Hanah Spring “歌うことは夢” 10年目の自信作『Dreamin’』誕生!オーディエンスと共に、共鳴し合うライブを誓う!

インタビュー | 2018.01.25 18:00

Hanah Spring

TEXT/永堀アツオ

今年、デビュー10年目を迎えるソウルシンガーのHanah Springが、iTunesジャズ・トップアルバムやBillboard JAPANトップ・ジャズ・アルバムで1位を獲得した前作『Handmade Soul』から実に4年ぶりとなるニューアルバム『Dreamin’』をリリースする。前作のリリース時にアルバムを共同制作していたギタリストの吉田サトシと結婚。それぞれがソロアルバムをリリースしているアーティストでありながらも、MISIAのツアーメンバーも務める二人が前作に続いてタッグを組んだ本作は、ジャズやソウル、ヒップホップなどの意匠を身に纏いながらも、生音のバンドサウンドによる“歌もの”として聴き手の心真っ直ぐに届く作品に仕上がっている。このアルバムを作り上げたことで自分の音楽性を確立できたという彼女に話を聞いた。

──Hanah名義での’08年のミニアルバム『Soulflower』のインディーズデビューから今年で10年になります。

当時はアコースティックのサウンドを追求していて。2009年にメジャーデビューしてからはレーベルの意向でデジタルなサウンドになったんですよね。作家さんからトラックを送ってもらって、自分たちで歌録りをして、顔を合わせなくても作業ができる環境だったんですけど、だんだん自分が何を作っているのかが分からなくなってしまって、またアコースティックに立ち戻って、’14年に『Handmade Soul』っていうアルバムを作って。デビューから6年目でやっと自分のやり方がちょっとだけわかって来たのかなっていう感じだったんですよね。

──そこがスタートラインという感覚でした?

そうですね。前作でやっと名刺ができたっていう感じですかね。

──そこからニューアルバムの制作に4年かけてますが、どんなものにしたいと考えてました?

MISIAさんのツアーコーラスをしながら、次の日とかに、その土地で弾き語りのライブをやらせていただいていたんですね。前作はバンドに頼ってるものが多かったんですが、一人でステージに立っても伝わるものにしたいなっていうのはありました。

音楽でたくさんの人をポジティヴな気持ちにできるような器の大きなシンガーになることが夢ですね

──アルバムの中で最初にできたのは?

前作を出した後にすぐに先行配信でリリースした『Thank you! Thank you! Thank you!』と『Song 4 Darlin’』の日本語バージョンですね。アーティストとして伸び悩んでる中、MISIAさんのコーラスを通じて、音楽でこんなに人が泣いたり笑ったり、飛んだり跳ねたりするんだっていうことを見せてもらって。いわば、魔法ですよね。そういうものを目の当たりにして生まれたのが、『Thank you! Thank you! Thank you!』でした。トンネルから抜け出せたような感覚で。そういうポジティヴな気持ちを持っている時期に生まれた楽曲だったので。

──思わずハンドクラップしたくなるようなファンキーな曲になってますが、一方の「Song 4 Darlin’」はシンガーソングライター的なアプローチで美しいハモが際立った曲になってます。

そのツアーで、澤田かおりちゃん、Lynちゃんという同世代の女の子3人でコーラスをしていまして。毎日ツアーをやって本番の後にホテルの部屋に集まってギターを持って遊んだりしていく中で、彼女達とは姉妹のように仲良くなって。うちは5人兄弟で大家族で、家族をテーマにした歌を描きたいなって以前から思ってて。自分も結婚したタイミングだったり、そんな風にしてできた曲ですね。

──このまま全曲についてお伺いしたいと思います。アルバムの1曲目を飾る『Dreamin’(living in a dream)』は自身がラップもしているヒップホップソウルになってます。

私が強く影響を受けてるのが、90年代後半から2000年代初頭のソウルミュージックなんですね。この曲は、ルーシーパールやラファエル・サディークのイメージでトラックを吉田サトシとDJ HazimeさんとSuiさんというチームに作ってもらって。その時代ティーンエイジャーで音楽を夢見ていたときの気持ちのまんま、大人になっても夢を追いかけてるよっていうことをテーマに書いてて。

──その追いかけてる夢というのは?

必死に色々やっても結果が出なかったり、でも歌うことで友達ができたり、私の歌を気に入ってくれる方達に会えたり、伴侶にも会えたり音楽に救われてもいる。これからは音楽でたくさんの人をポジティブな気持ちにできるような器の大きなシンガーになることが夢ですね。

──夢を追いかけながらも、今、「夢の中に生きてる」とも歌ってます。

ステージに立って、歌っている時に、夢の世界に生きているんだなって思う瞬間があるんですね。やっぱりこの瞬間のために生きてるなって思う。バックコーラスも好きなんですけど、自分で責任を持って音楽がやりたいし、毎日歌っていたいっていう夢は、子どもの頃から今まで変わってないですね。

──アルバムのタイトルも「Dreamin’」にしたのはどうしてですか?

ラジオでこの曲をオンエアして『アルバムのタイトルをどうしようかな?』って言ってたときに、ずっと応援してくださってるファンの人からそのまま『Dreamin’』がいいんじゃないかってコメントを寄せてもらって。最初は以前の作品『Soulflower』とか『Handmade Soul』のように、今回も『ソウル』っていう言葉をつけたいなと思っていたんですよ。でも言葉で縛りたくないなとも思って。聴いていただければ、ソウルミュージックが母体になっているのはわかると思うので。なんのひねりもないタイトルなんですけどね、10年目で自分の中で<歌う事は夢>って言ってもいいかなっていう感じがしたんですよね。

Hanah Spring

──Hanah Springさんが歌うことを夢見るきっかけになったルーツやこれまでの音楽遍歴もわかる内容になってますよね。先ほど名前の上がったラファエル・サディークはネオソウルのエッセンスをたっぷり染み込ませたサウンドを追求してましたし、アルバムの2曲目の『Diana(I don’t wanna stop)』は……。

レーベルの先輩、MUROさんからいただいたデモのトラックがレトロなモータウン的なソウルだったので、浮かんで来たダイアナ・ロスのイメージをヒントに、ダイアナ・ロスのヒット曲のタイトルが次々と出てくる歌詞のラブソングにしてみました。

──続く、『Time Traveler』はアシッドジャズ/ジャズファンク系のアップナンパーですが、作詞をMISIAさんが手がけてます。

“Hanahちゃんのイメージってこんな感じ”って言ってくださって。たぶん、私はMISIAさんの中では妹のようというか、10代の頃に出会っているので、その時のイメージをまだ持ってくださってるようで。

──デビュー前の2004年にMISIAトリビュート・アルバムで「つつみ込むように…」のカバーで参加したことがきっかけでMISIAのバックコーラスを務めるようになったんですもんね。歌詞は不思議の国のアリスがモチーフになってるようですが。

この曲の歌詞はお任せでお願いしたのですが、どうやら私は、MISIAさんに不思議ちゃんだと思われてるみたいですね(笑)

──(笑)『Happysongtoday(for my girl)』の「my girl」とは『Soulflower』に収録されていた曲名ですか?

そうですね。「my girl」は親友のために書いた曲だったんです。その子は、“私、彼氏一生できないかも。結婚なんてできないかも”って言ってたんですけど、10年後のある朝、起きて、メールをチェックしたら、結婚しました〜っていう知らせがきて。嬉しくて曲を作りました。遠くに住んでるけど、なかなか会えないけど、友情の印を残したかったし、その子の結婚式に行って、「my girl」の歌詞で書いた通りブライドメイドとして歌えたことも思い出ですね。

1 2

NEW ALBUM 「Dreamin’」リリースライブ
“Thank you! Thank you! Thank you! ”

2018年3月9日(金) duo MUSIC EXCHANGE(渋谷)
チケット一般発売日:2018年1月27日(土) SALE

関連リンク

RELEASE

NEW ALBUM 「Dreamin’」
(TOKYO RECORDS)
2/14(水) SALE