、凄まじいテンションで一気に駆け抜けていった。
MCでは“そもそもビートとは”といった基礎的な部分をしっかりと説明する卓偉。「まずは2拍目と4拍目でノるところから始めよう」と、ダメな例として1拍目と3拍目でクラップをしたり、手をあげたりした後、「今日はこれをやったら外に叩き出すから」と、笑いを交えながらフランクに話を続けていく。そんななかでも、もしかしたらこれが一番伝わりやすいのかもと個人的に思ったのは、タンバリンを使った説明。卓偉としても「子供の頃にビートルズを聴いていて、8ビートのドラムに対して、16ビートのタンバリンが入っていたことでノリ方がわかった」と話していたのだが、8ビートにあわせて、卓偉がタンバリンを振って細かくリズムを刻むと、客席から「おお、なるほど」といった雰囲気の声もあがっていた。他にも「カフェオレ」では「もっと跳ねていこう」とスウィングについて説明をしたり、この日唯一ギターを手に取った「TOO MUCH BUSINESS」では、「ここ! ここ!」と、2拍目と4拍目のタイミングを歌いながら説明する場面も。「リズムを理解したら音楽は数倍楽しくなるから」と、ときに曲を踏まえながら丁寧に、ときに溜まりに溜まった“19年分のストレス”を吐き出すように(笑)、ビートの講義を繰り広げていた。