
the shes gone presents
「クリスマス イズ ノットハッピー」
2025年12月12日(金) EX THEATER ROPPONGI
the shes goneの他に、This is LASTとNELKEの3アクトが出演。the shes goneとThis is LASTは、reGretGirlとの3バンドのツアー『the shes LAST Girl』を、「メイン・アクトはなし、三者が対等」という形で、2023年から毎年行っているが、クリスマスを控えたこの時期に、the shes goneの仕切りで、とてもthe shes goneらしい、というか、兼丸(Vo&G.)らしいタイトルを冠してイベントを行うのは、今回のこれが初めて。
なお、the shes goneがNELKEと共演するのも、初である。2025年の春から夏に行ったツアー『AGAIN TOUR』のゲストにNELKEを呼びたかったが、スケジュールが合わず、今回ようやく実現した、と、MCで兼丸は説明した。
それから、the shes goneが7年前=2018年、「想いあい」をリリースした時に初めて行った企画に、対バンのひとつでNELKEのマツモト シオリが出演していた、ただしその時は彼女はキーボードではなくドラマーだった、という縁もあるそうだ。調べたら、2018年3月22日に渋谷LUSHで開催した「the shes gone presents『moon』」でのことのようです。
NELKE
トップはそのNELKE。楽器なし、RIRIKO(Vo&Gt)の独唱で、「ロリポップサイダー」のサビを一回し歌いきる(1分弱あった)、そして「the shes gone、呼んでくれてありがとう!」と叫んでから各メンバーがイントロを奏で始める、という、インパクト抜群の始まり方だった。
「お二組の関係値があることを私たちはよくわかっている、その間に迷い込んでしまった5人組、NELKEです」。2曲目の「虹の色よ鮮やかであれ」を歌い終えて、RIRIKOはそう挨拶した。だからこそ、そういうオープニングにしたのかもしれない。それが功を奏したことは、2曲目の「虹の色よ鮮やかであれ」が始まると同時に、オーディエンスから起こったハンドクラップが証明していた、と思う。
昨日the shes goneのXに、各メンバーがThis is LASTとNELKEのおすすめ曲を紹介していた、そこで兼丸さんが選んでくれた曲──という紹介から「花図鑑」へ。「クリスマスに夏の曲なんですけど、この曲でたくさんの方にお会いできたから、ここ六本木で歌わせてください」と言ったRIRIKOは、ひとことひとことを噛み締めるように歌う。
イントロにメンバー紹介を入れた「バイバイアクター」と、「(the shes goneの)生活に寄り添うような歌詞がすごい好き、大好き、私たちはそれならばこの対バンで現実の愛を歌います」という宣言から入った「カレンデュラ」を経てのラストは「Incarnation」。曲の後半で明るくなった照明の下で、多くの拳が突き上げられた。
This is LAST
「恋愛凡人は踊らない」と「沼超えて湖」の2曲で、「みんなでシンガロング」→「みんなでハンドクラップ」状態でスタートした、二番手のThis is LAST。
「2026年の春には28公演のライブハウス・ツアーが決まったり、秋には初めての日本武道館が決まったり、ドラマの主題歌をやらせていただいたり……今日はちょっと久しぶりのライブなんですよね」などという菊池陽報(Vo&Gt)のMCをはさんで、そのドラマの主題歌=「シェイプシフター」へ。ストリングスで始まる音源とは違い、菊池陽報がアカペラでサビを歌う始まり方である。
「おもしろい!」と各方面で絶賛され、主演の竹内涼真の株を爆上げしたドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)のエンディングを飾ったこの曲は、同じように、This is LASTの株をかなり上げたのでは、と思う。この日も、菊池陽報が歌い始めた瞬間に、フロアが「きたっ!」という空気になった、ような気がした。自分があのドラマをとても熱心に観ていたから、そう感じた可能性もあります。
「#情とは」をじっくりと聴かせ、兼丸との関係性について話してから、菊池陽報、「元も子もないことを言いますけど、クリスマスがイズノットハッピーで終わっていいわけないだろ?」と言い出す。ノットハッピーの塊みたいな曲を歌い終えたところだからだろうか。
「カスミソウ」のブレイクで「歌って!」と呼びかけてシンガロングを、そしてラストの「オムライス」で「オムライス食べたい」のコール&レスポンスを起こし、確かに、EX THEATERを「イズノットハッピー」とは真逆の空気にして、This is LASTのステージは終了した。
the shes gone
トリのthe shes goneは、「まぼろし」「きらめくきもち」「ガールフレンド」「Winterboy」「ディセンバーフール」「ラベンダー」「エイド」「化物」「シーズンワン」の9曲を演奏した。
4曲目の「Winterboy」は、この日初めて披露された新曲。「元々は暗い曲ばっかりでライブをやっていたバンドなので、そこの原点に、じゃないですけども……冬は楽しい季節というよりかは、僕の中では凍てつく悲しい季節だという思いが一貫してあるので」と、とても偏ったことを兼丸が言った挙句、「冬に合う新曲を作ってきました」と、歌われた。
冬が凍てつく悲しい季節か否かは、個々で思いが分かれると思うし、分かれていいとも思うが、the shes goneの王道どまんなかなメロディ&コード進行でありつつ、聴いていてハッとさせられるような新しさもある、今後ライブで人気になっていきそうな曲だった、「Winterboy」は。
できれば、冬以外の季節もやってほしい。なお、この曲は、12月17日にデジタル・リリースされることが発表された。その「Winterboy」と対をなす、というつもりでセットリストに入れたわけではないだろうが、「めずらしく僕の中から前向きな言葉が出て来た」曲である6曲目の「ラベンダー」や、その次の「エイド」が、この日はより力強くEX THEATERに響いた、ような気もした。
熊谷亮也(Dr)
松田ナオト(Ba)
それから。自分は、the shes goneのライブを観たのは、この日が2025年では3回目で、前回から9ヵ月ぶりだった。なので、そのせいもあったのかもしれないが、本当に、演奏が良くなった、と感じた。
ベースの松田ナオトが、サポート期間を経て正式加入したのは今年の3月だが、その後のライブやレコーディング等の活動の効果なのか、他にも何か理由があるのかわからないが、リズムの「地に足が着いている感」が、とても頼もしく心地いい。で、それによって、決して音を厚くする方向には進まない(そこがいい)西尾マサキのギターも、どんなにエモーショナルになっても暑苦しい方にいかない(そこがいい)兼丸のボーカルも、自由度が増している感じがした。
なお、the shes goneは、2026年で結成10周年。なので、4月25日(土)豊洲PITの「シズゴの日」を皮切りに、12月までかけて21本のワンマンツアーを行う。PITでは、過去最大曲数を演奏する。ツアーは前後半を「春夏シリーズ」「秋冬シリーズ」と分けて、初めてコンセプトを持ったセットリストを組む。そして、2026年の1年を通してこれまでにリリースした曲をすべてライブでやる、以上が、この日、発表になった。

SET LIST
NELKE
01. ロリポップサイダー
02. 虹の色よ鮮やかであれ
03. 花図鑑
04. バイバイアクター
05. カレンデュラ
06. Incarnation
This is LAST
01. 恋愛凡人は踊らない
02. 沼超えて湖
03. シェイプシフター
04. #情とは
05. カスミソウ
06. オムライス
the shes gone
01. まぼろし
02. きらめくきもち
03. ガールフレンド
04. Winterboy
05. ディセンバーフール
06. ラベンダー
07. エイド
08. 化物
09. シーズンワン











