声優・鈴木達央が、Ta_2として5年ぶりに音楽活動を再開!新プロジェクト「SHINKIRO&Co.」1stワンマンライブをレポート

ライブレポート | 2025.10.21 19:00

SHINKIRO&Co.「cantabile con anima」
2025年10月13日(月・祝)品川インターシティホール

声優・鈴木達央がアーティスト名義のTa_2として5年ぶりに音楽活動を再開。新プロジェクト「SHINKIRO&Co.」(シンキロウ)を立ち上げ、13日に東京・品川インターシティホールで1stワンマンライブ「SHINKIRO&Co. cantabile con anima」を開催した。この日にCDリリースした1st EP『インビジブル』に収録の5曲に加え、この日のために制作したという新曲8曲もお披露目。ロック、ヒップホップ、ジャズ、ポップ……Ta_2の頭の中にある音楽が具現化された。

どこか不穏なムードを漂わせたSEが会場に流れると、手拍子が鳴り始めた会場。バンドメンバーが次々とステージに登場し、そしてTa_2が現れると、緊張から一気に解放されたかのように、ワッと会場が大歓声で沸いた。

ライブは1曲目からいきなり新曲の「リ:ゲイン-prototype-」を繰り出した。アッパーのビートが鳴り響き、お立ち台に上がるや「ジャンプ!ジャンプ!」と観客を煽ると、観客のジャンプで波打った会場。ヘヴィーな楽曲展開では激しく頭を揺らし、ツービートの展開では声をあげ、まるでクラブのように体を揺らす。

「どうも初めまして。SHINKIRO&Co.と申します!」。両手を広げて沸き起こる大歓声を全身で浴ながら、「今日は僕たちの第一歩に集まってくれて本当にありがとう。声出せる準備はできていますか?」と声をかけ、割れんばかりの歓声が会場に響き渡ると、「この景色は久しぶりだな〜!」とうれしそうに叫んだ。

続いてのブロックでは、タイトルがまだ仮だという新曲を披露。都会の夜っぽい雰囲気のサウンドと、ファルセットを織り交ぜた色気のあるボーカルに、観客がゆったりと体を揺らしながら耳を傾けた「アナタオモイ(仮)」。ダウナーなビートときらびやかなキーボード、そこへワウギターが絡み合って、どこかあやしく不思議な雰囲気を漂わせた「不眠症(仮)」。歌い終え「こういう(チルい)空気になるのは俺のライブで初めてだから、何とも言えない新鮮さがある。たまには飛ばないのもいいよね」と、会場に問いかけると、大歓声と大きな拍手がそれに応えた。

また疾走感あふれるアッパーのビートに、クラップや〈ハイ!ハイ!〉という掛け声の応酬。そしてTa_2の叫びをきっかけに、ヘッドバンギングで会場が一体となった「悪食」。また「朝鴉」は、「実にドープな曲」と紹介。作曲のHylenは勉強のため『うたの☆プリンスさまっ♪』を観たそうで、それを聞いて一抹の不安を覚えたが、上がって来たのがゴリゴリの(コアな)J HIP-HOPだったことに驚いたというエピソードも。コーラスが広がる壮大さのあるトラックに乗せ、早口でつぶやくようなラップ、そこから一転エキゾチックな展開も。曲を終え、「どう?どう?」と子どものように反応を欲しがったTa_2。多彩な新曲の数々に、「自分の中で新しい扉がバンバン開いている」とコメントした。

このSHINKIRO&Coは、Ta_2を中心にさまざまなミュージシャンとの交わりを経て音楽を作り上げる、出入り自由の音楽プロジェクト。堀江晶太、神田ジョン、ebaなどお馴染みの作家のほか、雨良(Amala)や、みちる、篠崎あやと、Rockwellなど。「俺の永遠のギタリスト」としてschon。そしてお立ち台は、MUCCの逹瑯からの借り物とのこと。関わった人への感謝を何度も口にした。

またバンドメンバーも実に豪華で、キーボードはPENGUIN RESEARCHの柴﨑洋輔。ギターのjunchi.は、HYDEなどのツアーにも参加しており、Ta_2とは『幕末Rock』の時からの付き合いがある。またドラムスは、INORANのツアーにも参加するRyo Yamagataで、Ta_2とは10年以上の付き合い。バンマスは、GANG PARADEなどアイドルのサポートも行うベースの中村泰造が務めた。最後に「またここから新人アーティストとして、一歩一歩紡いでいきたい。ボーカルのTa_2です」と自己紹介した。

楽曲を披露するごとに、その曲が作られた経緯や歌詞に込められた思いなどを丁寧に説明したTa_2。ライブ終盤に披露したヒトリエのイガラシより提供された「四季」は、「何かを大切に思う気持ちとか。守る、好き、愛してるっていいなという気持ちを書いた」という。穏やかな光が差し込むような、キラキラとしたサウンド。やさしいハイトーンのボーカルが印象的。スタンドマイクをしっかり握りしめ、思いを届けるように歌い上げた。

また、青(青春)をテーマに作ったという、熱く駆け抜けるようなビートに真っ直ぐな歌声を乗せた「残響サイダー」、「あまりにも締め切りが辛くてそれを曲にした」という、どこかユーモアも感じさせるノリのいい楽曲「〆キリ」など。さらに、どこか荘厳さも漂わせる力強くスケールの大きなサウンドに乗せて、胸に秘めた決意を高らかに歌い上げた「僕のように」では、タオルで涙を拭いながら耳を傾けるファンの姿もあった。

「前のバンドでは最初渋谷で100人も入らなかった。そういう気持ちは忘れたくない。俺は決めた!もう諦めない。お前らが喜んでくれるなら何だってやる。何でも頑張る。全部伝えて、不格好でも一歩一歩進んで行きたい」と、決意表明したTa_2。本編ラストでは「ここに集まってくれた人へのお礼」として、2日前に書き下ろしたという「花鳥風月」をアカペラで披露した。静まりかえった会場で、熱くエモーショナルに響くTa_2の声。歌い終えると、会場からは大歓声と拍手喝采が贈られた。

この日はアンコールで、「インビジブルダンサー」を再び演奏したほか、EPにも収録の爽快なナンバー「レグルス」で、ステージとフロアを仕切る柵に登って会場との大合唱を繰り広げた。さらに来年2月21日(土)に東京・渋谷CLUB QUATTROにて「SHINKIRO&Co. Tour 2026 〜Quattro Formaggi〜」を開催することも発表しファンを喜ばせた。

SHINKIRO&Coは、何にも縛られることなく、その時にやりたいことを、素直に音楽としてアウトプットしていくプロジェクト。この日のライブでも実に多彩な楽曲が披露された。一見取り留めなく思えるが、そこに共通するのはTa_2という核。そのTa_2が「もう何も諦めない」と宣言した、まるで選手宣誓のようなライブ。Ta_2の前のバンドを初めて観た時のような、これから何かが始まりそうな、そんな予感と衝撃で胸がざわめいた。おかえりなさい。

SET LIST

01. リ:ゲイン-prototype-(Live Demo)
02. インビジブルダンサー
03. ケセラセラー(Live Demo)
04. アナタオモイ(Live Demo)
05. 不眠症(Live Demo)
06. 蝋燭
07. 悪食(Live Demo)
08. 朝鴉(Live Demo)
09. 四季(Live Demo)
10. 残響サイダー(Live Demo)
11. 〆キリ(Live Demo)
12. 僕のように
13. 花鳥風月(Live Demo)

ENCORE
01. インビジブルダンサー
02. レグルス(Live Demo)

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