レトロリロン、1stフルアルバム『コレクションアローン』を携えた全国ツアー最終地点、Zepp Haneda(TOKYO)をレポート

ライブレポート | 2026.05.11 18:00

RETRORIRON 1st Full Album「コレクションアローン」RELEASE ONE-MAN TOUR 2026
2026年4月18日(土)Zepp Haneda(TOKYO)

「レトロリロンです。最高のワンマンツアー! いい1日にしよう!」

自らに気合いを入れるように、涼音(Vo,Ag)が力強く宣言して、ツアー・ファイナルのステージが始まった。『RETRORIRON 1st Full Album「コレクションアローン」RELEASE ONE-MAN TOUR 2026』の最終地点、2026年4月18日、Zepp Haneda(TOKYO)。

オープニングナンバーは「リコンティニュー」だ。ステージ中央に涼音、下手(左側)にmiri(Key)、中央後方に永山タイキ(Dr)、上手(右側)に飯沼一暁(Ba)。涼音のMCを合図に、気迫あふれるバンドサウンドが繰り出されて、高揚感やときめきが疾走感と躍動感を備えたグルーヴに変換されていく。これはレトロリロン流の熱きロックンロールだ。観客もハンドクラップで参加して、ライブが始まった瞬間から熱気と一体感が充満した。この曲の後半の<もっと素直に笑いたい>というフレーズでは、客席も1つになって大きな声でシャウト。おそらくこの時点で、会場内には“素直な笑顔”があふれていたのではないだろうか。

涼音(Vo,Ag)

「声を出して! もっともっと!」と涼音があおり、観客のシンガロングが響き渡ったのは、「ワンタイムエピローグ」だ。キレッキレのリズムが気持ちいい。さらにポップでカラフルでエネルギッシュな「ラストハンチ」へ。ステージ上はもちろんのこと、会場内全体が“一丸”となっていた。このファイナル公演は、配信もされていたので、自宅で鑑賞する人もいた。きっと画面越しの観客にも、会場内のこの熱と興奮は伝わっていたことだろう。

ステージセットで特徴的だったのは、ステージ上のあちこちに赤、青、紫、緑、オレンジ、黄色など、カラフルな石が8個配置されていたことだ。1st Full Album『コレクションアローン』のジャケットの石を再現したものだろう。今回のツアーは、この最新作の楽曲を軸としつつも、人気曲や代表曲、さらにはライブで初披露の新曲を効果的に配置することで、レトロリロンの音楽の多面的で重層的な魅力を堪能できる構成になっていた。最新形にして、現時点での集大成、さらには、未来形を予感させるコンサートでもあったのだ。

miri(Key)

「いいね。今日は全国各地が我々ですわ」と涼音が配信を受けて、独特の表現で挨拶した。メンバーのトークを交えて、ツアーの日々を振り返る場面もあった。初日の香川で涼音がステージから転落するアクシデントもあったが、無事にファイナルを迎えることができたとのこと。彼らの言葉の端々からは、充実したツアーになったことが伝わってきた。「各地で特別を作ってきたので、今日も東京の特別を作っていきたいと思います」と涼音。

涼音がアコースティックギターを弾きながら歌ったのは2021年発表の「それでも生きていたい」だ。ジャズテイストを備えたナンバーで、涼音のヒリヒリとした歌声、miriのクールなキーボード、飯沼のジャジーな5弦ベース、永山の緻密なドラムと、味わい深いアンサンブルを堪能した。「Document」では、アンビエントとダンスミュージックの静と動とが混在する世界をダイナミックに表現し、観客も雄々しい歌声で参加した。レトロリロンのメンバーは全員が確かな技術の持ち主だが、テクニックを誇示するのではなく、歌の世界観を紡ぐことに集中していた。アルバムを作り、ツアーを回る中で、それぞれがプレイヤーとしての表現力を磨き、ライブ感を研ぎ澄ませてきたのだろう。

飯沼の骨太なベースソロで口火を切り、永山の炸裂するドラム、miriのシャープな鍵盤、さらに涼音のソリッドなアコースティックギターが加わって始まった「FAQ」では、スリリングなグルーヴに体の芯まで揺さぶられた。ブラスサウンドを導入したファンキーなナンバー「DND」では、ソウルフルな涼音の歌声と起伏に富んだ演奏によって、歌の中のストーリー性が際立ち、主人公の心境の動きまでもが生々しく伝わってきた。どんなにネガティブな感情であっても、音楽として表現することによって、ポジティブなエネルギーに昇華できることを、彼らの演奏が示していた。

飯沼一暁(Ba)

前半が終了したところで、レトロリロンのライブで恒例となっている“デンジャラス・ゾーン”へ突入。miri、飯沼、永山の3人がお題をもとにトークを展開するコーナーだ。ファイナル公演のトークでは、「どうでしたか、ツアーでデンジャラス・タイムは?」(miri)との質問に、「8割方、空振りだった」(永山)、「10公演やって、成長のきざしがない」(飯沼)とのこと。“あいうえお作文のコーナー”ということで、客席からお題を募集し、それぞれが即興で短文を披露する場面もあった。演奏中とは一転して、そこはかとなく緩~い空気が漂っていた。デンジャラスと言いつつも、バンドのチームワークの良さが見えてくる和やかなコーナーである。集中力のある演奏とのギャップがクセになりそうだ。

後半はモータウンのテイストのある「カテゴライズ」からのスタート。miriの軽快なピアノ、飯沼のカラフルなベース、永山の自在なドラムによるリズミカルなパフォーマンスが楽しい。さらに、シャッフルのビートに体が揺れた「ふたり」、涼音のせつない歌声が染みてきた「僕だけの矛盾」など、彼らの多彩な表現力が光っていた。会場内が一体となってのシンガロングが発生したのは「アンバランスブレンド」だ。<分かり合いたいね><許しあいたいね><信じ合いたいね>といったフレーズに説得力が宿っているのは、涼音が自分の思いを率直に歌詞として綴り、さらには、ステージ上に立って歌っている瞬間に湧き上がる感情や衝動を、そのまま歌の中に込めているからだろう。レトロリロンの音楽が、多くの人の共感を呼ぶのは、嘘がないから、そして言葉にならない叫びを歌という形にしているから。

永山タイキ(Dr)

「いろいろな人たちが、僕が僕のために書いた曲を、大事にしてくれていることを最近、実感しています。だからこそ、ここで満足したくありません。このツアーを回って、あなたともっと進んでいきたいと考えるようになりました。あなたにとって必要になった時にまた会いに来てください。出会ってくれてありがとう。これからもこの先も一緒に歩いていけたらいいね」

そんなMCに続いて、涼音がmiriのピアノの演奏のもとで、「咒」を歌った。歌とピアノだけだからこそ、純度の高い歌の世界が浮き彫りになっていく。痛切かつひたむきな歌声からは、大切な存在がこの世界から消えてしまったことへの深い喪失感がにじむ。それと同時に、悲しみの奥底から強い決意が浮かび上がる歌声が素晴らしい。祈りの歌、願いの歌、そして誓いの歌と形容したくなった。歌とピアノとその余白にある静寂が深く染み込んできた。無音も音楽の一部になっていたのだ。スポットライトに照らされてのパフォーマンスとなったのだが、曲の終わりでステージの背後から光があふれ出していくような照明が印象的だった。

一転して、観客のハンドクラップと一体になっての演奏となったのは、「バースデイ」だ。アルバムでも「咒」と「バースデイ」は7曲目と8曲目に収録されているので、同じ並びということになる。この2曲が共鳴しあうことで、暗闇の中からかすかに一条の光が差し、やがてその光があたりを照らしていくような、“時の流れの感覚”のようなものを味わった。生命力のみなぎる、みずみずしい演奏に熱烈な拍手が起こった。永山の四つ打ちの力強いドラムで始まった本編のラストナンバーは「UNITY」。涼音が永山のほうを見て、アコースティックギターを弾く場面もあった。間奏では、miriがブライトなピアノを演奏。涼音の歌声に合わせるように、飯沼、永山、miriがコーラスで加わり、さらに観客もハンドクラップとシンガロングで参加。会場内のひとりひとりのパワーを結集していくような白熱の歌と演奏によって、本編は大団円を迎えた。

アンコール1曲目では、TVアニメ『悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。Season2』のオープニングテーマになっている新曲「エゴ」(4月8日配信)がライブ初披露された。涼音のファンキーなアコースティックギターのカッティングに、大きな歓声が起こった。力強い歌声、ファイティング・スピリッツの詰まった演奏が観客を鼓舞していく。さらに、「みんな、大きな声を出そうぜ」という涼音の言葉に続いて、「ヘッドライナー」が演奏された。<いいから手伸ばせよ>というフレーズと連動するように、観客がステージに向かって手を伸ばしている。歌の歌詞と客席の景色とがシンクロする場面がたくさんあった。こうした光景からは、レトロリロンがライブバンドとしても卓越していることがよくわかる。

「ずっと友だちでいてくれますか」という涼音の言葉に続いて、ラストナンバーの「TOMODACHI」が演奏された。涼音のフレンドリーな歌声、miriの優美なピアノ、飯沼のニュアンスに富んだベース、永山の懐の深いドラムによって、会場内が温かな空気に包まれた。涼音が歌っている途中で、メンバー3人の近くに駆け寄っていく姿が微笑ましい。ステージ上も客席も、みんな“友だち”ということだろう。大きなバルーンが現れて、客席の間をカラフルに彩る演出もあった。曲の最後の<愛を伝えさせてよ>というフレーズでは、“ステージから客席へ”だけでなく、“客席からステージへ”愛を伝えるような熱烈なシンガロングが起こった。

レトロリロンと観客が固く連帯していくライブとなった。1stアルバム『コレクションアローン』に込められた思いが、ライブという場でさらに増幅していた。会場内のひとりひとりの孤独(アローン)を結集(コレクション)していくようなミラクルな夜となったからだ。この生きづらい時代の中では、誰もが孤独を抱えて生きている。そして、その孤独を解消することは簡単ではない。しかし、孤独を抱えたひとりひとりが集まり、レトロリロンの奏でる音楽のもとで、ともに歌い、拍手し、手を挙げて、同じ時間を共有することが、孤独と対峙して生きていく上での“糧”や“拠り所”となるに違いない。秋のZeppツアーも発表された。バンドは今を生き、そして未来を真っ直ぐ見据えている。音楽によって描かれる、友情と冒険のストーリーは、さらに大きく広がっていくことになるのだろう。

SET LIST

01. リコンティニュー
02. ワンタイムエピローグ
03. ラストハンチ
04. それでも生きていたい
05. Document
06. FAQ
07. DND
08. カテゴライズ
09. ふたり
10. 僕だけの矛盾
11. アンバランスブレンド
12. 咒
13. バースデイ
14. UNITY

ENCORE
01. エゴ
02. ヘッドライナー
03. TOMODACHI

公演情報

DISK GARAGE公演

RETRORIRON Zepp Tour 2026

2026年10月15日(木)神奈川・KT Zepp Yokohama
2026年10月17日(土)名古屋・Zepp Nagoya
2026年10月23日(金)札幌・Zepp Sapporo
2026年10月31日(土)福岡・Zepp Fukuoka
2026年11月03日(火祝)大阪・Zepp Namba
2026年11月07日(土)仙台・SENDAI GIGS
2026年12月12日(土)東京・Zepp Haneda(TOKYO)【SPECIAL EDITION】

イープラス プレオーダー受付(抽選)

受付期間:2026年4月26日(日)12:00 ~ 2026年5月25日(月)23:59

申込みはこちら

  • 長谷川 誠

    取材・文

    長谷川 誠

    • ツイッター
    • Facebook
    • instagram
  • 撮影

    スエヨシリョウタ

    • ツイッター
  • DI:GA ONLINE 10周年
  •   

SHARE

レトロリロンの関連記事

アーティストページへ

最新記事

もっと見る