DI:GA ONLINEでは全公演の中島卓偉本人によるセルフレポを掲載いたします!
[ツアーファイナル]
Version 2 昼公演 BIG SUNSHINE & BAD SPEED PUNK
2023年4月16日(日)昼公演 名古屋 ElectricLadyLand
Version 3 夜公演 TAKUI SONGS ONLY LIVE
2023年4月16日(日)夜公演 名古屋 ElectricLadyLand
名古屋の朝は8時に起床。6時間半は寝れました。連日のステロイドのせいで朝は顔がパンパンに浮腫んでいます。指輪も入りづらくなり靴も履きづらくなる。ステロイドは先端が浮腫みます。都内であればジョギングに行きますが、とりあえずは半身浴で。今日でツアーファイナル。毎日毎日歌詞を反復する日々にようやくお別れ出来る。ツアー中のホテルでは朝必ずやるルーティーンがあります。半身浴をすること、スロートティーを用意すること、納豆を食べること、バナナを食べること、歌詞を読むこと、軽い筋トレなどなど。やることはいっぱい。本番までとにかく喋らず。ツアー中は子供に電話も出来ません。昨晩の大阪から名古屋の移動の道中はずっと雨でしたが、今日は晴天。機材車から皆で機材や衣装などを運び出します。僕が楽屋に入って最初にやることは、メンバー全員分の衣装にアイロンがけです。毎回衣装を変えて臨むこのツアー。途中で衣装が増えたりして、ハンガーポールにはみんなの衣装がいっぱい。ラストの最終公演では、みんなで赤を基調とした衣装で合わせることを決めていました。服が好きなのでアイロンがけにもこだわります。年齢とキャリアを重ね、顔にはいくらでも皺が増えても良いのですが、衣装に皺があるのは許せません(笑)。ステージの袖ではyouさんとNAOKIさんがギターとベースを背負ってから裾や襟を引っ張って常に様子を見ます。おかんか!(笑)。一番衣装のパターンを変えてくれたのはドラムのSHINGOさんでした。普段着からいつもお洒落なSHINGOさん。どんな色でも似合う方。暑さの為に巻物だけは頭の3曲までしか出来ない。でもちゃんとスカーフを巻いてステージに上がってくれるこだわり。今後もSHINGOさんの肩の筋肉に合う衣装を探そうと思います(笑)。なかなか探せずで、SHINGOさんはいつも自分で用意してくれました。
リハーサル前の楽屋はまずメイク。メイクスタッフの川端さんがひとりひとりを順に仕上げて行きます。僕は髪をお願いしています。今日は若干髪を梳いてもらいました。最終公演は襟足を真っ赤に。ツアー中はツアーカラーのオレンジに染めていましたが、最後は赤で。毎回メイクの感じもちょいちょい変えていったのも楽しかったですね。
NAOKIさんとyouさんは楽屋でも楽器を抱えていつも練習をされています。これが凄いことだと思うんです。キャリアがあっても自分に決して奢らず練習する。確認する。だからこそのプレイ、そして音、パフォーマンスなのだと頭が下がります。僕以外のメンバー3人は煙草を吸うので、いつも喫煙所から楽しそうな笑い声が聞こえてくることが微笑ましいです。youさんは物静かで無駄なことは一切喋らない方。NAOKIさんはムードメーカー。SHINGOさんはドラムの準備に余念がない方。皆の共通点は真面目。素晴らしいです。
リハーサルでは僕が喉を温存したいこともあり、バンドだけで進めます。リフ曲などはシーケンスからガイドの歌を出してやる場合もあります。申し訳ないとは思いつつ、とにかく消耗したくない。本番に声を取っておきたい。今日の2公演は自分のイヤモニではなく、PAの塩谷さんのイヤモニを装着。イヤホンに隙間がある分ピッチは取りやすい。でもリハを終えて楽屋に帰ると耳鳴りがしていたので、ステージ中の音のデカさに耳がついていけてないことを実感。ただ今日はもうこのままやることを決意。夜公演だけ自分のイヤモニに戻すことも可能でしたが、その為にまたリハーサルをするのはスタッフとメンバーに申し訳ない。果たして今日は最後まで声が持つだろうか?そういう不安と、なんとかなるだろという楽観が混在します。結局、今日もライヴ前にステロイドの錠剤を飲みました。「副作用が出ているうちはまだ良くて、飲んでも気持ち悪くならなくなる方が良くない」と、SURFACEの椎名慶治さんからアドバイスをもらっていました。何事も慣れが来ると効かなくなる。「これがないと歌えないと思うのではなく、ちょっとでも枯れを遅くする為という意識で飲めよ」と言われていました。歌はメンタルがものを言います。ツアー前から声帯結節がこれだけ治らないことで精神的にかなりやられていました。急に出なくなったらどうしよう?そういう不安がついて回ったツアーでしたが、とうとう最終日。なるようになったのかもしれません。
昼公演のBAD SPEED PUNKはタイトル通り、超PUNKなノリ、自分の原点、それをもう一度再確認するかのような空気感がありました。特に中盤のPUNKコーナーと呼んでいた「自分を叫べ」「BABY,GO FOR IT」「我が子に捧げるPUNK SONG」この3曲の流れは完璧で、自分でも鳥肌が立つような感覚を覚えました。ツアーファイナルとなるとファンの方にもノリが伝わっていて、フロアの動きにも、手の挙げ方にも、踊り方にも感動しました。後半戦の「TO THE MAX」「続けろ」「イノヴェイター」「YES,MY WAY」これもかなり熱いPUNKでしたね。畳み掛けるように演奏していったわけですが、一切だれず、むしろヒートアップしていく会場。特に「YES,MY WAY」の一体感、これは名古屋が特に凄かったです。最後の「ひとりになることが怖かった」も大合唱となり、心を一つに出来た気がしました。
夜の最終公演前、メンバー全員で言っていたのは、「後5本~10本はやりたかった。むしろ仕上がってきた今だからこそやりたい」でした。そうなんです。ツアーってのは仕上がってくるタイミングで終わってしまいます。もっともっとこのメンバーでツアーを廻りたい。メンバーには本当に感謝しています。ラストステージは赤の衣装でまとめ、メイクも全員目にきつくアイライナーをひいて臨みました。こういうの好きです。最後は盛る。時間を気にせずやる。ステージに出ていくと最高な空間が用意されていました。それは全部あの場にいた名古屋オーディエンスのおかげ。終始笑顔でマスクしている人はほとんど見かけず、大合唱の連続。メイクの川端さんは本番中カメラマンになってくれて、いろんな場面を切り取ってくれるのですが、本番前に「どうしても僕の撮りたいショットがある」と言ってきました。それは僕のパフォーマンスの一つであるハイキック。どの場所でやるか教えてくださいと言われましたが、「いつもアドリブでやっているので場所を指定出来ない(笑)。了解です、たくさんハイキックするようにします」とお伝えしたところ最高の写真を取っていただけました。ハイキックは高く足が上がっているように見せる為に足を上げると同時に上半身を倒します。ですが、僕は決して上半身を倒しません。それを川端さんは見抜いてくれていて、「一番足が上がった写真にどうしてもシャッターを合わせたかった」と言ってくれていました。中島卓偉44歳。ストレッチ、ヨガ、まだまだやり続けます。
さあ後半戦という頃、最終日だしもう1曲増やしても良いだろと急に思い(そもそも名古屋オーディエンスの盛り上がりに、感謝をお返ししたかった)、メンバーの一人一人に耳打ちで「TRUE MINDの前にギャンブルーレット出来ないですか?」と伝えに行きました。メンバー全員即OK、ローディーの伊藤さんにシーケンスの用意も頼み、ここまではオフマイクでタイトルを口にしてギャンブルーレットやるからと言えたのですが、流石に表にいるPAの塩谷さんと照明の柏木さんには伝えられない。よって、マイクを通して「とある曲を1曲増やします。適当な感じでお願いします」とお伝えしました。これがまた特別感があり名古屋オーディエンスも大喜びしてくれました。最終日ならでは。こういうことが出来るのがライヴですよね。予定調和じゃつまらない。めちゃくちゃに盛り上がりました。なんとか声も持って本当に良かった。「ピアス」を完全燃焼し、本編終了。楽屋に帰りましたが、ローディーの伊藤さんが、「誰も帰りません、蜃気楼やりませんか?」と大声で僕らを呼びました。もう歌う体力は残っていませんでしたが、ファンが歌ってくれるなら、その想いでアンコールに応えました。最後も大合唱の「蜃気楼」。素晴らしいフィナーレ。最高のツアーファイナルになりました。
福岡、仙台、埼玉、渋谷、大阪、名古屋、ファンクラブ公演を入れて計14公演(大阪MUSE弾き語り単独公演も入れると計15公演)、1日2公演が当たり前なスケジュール。ファンの方もよく集まって下さったなと思います。グッズも購入していただき感無量です。何よりファンクラブ『BEAT&LOOSE』の方々に心から感謝。関わっていただいた全てのスタッフにも心から感謝致します。これが独立後初の全国ツアーになりましたが、何から何まで勉強になったツアーでした。集まっていただいた方々本当にありがとうございました。5月からはアコギ1本弾き語りツアーで47都道府県を廻るツアーが始まります。7月9日は原宿RUIDOで女子限定、男子限定ライヴが決定しています。これはライヴ録音して音源にします。その先はまだ告知出来ませんが秋にまたツアーを、そしてデビュー25周年イヤーの入り口である10月に東京で1本だけTAKUI THE BESTのライヴを行う予定でいます。このライヴのチケットが早くはけてくれたら、この日に撮影を入れて映像にしてBlu-rayでリリースしたいとも思っています。25周年もファンの皆様の期待にお応えすべく、最高な周年イヤーにしたいと思っています。今後とも中島卓偉の活動とロックンロールをどうぞよろしくお願い致します。読んでいただき本当にありがとうございました!
中島卓偉