DI:GA ONLINEでは全公演の中島卓偉本人によるセルフレポを掲載いたします!
Version 2 BIG SUNSHINE & BAD SPEED PUNK
2023年3月19日(日)HEAVEN'S ROCK さいたま新都心
Version 3 TAKUI SONGS ONLY LIVE
2023年3月19日(日)HEAVEN'S ROCK さいたま新都心
3月19日の日曜日。埼玉のビジネスホテルで起きると9時。6時間半は寝れた。まずこれにガッツポーズ。とにもかくにもヴォーカリストは睡眠です。寝れれば声枯れは回復する。ストレッチと半身浴をしてミニを暖機。こんな日に限ってエンジンからクーラントの液が漏れる。今日はやめてくれ!と思いつつ。いつもの工場に電話。夜また帰る時に木キャップを開けて水を足して明日見せに来てくれとのこと。これで今日はなんとかセーフ。旧車乗りはこういう時ドキドキです。
10時に会場入り。今日は1日2公演。昼はVersion2、夜は今回のツアー初出しのTAKUI SONGS ONLYのセットリスト。曲が2曲しか被らない為に、リハーサルはほぼ全曲確認。ここで使い過ぎると体力と喉を消耗してしまう。ですがメンバー全員真面目に確認を徹底して行いました。正直曲の多さにタスクオーバー。本当に3パターンのセットリストは今回で最後にしたいなと思います。どうしてもファンサービスの為を思い、そして何本もライヴに足を運んでくださるファンの方を飽きさせない為にセットリストを変えたくなるのですが、自分がやりきれてないと消化出来てないと勢いだけになってしまう。マンネリズムも絶対に必要なんですよね。飽きるまでツアーでやるから次回のツアーで変えることが絶対的に必要になる。まあそんなことを思っても決めた以上今回はやり切ります。
昼公演はメンバー全員赤を基調とした衣装で。トータル感があって、とてもバンド的。集合写真を見ても自画自賛の格好良さ。14時半開演。早過ぎる。笑。どこにこんな早い時間からシャウトしていているヴォーカリストがいるんだと自分でツッコミを入れたくなります。昼公演は実にタイトで、真っ直ぐで、硬派な男っぽいライヴになりました。凄く好きな運びでした。オーディエンスも熱く。関東ということでファンの方もたくさん集まってくれました。BAD SPEED PUNKというタイトルの通り、PUNKな流れ、運び、これぞ中島卓偉のライヴになったことを感謝します。アップテンポの中に挟んだ新曲の「GOOD BYE YESTERDAY」が凄く良かった。埼玉昼公演は約半分の方がマスクをせずで、この曲でも全部の歌詞を歌ってくれていました。特に男子。新曲なのにもう歌詞を覚えてくれていて、それに本当に感動した。激しい中でもちゃんとメロウな曲を歌う、これが本当のロックシンガーのライヴだと僕は思っています。このクッションがあったからこそ後半戦も盛り上がりました。久しぶりの「TO THE MAX」、NAOKIさんの最高なスラップ、オーディエンスのジャンプ。これだ!戻って来た!そう感じました。純粋に楽しめましたね。「YES,MY WAY」の大合唱、これも凄かったです。ライヴのハイライトでこの曲の意味合いは本当に強い。何度歌っても泣きそうになります。泣いている野郎ファンが見えてこっちがもらいそうになりました。言葉数の少ない歌詞、シンプルなメッセージ、いつかやって来る自分のラストステージでこの曲は絶対にマストだなと思います。
終演後楽屋に帰ると喉の枯れも結構なもの。喋らないようにして、おにぎりを一つ食って17時半から夜公演。体力的には平気でも声枯れは本当にきつい。声帯結節もこれで明日からまたやり直しだなと声を調整しながら思いました。治ってきてもまた歌い消耗する。だけど年齢的に休むと声がむしろ出づらくなる。声帯も筋肉。激しいジレンマが自分を襲います。
夜公演は1曲目からトラブルが続きました。トラブルこそライヴ。あえて全てを書こうと思います。まず、youさんのギターとNAOKIさんのベースがチューニング違いだったということ。歌い始めた時にどう聴いてもキーがずれて聴こえて、どこを歌っているのかわからない。イヤモニのトラブルか?と思い何度も冷静になりましたが、不協和音にしか聴こえない。Bメロでシーケンスに入っている自分が弾いているオルガンが聴こえ、そこで初めてピッチを合わせに行きましたが、また2Aで耳の中がメチャクチャに。2曲目ではyouさんの足元の踏み替えがトラブり、イントロが合わず。他の曲でもアンプが固まって音が出なくなったり、僕がまたキーを取れなくなったり、イヤモニの中に汗が入り込み、(これ本当にどうにかならんかなと思っています。大問題なんです。申し訳ありません)全く自分の声も楽器の音も聴こえない状況で何曲も歌わなくてはならず。自分に対する怒りが込み上げてきて、それを抑えるのに必死になり、結局声を張り上げてしまい声を消耗。ですが、オーディエンスに助けられました。常に歌ってくれたし、トラブルにも対応してくれた。むしろ盛り上げにまわってくれた。これに感動しました。これはもう完全に借りを作ってしまったなと。残りのツアーのTAKUI SONGS ONLYで倍にして返さないといけないと誓いました。
このままじゃいけないと思い、終演後、搬出を終えた後に、スタッフとメンバーでこのトラブルの原因解明と原因の共有、これを話し合いました。反省会にはしたくなく、こんな話を30分も1時間もしたくない。10分だけ話をさせてくれとみんなに頼みました。
まず、ローディーの伊藤さんがチューニング違いのギターをyouさんに渡していたという事実。ですが、最初に音を出した時にNAOKIさんはその不協和音に気づいていた。youさんは自分が違うチューニングのギターを渡された時にそれに気付かなかった。いざ1曲目が始まり、伊藤さんはチューニング違いに気付いたが、すぐyouさんに持ち替えをさせなかった。youさんはポジションEの半音下げのギターを持つはずが、レギュラーチューニングの実音Eで弾いてしまった。NAOKIさんは5弦ベースでレギュラーチューニングのまま音源通りの実音E♭を弾いていた。半音ズレた不協和音で歌えるわけがない。シーケンスも音源通りのE♭。余談ですが、ずっと前に新宿LOFTで1曲目に「蜃気楼」という曲をプレイするのに全く同じトラブルがありました。曲はレギュラーチューニング、シーケンスも同じく。そこにギタリストが半音下げのギターで演奏を始めてしまい、ステージ袖にいた僕はそれにすぐ気付き、ステージにすぐ出ていき、演奏を止めて、ギターが違う、持ち替えて、もう1回SE流して引っ込んで最初からやり直そうと提案したことがありました。僕はこういうことを平気でやります。だってそんなキーじゃ歌えませんから。ファンの方はびっくりしたようでしたが、やり直したら当然ながらトラブルの後なので盛り上がるわけです。ですが、今回は僕が慣れないイヤモニをしていたせいで、これに僕ですら歌い始める前に気付けなかった。これが情けない。
伊藤さんにはこう言いました。キーの違い、ギターの渡し間違い気付いたなら何故すぐyouさんに持ち替えを伝えてくれなかったんですか?と。
NAOKIさんにはこう言いました。気付いたなら、是非遠慮せず止めてほしい。やり直せばいいんですから。と。
youさんにはこう言いました。どんなにローディーの伊藤さんを信頼しても、優秀な伊藤さんでも間違うことはある、チューニングでどのギターを持つか、これだけはyouさんが必ず確認してギターを抱えてほしい。と。
SHINGOさんにはこう言いました。ダメだと僕が判断するまで何があっても決して止まらず叩き続けてください、と。もちろん今回のこのトラブルはSHINGOさんが叩き続けてくれたことで乗り切れたのですから。
こう書くと僕が怒っているように感じるかもしれませんが、一切怒っていないのです。本当に。全ては全部僕の責任だからです。こういうことを誰かのせいにするのは中島卓偉として、独立した一人の会社の社長として、論外です。僕がそのトラブルにすぐ気付けず、すぐ指示を出せなかったことが悪いのです。ただ共有したことで同じトラブルが起きた時、今後は絶対に止める方向で動けるということ、これを理解した上で一緒にステージに立つ。これが大切だと思っています。やり直すことは決して格好悪いことじゃない。僕は一人では何も出来ません。みんながいてくれて始めて自分のライヴが成り立つことを心から感謝しています。もっと良くなるために、もっと良くしていくために、10分だけ話をさせてもらいました。きっと次はもっと良くなる。誰だって失敗はする。自分だってやる。そんな出だしからとんでもないハプニングとトラブルが起きていたライヴでしたが、何度も言います。ファンに助けられたライヴだったこと、乗り切れたこと、心から感謝致します。
埼玉公演。とは言いつつ最高なライヴでした。でもこの借りは次回の4月8日、9日の渋谷公演2DAYSで必ずお返しします。本当にありがとうございました。ツアーは東京、大阪、名古屋まで続きます。是非会いに来てください。
中島卓偉