インタビュー:永堀アツオ
常に進化系であるCharaとしては、昔の作品をじっくり聴いたり、過去を振り返る作業ができたのは良かったな。
──Charaさんにとって2016年はどんな1年になりましたか?
9月にデビュー25周年を迎えたから特別感を出したいって思って。ただ、みんなの特別感と私の特別感はちょっと違うんだよね。超大きい会場でライブをするっていうタイプじゃないからさ。でも、なんていうの、こういう機会がないと改めて昔を振り返ったりすることがないじゃない。常に進化系であるCharaとしては、昔の作品をじっくり聴いたり、過去を振り返る作業ができたのは良かったなって思いましたね。
──11月11日には、ちょうど22年前、1994年の11月11日に武道館で開催された伝説のライブ「Happy Toy Tour in 武道館」の映画館での上映会が開催されました。
そうだね。1日だけのライブビューイングっていうものを初めてやらせてもらったんですけど、懐かしのメンバーも観に来てくれて。私は、自分で観ながら口がぽかんと開いちゃいましたけど(笑)
──ステージ上で涙を流し、歌えなくなって座り込んでしまったCharaさんを浅野忠信さんが迎えに来るシーンもありました。
やべえ、この人って思ったね(笑)。私、パンクだったっけ?って。私は一筆書きアーティストだからさ。ダメなところはダメなまま表現しながら立て直していって、最終的に愛という文字に仕上げるっていうところがあって。あれを演出だと思った人もいたみたいだけど、私、妊娠3ヶ月だったんですよね。しかも、あのライブの日、当日に分かったの。私は二日前くらいだったかな(?)って思ってたんだけど、ライブビューイングに来てくれた友達に『あの日に分かったよね』って言われて。『いつもは歌う前は食べないのに、あの日は、ハンバーグとかめっちゃモリモリ食べて、そのまま行ったよね』って。マジで全然覚えてなかったんだけど(笑)、たぶん普通とは違う感情になったんでしょうね。不安要素があったから、ああなったんだと思う。
──武道館ライブから3年後の1997年9月21日に発表された5枚目のアルバム『Junior Sweet』のリマスター版がリリースされました。
Charaの一番売れたアルバムだね。結婚して、産後だし、乗ってる時代だったのかもしれない。とりあえずこれを聴いてもらえればCharaのことがわかるっていうアルバムだったから、リマスターを作りたいなって思ってたのね。リマスターって、宣伝のためって思う人もいるかもしれないけど、古いものって、マスターが劣化してしまうのね。古い写真や絵画と同じように、ある程度の期間が経ったら、マスターを作り直した方がいいんだよね。それが、25周年というきっかけでできたことは良かったなって思う。
初のオールタイムベストのライブが1日しかないんだよ。ま、でも、本当にリミテッドだよね。その響きは嫌いじゃないけど。
──秋にはそのアルバムをテーマにした全国ツアー「“Junior Sweet”Intimate interlude tour」も開催しました。“親密な関係の友達”という意味のサブタイトルがついていましたが、全6公演を振り返って、どんなツアーになりました?
あのアルバムの曲を全曲やったんですけど、久しぶりに来てくれた人もいたみたいで。だから、あのツアーで気をつけたことは、アルバムに思い入れがあって来てくれた人も多いだろうなってことだったのね。オーロラバンドのメンバーには、『オリジナルのフィーリングは残したいんだ』っていう話をして。ライブって、その日に受けたもので変わっていくものではあるけど、自分が誰かのライブに行った時でも、あまりにもライブバージョン過ぎると悲しくなるじゃない。だから、いち音楽ファンとして、できるだけ音源に忠実にしたいっていうことは伝えました。そうじゃないと、私も含め、みんな自由にやりすぎちゃうからね。
──(笑)そして、赤坂BLITZでのファイナル公演では、昭和女子大学人見記念講堂で開催されるオールタイムベストライブ “Tremolo Sparks” の発表もありました。
そう、あの場で制作から言われたんだけど、11月に出した初のオールタイムベストのライブが1日しかないんだよ。普通はもうちょっとやるよね。1日だけって、逆に大変だよ。ま、でも、本当にリミテッドだよね。その響きは嫌いじゃないけど。
今年のライブは?