──2019年は山本さんにとってどんな1年になりましたか?
ライブも制作も本当にやり尽くしたっていう感じです。
──リリースより前に全国ライブハウスツアーから始めました。小箱を中心としたツアーの感想から聞かせてください。
あまり慣れてない環境で、初めてのことばかりだったんですけど、1年目で本当に学ばせてもらうことがいっぱいあったなと思います。まず、今までになかった距離感でライブができて。物理的な距離が心の距離に比例するとは思わないんですけど、卒業してから最初にできたツアーで、お客さんをすごく近く感じられたなと個人的には思ってて。1つ1つ階段を登ってきたなっていう実感があるし、本当に充実してましたね。
──ライブハウスツアーで特に覚えている出来事を挙げるとすると?
最終日は、沖縄の桜坂セントラルだったんですけど、本当に小さなステージだったんですよ。小箱は基本的にコーラスとバイオリンの方がいなかったんですけど、最後だけ全員集合して。それぞれの動ける範囲がすごく小さい中でやらせてもらったことがすごく楽しかったですし、鮮明に記憶に残ってますね。あとは、各地でセッションを取り入れたことで、より生音の演奏やパフォーマンスを楽しんでもらえたんじゃないかなって感じていて。例えば、ギターソロが始まったら会場が沸いたりしたんですね。歌以外の場面でも盛り上がってくれたのがすごく嬉しかったです。
──東京公演はZepp Tokyoでしたが、ソロアーティストというよりは、バンドのように見えてました。
そうですね。今回のツアーはあんまり一人きりでやってるっていう感覚はなかったですね。これまではお互いに遠慮していたし、気を遣い合いながらやっていたので、なかなか距離が縮まらなかったんです。でも、このツアーで一緒にいる時間が多くなって。音楽の話もたくさんして、共有できるものが増えたので、自然とこのツアーの2ヶ月間で深まっていったなって思います。
──オフステージでは何をしてました?
中日があったりしたので、本当に旅行気分でしたね。グループの時はライブをやったらすぐに帰っていたし、ホテルと会場の往復しかなかったんですけど、自分の足でいろんな土地に行ったりできたので、そういう刺激もあったなって思います。
──どこに行きました?
高知では、高知城に行ったり、有名な市場に行ったり。あとは、商店街を歩いて、タピオカ飲んだりしてました(笑)。熊本では、車を借りてドライブして。免許を取ったまま運転してなかったので、ドライブができて楽しかったし、地方の自然の景色に包まれながらライブができるのもツアーならではだなって感じたりしてましたね。
──ライブを数多くやったことが楽曲制作にも影響を及ぼしていたりしますか。
そうですね。実際にバンドメンバーとセッションしていた延長で、お互いのアドリブ感だったり、バンドサウンド感をもっと楽曲にも落とし込めないか?っていう挑戦もしてて。例えば、『Are you ready?』は、まさに『I’m ready』ツアーをやっているときに、アンサーソングのようになればいいなと思ってできた曲なんですね。ライブを一緒に作ってくれた人とさらにライブを盛り上げられる1曲になればいいなと思って、そのためのコール&レスポンスを取り入れたりしてて。
──ライブではお客さんが拳と声を上げて歌う曲になってますね。アルバムの1曲目に収録されている「unreachable」もバンドとアレンジしてますね。
そうですね。この楽曲にアドリブがあるわけじゃないんですけど、それぞれの楽器が際立つような決めポイントがあったりだとか。チームSY感が出てる曲だなって思います。
──バイオリンから始まって、ピアノが基調となっているラテンジャズなので、すごく意外だなと感じました。
最初からインパクトを与えたいなと思って。私、昔からみんなの予想を裏切りたいというか、意外性のあるもので驚かせたいっていう気持ちが強いんですよね。この曲は、最初からラテンっぽいリズムっていうイメージがあって。そこから、みんなでどんどん広げていって、アレンジが出来上がってから歌詞を詰めていって。自分の核になる部分、本当に芯になっているのが「Are you ready?」だとすると、この「unreachable」とシングルのカップリングになっていた「feel the night feat. Kai Takahashi (LUCKY TAPES)」と「stay free」の3曲が自分の新しい面というか。自分にとっても意外性や新鮮味があったし、グループ時代との変化という意味でも、重要な存在になってるなって思いますね。