7月12日、14日と2daysで開催された『Cocco 20周年記念 Special Live at 日本武道館 2days ~ 一の巻 × 二の巻 ~』。今回わたしは12日の一の巻を観に行かせて頂きました。
まず会場外の物販ブースに飾られた、デビュー20周年デザインの沖縄の琉装姿に身を包んだCoccoさんのお写真がとても美しく愛らしく、印象的でした。そして一の巻は、主にデビューから中期までを支えてきた向山テツさん(Dr)、根岸孝旨さん(Ba)、白井良明さん(Gt)、長田進さん(Gt)、柴田俊文さん(Key)、武藤祐生さん(Vl)という布陣。みなさんがファイティングポーズを決めたツアービジュアルもとっても素敵。
根岸さんと以前お会いさせて頂いたことがあり、その時もCoccoさんのお話をしてくださいました。そんなみなさんのステージ。20周年ということにもそれぞれの想いがあったと思います。シンプルに据えられたステージに、メンバーのみなさんが上がり、Coccoさんが裸足に真っ白な柔らかいドレスを身に纏い翔け出してきました。まるで妖精のようでした。登場から会場全体の暖かい拍手。一曲目は、デビュー曲『カウントダウン』。すらっとした身体を前後に大きく揺らしながら、真っ赤な照明と共に、序盤は生と死の境目を強く感じる歌と演奏に、身につまされる思いでした。そして武藤さんのバイオリンが、冒頭からすごく印象的で。孤独な狂気を感じたり、自然の温もりを感じたり、彼女の歌声と一緒にころころと表情を変えていき、相乗し合って絡み合うのがとても心地よかったのです。
そして、今回の武道館で更に感銘を受けたのは、照明でした。まっさらなステージが、まるで熱帯雨林の中のように見えたり、深い海の中に見えたり、砂漠の大地に見えたり、こんな体験は初めてでした。ビジョンや装飾で様々な手法があるこの時代に、照明1つで、そのすべてを網羅し超えていました。その中でCoccoさんは常になによりも眩しい光になっていたのです。1つのステージに携わる方の数は、表に見える何倍もの人数ですが、その力が重なり合って最高のパフォーマンスでまた誰かの心を動かします。まさに、彼女自身とその音楽を理解し尽くした人にしか出来ないパフォーマンスでした。
1つの歌を歌い終わるたび、口を拭う姿がありました。言葉を魂として吐き出し、まるで特殊な力を持ったジブリの主人公のように、常人離れした仕草でした。
「この歌が終わったら今までで一番自由になれる気がする」
「身にあまる素敵な人生をありがとう、さようなら。」
最後の曲の前にそう言って歌い出し、それまで拭っていた手で、涙を拭いながら、最後は晴れ渡る笑顔で深々とレヴェランスをし、投げキッスのあと、アウトロの中、彼女は出てきた時と同じように袖に翔けていきました。
そして強くなるバンドのみなさんの演奏。
脆さという強さ、生きる喜び悲しみを、ありのままに生きてきてくれたCoccoという存在に、ただただ感謝します。
そして恵みの雨のように、一瞬で過ぎ去った彼女を、また皆待ちわびるのだと思います。