フジファブリックワンマンライブ”Dance Sing Revolution No.19”
2023年4月14日(金)中野サンプラザホール
フジファブリックが、2023年4月14日(金)に、中野サンプラザで『フジファブリックワンマンライブ”Dance Sing Revolution No.19”』を行った。3月3日(金) Zepp Fukuoka/フレデリック、3月21日(火) Zepp Osaka Bayside/緑黄色社会、3月29日(水) Zepp Diver City Tokyo/くるりとの対バンツアー『フジファブリック2マンライブ フジフレンドパーク2023』を終えたばかりのタイミングだが、それらとは別に、デビューシングル「桜の季節」をリリースしてからぴったり19年後にあたるこの日に、一夜限りのホールワンマンライブで、チケットはソールドアウト。
なお、フジファブリックにとって、2023年7月で閉館する、中野サンプラザでの最後のライブでもあった。彼らが中野サンプラザのステージに立ったのは、2008年のツアー『TEENAGER FANCLUB TOUR』の2デイズ(5月16日・17日)と、2017年のツアー『フジファブリック LIVE TOUR 2017 "STAND!!"追加公演』(2月24日)以来である。
この日演奏されたのは、本編17曲、アンコール3曲の全20曲。19年のキャリアから、満遍なく曲が選ばれたセットリストである。前述のデビュー曲「桜の季節」は最初のMC明けの5曲目に、リリース後にじわじわと人気が広まり2000年代を代表する名曲となった「若者のすべて」は、11曲目に、最新シングルでありこのライブのタイトルにも掛かっている「ミラクルレボリューションNo.9」は、本編ラストに演奏。現在の3人体制で0から作った最初のアルバムのタイトル曲である「STAR」は、アンコールの2曲目で披露された。
この日のオリジナルグッズとして売り出された、5色の「Dance Sing Revolution リングライト」(光る指輪)の輝きが、客席で、曲によって、時にはそっと左右に、時には激しく一斉に振られる光景に、MCの第一声から山内総一郎、「うわあ、もう、みんなきれいやねえ! ほんまにありがとう」と感激。「デビューして19年が経ちました」と言うと、あちこちから「おめでとう!」の声が飛び、「泣けてくるから!」と返す。
なお、このライブは、Streaming+で生配信された。ということを活かそうとしたのか、二度目のMCタイムで金澤ダイスケ、「私のポケットにスマホがありまして、私は自分のしゃべりを見てるんですよ」と、画面を覗き込む。「ライブ中だぞ!」と注意する山内総一郎&加藤慎一を無視、開演前に「金澤ダイスケです」と書き込んだけど誰からもリアクションがなかった、と、「僕はここだよ」と書き込んだり、「配信の方々は、どちらでご覧いただいているんですか?」とカメラ目線で呼びかけたりする。「これコメント待ちになるやつじゃん」(加藤)「(書き込まれる沢山のコメントを見て)すごいですよ、ほんとに」(金澤)「こっちこそ、すごい時間が流れてるよ」(山内)。
その後も、自由にも程があるふるまいをやめない金澤ダイスケに、「そう、ダイちゃんをほったらかすとこういうふうになる、っていうのが、フジファブリックの19年の、ある意味の結果ですよね」と山内総一郎。オーディエンス、大笑い&拍手で同意する。
12曲目「星降る夜になったら」のラストでは、ダンサーとしてZILLIONの7人が加わり、続く「バタアシParty Night」で、ステージを華やかに盛り上げる。本編ラスト1曲前の「Feverman」と、その次の「ミラクルレボリューションNo.9」にも、ZILLIONから2人が登場。アンコールで山内総一郎、ダンサーを入れたのは初めて、自分たちの方がドキドキした、と明かす。ダンサーを入れたい、とスタッフに相談したところ、同じ事務所の後輩で、4月19日にデビューするタイミングのZILLIONを紹介してくれた、とのこと。曰く「だから俺らと19歳違い」。
「Feverman」では、加藤慎一もダンスに加わって8人体制になったり、「ミラクルレボリューションNo.9」では、ZILLIONのRIONとWATARUがメンバーと共に振付をオーディエンスに教えてから曲に入ったり、という演出もあり。
というふうに、ライブのタイトルに「Dance」が入っている理由がわかる構成になっていた。で、タイトルに入っているもうひとつのワードである「sing」の方は、9曲目にそのタイトルである曲が披露される、という形で回収された。
2014年のアルバム『LIFE』の曲で、3人で1テイクで録ったというこの曲は、その時と同じように、サポートドラムの伊藤大地は参加せずに、3人で奏でられる。
今この曲を聴き返したり、歌ったりすると、ここに自分の歌の全部が入っている気がする、だから久しぶりにやらせてほしいと思う──と、曲に入る前に山内総一郎は説明した。「月が笑い 虫が歌う ああ それは素敵な声さ/☆がいない 夜に歌う ああ それしか出来ないじゃないか/君をおもい 僕は歌う ラララってね」というリリックのひとことひとことに、みんなじっと耳を傾ける。
「若者のすべて」を歌い終えてから、初めての中野サンプラザの時のことを、今でも鮮明に憶えている、今日はフジファブリックとしては最後の中野サンプラザになるが、志村くんの音だったり歌だったりも、このホールに染みついてるんだな、と思うと、すごくうれしい気持ちになる──と話す山内総一郎。
「さっきおめでとうの拍手、くれたでしょ? その拍手、志村くんにもお願いします。」とオーディエンスに呼びかけ、「あなたが作ったこのバンド、19年、やってこれてます。」と志村正彦に語りかける。「あなたひとりひとりに伝えたいと思った。出会ってくれてありがとうございます」と、オーディエンスにお礼を言う山内総一郎を、大きな、長い拍手が包んだ。
本編を終え、アンコールを求める手拍子が響く中、ステージの機材が2バンド分に転換されていくのを見て「あ、やっぱり!」と思った人も多いだろう。「すばらしい仲間が、お祝いに駆けつけてくれました」。そう、フレデリックの登場である。曲はもちろん、1ヵ月前にリリースされたばかりの、この2バンドのコラボ曲「瞳のランデヴー」。
この曲でオーディエンスをめいっぱい踊らせ、次の「STAR」でさらに踊らせ、最後に「徒然モノクローム」の後半ではボーカルをオーディエンスにまかせて大シンガロングが起こる。と、中野サンプラザいっぱいの歓喜が続いたまま、ライブは終了。最後にZILLIONとフレデリックを呼び込み、全員で一列になって挨拶。
アンコールで、次のツアー『フジファブリックLIVE TOUR 2023“Particle Dreams”』を開催することが発表になった。仙台・横浜・名古屋・東京、7月12日(水)LIQUIDROOMを経ての最終日、山内総一郎の地元である大阪では、7月17日(祝・月)に、服部緑地野外音楽堂で行われる。
SET LIST
01.TEENAGER
02.東京
03.Magic
04.楽園
05.桜の季節
06.フラッシュダンス
07.Small World
08.Gum
09.sing
10.音の庭
11.若者のすべて
12.星降る夜になったら
13.バタアシParty Night
14.ダンス2000
15.銀河
16.Feverman
17.ミラクルレボリューション No.9
Encore
01.瞳のランデヴー
02.STAR
03.徒然モノクローム