ハナレグミ ライブツアー「TOUR GOOD DAY」
2024年11月14日(木)Zepp DiverCity(TOKYO)
【MUSICIANS】Gt:石井マサユキ / Key:YOSSY / Dr:伊藤大地 / Bass:真船勝博 / Sax:武嶋聡 / Tp:類家心平
ツアーメンバーは、ギター:石井マサユキ/キーボード:YOSSY/ドラム:伊藤大地/ベース:真船勝博/サックス、パーカッションetc.:武嶋聡/トランペット:類家心平、の6人。
9月25日にリリースになったニューアルバム『GOOD DAY』のリリース・ツアーなので、『GOOD DAY』収録曲を中心に、その「Blue Daisy」「MY夢中」「雨上がりのGood Day」「どこでもとわ」等が、ライブの進行の上で重要な役割を果たす、ポイントに置かれたセットリストになっていた。
かつ、ニューアルバムのツアーである、というだけでなく、「家族の風景」や「独自のLIFE」等々の、過去の曲たちも、2024年のハナレグミがこの曲をこのメンバーと共に演奏し、歌うと、こうなります──ということを表しているような瑞々しさを放っていたし、なぜ今この曲をやりたかったのかが、聴けば、観れば、伝わってくる仕上がりにもなっていた。
『GOOD DAY』のジャケットが後方の壁一面になったステージに現れた永積 崇、数曲を歌ったところで入れた最初のMCで、1階スタンディングフロアと2階座席を見渡して、「もうぎっしりだね!ヤバい!」。バンドSUPER BUTTER DOGでの活動も含めると30年近いキャリアで、海外も含め多くのフェスで大観衆の前に立って来たし、野外ワンマンで20,000人を集めた(2005年9月24日/東京・小金井公園)こともある人だとは思えない喜びようだが、本心であることが、その表情からわかる。
そして二度目のMCでは「ワオ!、うれしいですね。このツアー最大の会場です、今日が。お酒、売ってますね? (人を)かき分けて買いに行って、飲んでくださいね。音楽とお酒は恋人みたいなもんですから」と、オーディエンスに勧める。そして、7年ぐらい前まで酒を浴び続けていて、しょっちゅう記憶をなくすほど飲んでいた、ある日の明け方、恵比寿のラーメン屋でつぶれていたら起こされ、顔を上げたら警官で、「困ってるから。お店の人、困ってるから」と言われて平謝りで逃げ帰った、というエピソードで笑いを取る。
それを聴きながら、自分が知っている限りでは、だが、日比谷野外大音楽堂でお客の飲酒量が多い三大アーティストのひとつがハナレグミであることを思い出した。あとの2組は、GRAPEVINEとCaravanです。
永積 崇がアコースティック・ギターを抱えて歌う曲。エレキギターを弾きながら歌う曲。スタンドマイクで歌う曲。ハンドマイクで動き回りながら熱唱する曲。
イントロでラップを入れる曲。1960年代の黒人のソウル・シンガーのような太くてハスキーな声で、オーディエンスと掛け合いを続ける曲。
「Make Your Noise!」とオーディエンスを煽る曲。オーディエンスから大きなシンガロングが返ってくる曲。マヒトゥ・ザ・ピーポー(GEAZAN)に曲提供を依頼し、曲を受け取るまでの経緯を話してから、曲に入った「どこでもとわ」。などなど、どの曲も、耳と目を離せない。
本編後半の某曲を終えた時は、「このツアーでいちばん汗かいてます。途中で目をつぶって歌ってたんですけど、感動してるわけじゃなくて、(汗が入って)目が痛くて。いやあ、うれしいですね」。
そして、オーディエンスの身体を揺らし、歓声を挙げさせ、シンガロングさせる、つまりバンドの熱もオーディエンスの熱もピークを迎える曲も重要だが、永積 崇がひとりっきりで、自身のアコースティック・ギターだけで歌う曲も、とても重要である。すべての瞬間が大事で、すべての瞬間がかけがえのないもの。そんな約2時間だった。
「ツアー7本目なんですよ。だけど出番前にメンバーには『30本目の気持ちでやろう!』って言ってるんで。30本目はいいなあ!」
と、中盤のMCで永積 崇は言った。笑いながらの発言だったが、実際に、本当に、そういうステージになっていた。
このアルバムで新しい扉が開いた気がする、だからそれを止めず、来年も動いていきたいと思います──中盤のMCで、そんな発言も出たので、2025年のアクションも、いっそう楽しみになった。
もちろん、その前の東京・神戸での『ホールでGOOD DAY』も楽しみである。この「TOUR GOOD DAY」とは若干違う内容になることも、アナウンスされているので。
あとひとつだけ。
この日のアンコールは3曲だったのだが、その2曲目に歌われた弾き語りでは、「何やろうかなあ」とつぶやき、ギターをちょっと鳴らし、メンバーに「(キーは)Gね」と伝えてからひとりで歌い始め、そこにそれぞれの演奏が加わっていった、あの曲である。
あれ、このツアーでの演奏予定曲に入っておらず、バンドでの練習を一回もしてやっていなかったように見えたのだが、どうか。
見事なもんでした。