──アブリル・ラヴィーンの系譜にいるロックの人というイメージだったので、まさに新鮮な驚きがありました。まず、「feel the night」はLUCKY TAPESの高橋海くんがラップをするメロウなアーバンソウルになってます。ブラックミュージックは聴いてましたか?
あんまりないですね。例えば、椎名林檎さんとか、ブラックミュージックを取り入れた日本の方は聴いてましたけど、めちゃくちゃ精通しているわけではないので、自分にとっても挑戦の曲でした。ただ、この曲はラップパートは高橋さんにお任せしているので、「stay free」に比べると、自分のまま歌えたなって思います。
──アレンジはどんなイメージでした?
J-WAVEさんの番組のEDテーマだったので、なるべくJ-WAVEで流れる曲とのテンションを変えすぎないようにって考えてて。都会の夜に溶け込む曲をイメージしていたら、自然とこういう方向のアレンジになっていった感じですね。東京ではそれぞれが孤独な夜を過ごしてるっていう感覚があるけど、繁華街に行けば眠らない街があったり、ラジオの中には自分以外にもしっかりと誰かが存在してる。そういう温かさを書ければいいなと思ったし、高橋さんの声の艶や甘さがこの曲の良さをさらに引き出してくれたなって思います。
──一方の「stay free」では山本さんがラップをしています。
苦戦しました。ヒップホップは好きなのでよく聴いているんですけど、実際にやってみるとすごく難しかったですね。あと、歌詞は目線を変えて、それまでの自分とは違う自分で歌っていて。自分ではない自分で、やったことのないラップをやるっていうことで、正解を探しながら歌った感じです。
──目線を変えたというのは?
歌ってる内容は本質的には自分の中にずっとある揺るぎないものなんですよ。周りと比べるのではなく、自分らしいスタイルでいようっていうことなんですけど、それをあまり暑苦しくなく、なるべく重くなく歌えたらいいなと思ってましたね。
──歌い方が本当に1曲1曲で違いますよね。作詞作曲は全部、ご自身で手掛けているという軸はありつつ、アルバムでは9名のプロデューサーを迎えたことで、かなり多彩なサウンドになってます。
そうですね。いろんなサウンドプロデューサーさんがいらっしゃったので、レコーディングの仕方もディレクション方法も色々で、毎回毎回、新鮮な気持ちでレコーディングできました。これだけいろんなジャンルの曲が集まってますけど、結果的には1つの作品として成り立ってて。個人的にも面白いアルバムができたんじゃないかなと思いますし、1年前とか数ヶ月前には、こんなに幅広いものができるとは思ってなかった。それが1年目でできたことがだいぶ自信になりました。
──シンガーソングライターとしての一歩を刻んだアルバムが完成して、その先というのは見えましたか?
これだけできたら、まだまだいろんなことができるなっていう気持ちになってますね。
──始まりの曲である「Are you ready?」では<夢の続きを皆で見に行こう>と歌ってました。1年経って、未来の自分、明日の自分の像は変わりました?
いや、一生続いていくものだと思ってます。今はまだ26なんで、漠然とした話にはなりますけど、思いとしては、ずっと歌い続けていきたいと思ってて。他に行く場所も帰る場所もない。ここに住みはじめたっていうのは、本当に腹を括ってというか、覚悟を決めてやってることなんですね。だから、終わりを考えずにやりたいなって思ってます。
──ACIDMANの大木伸夫プロデュースのラウドロック「TRUE BLUE」では、まさに理想の自分を追い続ける姿勢が描かれてますね。
そうですね。まずは、音楽を1日でも長く続けていきたいし、それを、山本彩の一番いい部分だって言ってもらえるようになりたい。やっぱり、アイドルの期間が長かったので、アイドル時代の自分を、シンガーソングライターの自分が追い越せるようになって、音楽人として、評価されたいですね。例えば、宇多田ヒカルさんのように、いつかは全曲のプロデュースを自分でやりたいし、中島みゆきさんのように存在自体が尊敬される人になりたいです。
──そして、年明けには全国ホールツアーが決定してます。
ライブハウスツアーは身ひとつっていう意識というか、裸のまま体当たりしていく感じだったんですね。でも、ホールツアーは結構、いい装飾や味付けができそうだなって思っているので。1つのライブであり、ショウでもあるステージが作れそうかなって思ってます。ただ、ホールだからといって、かしこまっちゃうのは嫌なので、ライブハウスツアーでできたライブと、ホールだからできるライブを混ぜ合わせたいなと思います。
──ツアータイトルはアルバムと同じく「α」になりました。
αには“最初の”という意味と、“未知数”っていう意味があって。このアルバムは、グループを卒業して1枚目のアルバムで、この1年で自分も予期しなかった自分を出せたし、これからの自分の可能性も感じられた。自分はまだまだ未知数だなっていう意味を込めているので、ツアーでもこれからの私に期待してもらえるようなライブをお見せできるのかなって思います。
──どんな内容になりそうですか?前作『identity』が全13曲中6曲が自作曲で、今作は全11曲に自作曲が収録されているので、もう自分が作った曲だけでもライブができますよね。
そうですね、非常に山本彩成分は多い、強いライブになると思います。あとは、今までやってきてた曲も、これまでのスタイルやアレンジで歌うとは限らない感じにしたいなって考えてて。今までの曲もちょっと違って見えたり、聴こえたりすると思いますし、アルバムのようにいろんな表情、いろんな私を見せることができると思うので、ぜひ楽しみにしててください。
──ツアーから始まる2020年はどんな1年にしたいですか。
オリンピックがある特殊な1年になるので、自分も進み方、歩み方を変えていかないといけないのかなと思ってます。ライブにしろ、制作にしろ、今年ほどのスピード感はないかもしれないんですけど、その分、じっくりと温めていきたいし、まだやってない面白いこととか、みんなが想像もしてないようなことをやっていけたらいいなと思ってます。
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