YATSUI FESTIVAL! 2023
2023年6月17日(土)18日(日) Spotify O-EAST / Spotify O-WEST / Spotify O-nest / Spotify O-Crest / duo MUSIC EXCHANGE / clubasia / LOFT9 Shibuya / WOMBLIVE
2019年以来4年ぶりに、通常の形で開催された『YATSUI FESTIVAL! 2023』(以下『やついフェス』)の2日目=6月18日(日)のオープニングは、DJやついいちろう。無事に、開場から30分、普通にDJをできた。で、「『トロピカル源氏』やり直しのくだり」を、今日も入れ込んでくる。
続いて、本日が20代最後のステージだというこの役目の常連、高城れにが、全開の笑顔で開会宣言。やついが「誕生日、そして結婚おめでとうございます」とプレゼントしたこのフェスのTシャツに途中で着替えたりしながら、4曲を歌いきる。30代最初のライブ、6月25日(日)ぴあアリーナMMを1週間後に控えたステージだった。
続いては、『やついフェス』初出演のKEYTALK。「桜花爛漫」「Love me」「君とサマー」と、序盤から畳み掛けてくるセトリに狂喜するオーディエンスに、巨匠[寺中友将(Vo/Gt)]、「朝からすげえなあ。目が覚めました、ありがとうございます!」と礼を言い、「今日はお祭りということで、お祭り騒ぎしていきたいと思います!」と「MATSURI BAYASHI」に突入した。
その裏の、duo MUSIC EXCHANGEのトップは、I’s。タレントとしてもソロシンガーとしてもブレイク中のあのちゃんだが、このフェスには去年も今年も、このバンドのボーカル&ギターとして、出演している。
「今年も呼んでくれてありがとうございます、やついいちろうさん。お笑い芸人さんたちとアーティストが交わる楽しいイベント、昔から出させていただいていて、今もやっている。こんなにうれしいことはないです」と、喜びを伝えた。彼女はゆるめるモ! 時代から、『やついフェス』に出演し続けている。
O-nestのトップは、やついいちろうとSundayカミデのユニット、ライトガールズ。さっきのDJタイムはなんとか乗り切ったが、やつい、ここにきて、本当に声が出なくなる。ふたりで歌う時はまだ笑顔だが、ソロのパートは苦悶の表情に。「すごいすね、めっちゃ声とんでますね、初めて聴く音です」とカミデ。「昨日ノリさんに『自由にやってください』と言いましたが、自由ほど大変なことはない! これが自由の代償です、自由を得て声をつぶしました!」と答えるやついだった。
スタート時間がもっとも遅かったトップのアクトは、club asiaの浪漫革命。フロアは入場規制、希望者はロビーで映像を観覧する、という人気っぷり。「浪漫革命を選んでくれてありがとう! いいところと、いっぱいかぶっちゃってて、俺らも観たかったけど……」とオーディエンスを気遣いながらもうれしそうな藤澤信次郎(Vo)だった。
O-EAST、この日2ブロック目の「お笑いコーナー」は、エレキコミック、TKO、いぬ、ザ・ギースがネタをやる。エレキコミックやつい、いよいよノドの調子が限界で、後半「年に一回の大きな舞台で、なんで声が出ない!もう50なのに! 30年もコントをやってきたのに!」と自分にキレた挙句、「すみません、ノドを休ませたいのでここで終わらせていただきます!」と途中終了。続くTKOは、出てきた時点でザワザワしていた空気を、「不祥事が不祥事をいじるな!」というキラーワードでひっくり返し、爆笑をとる。
いぬは鉄板の「奥さんとトレーナーのドキドキ筋トレネタ」。ザ・ギースは、取り調べに来た刑事(尾関高文)が「かあさんの歌」の替え歌を延々歌い続けて容疑者(高佐一慈)の住所や携帯番号まで言う、という捨て身のネタで大ウケだった。
この人もある意味『やついフェス』の顔、眉村ちあきは、15:00からO-EAST。『やついフェス歌合戦』が1年でいちばん緊張するから、と、今年は辞退してこの出番にしぼったという。アコースティック・ギター、テレキャスター、マーシャル、PCを駆使してのひとりライブで、オーディエンスを驚かせ、笑わせ、「大丈夫」や「なんだっけ?」で泣かせ──と、今年も大充実のステージだった。
それに続く「お笑いコーナー」は、ゆってぃ、エレキコミック+Hi-Hi上田+宮迫博之、立川吉笑のスロット。毎年確実に笑いをかっさらう安定のゆってぃの後、エレキ+上田+宮迫のユニットコントに(内容を教えられていない)TKO木下が参加させられたことで、ほぼ罵り合いのアドリブが飛び交う、大爆笑な修羅場となる。そんな後に出てきて、創作落語『ぷるぷる』で場をきれいに「噺を聴く態勢」に変えた立川吉笑、見事だった。
2日目の『やついフェススペシャル歌合戦』は、奥森皐月と、やついが声が出ないので急遽マキタスポーツが加わった3人でMC。しまおまほは、前半は「スタバの店員」で後半は「IKEAの店員」、そのたびにいとうせいこうがスタバの袋やIKEAの袋を持たされる。
異様に声が出ないことで爆笑をとるのでおなじみのスピードワゴン小沢一敬、今年は「翼の折れたエンジェル」(中村あゆみ)を歌っては止められる、を何度も繰り返す。
次は青木さやかとチャンス大城のユニット「狂人」(命名:清水ミチコ)で、チャンスのオリジナル曲を青木のリコーダー&ピアノと、チャンスのギター&雅楽(のモノマネ)&歌、というカオスな状態でパフォーマンスする。
「曲は内緒。ライブを観に行ったら、心に響く歌だったので」と、曲に入った宮迫博之が歌ったのは、エレファントカシマシの「悲しみの果て」。後半の最高音部まで声が届く、見事な歌いっぷりだった。
そして、体調不良で出演キャンセルになった大事MANブラザーズ立川俊之の代わりに、みんなで「それが大事」を歌う(誰も歌わないところはバックバンドの西崎ゴウシが大活躍)。
いとうせいこう「MVPは、『それが大事』を歌った全員」。やつい「来年はみんなで、立川さんも交えて歌えるといいですね」。Sundayカミデが加わった「フェスタ!」で、このコーナーが締めくくられた。
18:00からのduoのTENDOUJIは、とにかくもう、「何これ? ワンマン?」とか言いたくなるくらい、オーディエンスの熱狂っぷりに圧倒されるライブ。1曲目から飛ばしまくり、2曲やったところでアサノケンジ(Vo/Gt)、「この時間がね、いちばん客が元気なの知ってんだ、俺。まだ声出るでしょ?歌える人は歌ってください」。その言葉に応えて大シンガロングが起きる。その大シンガロングは、ライブが進めば進むほど、さらにどんどん大きくなっていった。
トリ前のO-EASTは、開催12回目にして、結成34年にして初出演、フラワーカンパニーズ。「ずっと出たかったんですよ。最初の頃、誘っていただいたんですけど、予定が合わなくて」と、ボーカル鈴木圭介。今日が本邦初公開だという新曲「気持ちいい顔でお願いします」や「元少年の歌」などを経て、「深夜高速」で、O-EASTが感動の嵐に包まれる。8曲目「最後にゃなんとかなるだろう」の間奏では、鈴木圭介、「やついフェス、最高!」と叫んだ。
そして20:10、O-EASTのトリは小山田壮平である。当フェス皆勤賞だそうだが、弾き語りではなくバンドセットでO-EASTに出るのは、ちょっとレアなのではないだろうか。
「グロリアス軽トラ」「16」「Sunrise & Sunset」など、andymoriの曲が約半分、「恋はマーブルの海へ」「旅に出るならどこまでも」「スライディングギター」など、ソロの曲が約半分。
ギター&スチールギター濱野夏椰&ドラム久冨奈良のGateballersコンビ、ベース藤原寛、という編成の小山田壮平バンドの演奏も、見事のひとことで、大きな興奮がO-EASTを包んだ。
それを受けてのDJやついいちろう、andymoriの「革命」と「FOLLOW ME」でスタートし、大合唱を巻き起こす。で、いったん落ち着くかと思ったら、次の銀杏BOYZ「BABY BABY」で、さらなる大合唱に。
後半は危険日チャレンジガールズ!の「FUNKY FUN!!!」で、今立進と西寺郷太が登場する。ただし、(本人のSNSによると)家で父の日を満喫していたらしい片桐仁は、出ず。キケチャレが昨年で正式に解散したからだと思われる。
で、ラスト、お約束のエレキシ「トロピカル源氏」のくだりをやってからDJが終わり、みんなでテーマソングを歌う流れになるが、昨日とは打って変わって、大量の出演者が残っていて、ステージ上が満員になる。
やつい、「昨日全然いなかったのに、今日はめっちゃいる!昨日の少なさはなんだったんだろう?」。
というわけで、曽我部恵一→西寺郷太→中村一義→小山田壮平→鈴木圭介→青木さやかがテーマソングを歌い継ぐ、という、このフェス以外では決して観ることができないリレーを、味わうことができた。
それから。最後にやついが「壮平、誕生日!」と叫んだ。前日の6月17日は小山田壮平の39歳の誕生日だったのだ。オーディエンスが「ハッピーバースデー」を歌い、最後はそれを曽我部がひきとって熱唱、2日間が終了した。