山本彩、全国ライブハウスツアー15公演を完走!「最高のステージだといえるのは、みんなの力のおかげ」

ライブレポート | 2023.08.09 18:00

SAYAKA YAMAMOTO LIVE TOUR 2023 -&- An Encore Show
2023年8月3日(木) Zepp Haneda(TOKYO)

山本彩の全国15公演に及んだライブハウスツアーのファイナルとなる『SAYAKA YAMAMOTO LIVE TOUR 2023 -&-』の追加公演が8月3日(木)に東京・Zepp Hanedaで開催された。

満員のフロアは開演前から熱気に包まれており、開演5分前を知らせる影アナに続き、阿部真央「pharmacy」が流れ始めるとオーデェンスは大音量のクラップを鳴らし始めた。場内が暗転し、バンドメンバーの小名川高弘(Key)、草刈浩司(Gt)、SATOKO(Dr)、奥野翔太(Ba)、Ayasa(Vn)、asami(Cho)に続き、山本彩がステージに上がり、エレキギターを抱える。バンドメンバーの衣装は黒で統一されており、山本のみが白いドレス風のワンピース。最新のトレンドであるY2K風のヘアスタイルで、金髪でお団子もしているので、セーラームーン(セレニティ)のようにも見えた。

ライブは、今年5月にリリースした、3年ぶり4枚目のアルバム『&』の最後に収録されていた2曲からスタートした。ラップをフィーチャーしたミスクチャーロック「Don’t hold me back」で悩みや葛藤を振り切って前へと進む姿勢を示すと、オーディエンスに「ぶっ飛ぶ覚悟はいいか!」と呼びかけ、ラウドでヘヴィーなロックナンバー「Bring it on」ではスピーカーに足を乗せてエレキギターをかき鳴らし、<まだ始まったばかり/ここからが本番だ>と新たなスタートを宣言。そして、アコギに持ち替え、阿部真央が提供した「喝采」へ。巻き舌でシャウトする山本の歌声とエネルギッシュなバンドのアンサンブルに、クラップを鳴らし、ジャンプを繰り返していたオーディエンスの声も一段と上がり、冒頭の3曲で早くもライブでしか味わえない一体感がもたらされた。

最初のMCではオーディエンスの大きな声援を受けて、「これまでの15公演でも、今日がファイナルでもいいと思ったライブがいっぱいあったんですけど、間違いなく今日がファイナルですね!」と呼びかけ、「とてつもなく寂しさはあるんですけど、そんな寂しさも吹き飛ばせるくらいハジケていきたいなと思います」とあいさつ。コール&レスポンスでオーディエンスとのコミュニケーションを楽しんだあと、バイオリンとベースのソロバトルを挟み、ラテンビートの「unreachable」では妖艶なダンスで数多くの女性ファンを魅了すると、シームレスで「劣等感」へと繋ぎ、山本はドラムセットからクラップを煽り、速いパッセージのメロディと実際のテンポ以上の勢いを感じさせるパワフルなリズム隊が繰り出すビートによってライブを加速させていく。そして、山本が敬愛するELLEGARDEN「風の日」のカバーではピンスポに照らされた彼女がエレキギターを弾きながら一人で伸びやかに歌い始め、やがてバンド演奏が加わり、照明も次第に柔らかく明るい色へと変化していった。ライブ全体で見ると、「ネガティブな面やポジティブな面といった矛盾してるけど両立している部分を表現した」と語っていたアルバム『&』の転換の役割も果たすパフォーマンスだったように感じた。

中盤ではツアーを振り返りながらバンドメンバーと気の置けないトークを繰り広げ、毎公演、Y2Kをテーマに変えていたという山本のヘアスタイルが「今日が最終形態」であることも明かされた。そして、「ほいじゃ、夏っぽい曲をやりたいと思います」と語り、君を照らす“光”になりたいと願うラブソング「蛍」では、切実な歌声を響かせ、ツインギターによるハーモニーも披露。続いて、理想と現実の間で揺れ動きながら、<光り輝く空だけじゃ物足りない>と嘆き、新しい自分に出会うための一歩を踏み出そうとする「ゼロ ユニバース」から小林武史プロデュースのウィンターバラード「追憶の光」。そして、バイオリンの調べがオリエンタルな風景を引き連れて、<誰かのことを照らせるような人になりたい>と歌う山本がその声で楽曲のスケールを広げていく「ラメント」へ。“光”と喪失をテーマにした楽曲が並んだ中盤は、彼女のヴォーカリストとしての表現力の多彩さをじっくりと味わうことができる時間となっていた。

ここで「超楽しいです。ファイナル、1曲1曲噛み締めて歌っています」と振り返った彼女は、「しっとりとしたナンバーを続けて聴いてもらったけど、もうひと暴れできますか?」と煽り、後半戦へと突入。「JOKER」ではギターをかき鳴らして手を上げるフリでフロアが1つとなり、バンドメンバーである<チームSY>で制作した「Weeeekend☆」では会場が一体となるシンガロングを繰り返して盛り上がり、山本の「飛ばしていくぞ!」という掛け声で客席のボルテージがさらに上がり、「TRUE BLUE」で会場の熱気は最高潮へと達した。本編のラストはバスドラの速い4つうちから始まるラテンロック「ドラマチックに乾杯」。「ほんまに幸せです」と感謝の言葉を伝えた彼女は、オーディエンスと一緒にタオルを回しながらパフォーマンスし、熱狂のうちに締めくくり、最後はムーンウォークでステージを後にした。

アンコールではデニムパンツにへそ出しのトップスという、まさにY2Kファッションで登場。「ファイナルやから意気込んでて。最高のものにするぜっていう思いでステージに立たせてもらってるんですけど、最高のステージだといえるのは、みんなの力のおかげやなって改めて実感しました。みんなで歌って、騒いでできると、完璧な相思相愛やなって思います」と愛を告白。続けて、コロナ禍で一部公演が中止となった前々回の「山本彩 LIVE TOUR 2020 〜α〜」と前回の「SAYAKA YAMAMOTO TOUR 2021 〜re〜」について触れ、「どっちも完走できなかったし、めっちゃ悔しかったし、みんなにも申し訳なかったんですよね。そんな思いも含めて、特別な気持ちがあったので。長かった霧のなかからようやく抜け出せた気持ちがあって。ツアーが始まってからの2か月間、めちゃくちゃ幸せでした」と正直な心情を吐露すると、フロアからは温かく大きな拍手が送られた。

さらに「自分には特別なものとか、人よりすごいものがあるなんて、一切思ってなくて。でも、そんな自分にもきっと、やり遂げられること、誰かの力になれること、自信を持てることが、続けていれば出来るんじゃないかなって思ってるし。今日、またみんなに自信というかけがえのないものをもらったので、みんなをもっと大きいところに連れていけるように、また、30代!も体を鍛えつつ、やっていきたいなと思います。長い旅に、長いマラソンにケガせずについて来れるように、これからも一緒に楽しんでくれたら嬉しいです」と決意を表明。そして、「そんな旅にもぴったりな曲になってます」というEDM「yonder」から、後ろを振り返らずに明日の自分に、見たことのない自分に会いにいくと歌うライブの鉄板曲「Are you ready?」でオーディエンスのクラップとジャンプ、<WOW WOW WOW>という合唱を引き出し、<新たな居場所はここだ>と力強く宣言。全15公演に及んだツアーを見事に完走した。

……かと思いきや、オーディエンスの興奮は冷めやらずに、フロアからの<彩コール>が鳴り止まず、予定外のダブルアンコールに突入。「実は待ってた!」と笑いながら再登壇した山本は「このままではファイナル終われんか!ほな、日本語バージョンで。かかってこいや!」と叫び、この2回目となる「Bring it on」で大盛り上がりし、ツアーは正真正銘のクライマックスを迎えた。シンガーソングライターである山本彩のロックな佇まいや彼女を含むバンド全体のダイナミズム、そして、ペンライトが一切上がらないオーディエンスの熱狂はライブを見てこそわかるもの。この日は16台のカメラが入っており、生配信も行われていた。期間限定でアーカイブ配信もされているので、ぜひ一度、30歳になった今の山本彩のライブを見る機会を作って欲しい。

SET LIST

01. Don’t hold me back
02. Bring it on
03. 喝采
04. unreachable
05. 劣等感
06. 風の日
07. 蛍
08. ゼロ ユニバース
09. 追憶の光
10. ラメント
11. JOKER
12. Weeeekend☆
13. TRUE BLUE
14. ドラマチックに乾杯

ENCORE
01. yonder
02. Are you ready?

W-ENCORE
01. Bring it on

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