GRASAM ANIMAL、初のワンマンライブを敢行。全曲披露とメンバーとの別れ

ライブレポート | 2020.02.10 18:00

『GRASAMANIA〜ONE MAN SHOW〜』
2020年1月31日 GARAGE(下北沢)

“あのぅ……今日なんですけど、口がすべって『全曲やる』と言っちゃったんですよ。いろんな人から止められたんですけど”。木屋和人(Vo&Gu)は少し照れくさそうに言葉を続けた。“だから皆さん、今日は全曲聴くまで帰れないんで”——。

2020年1月31日、下北沢GARAGEにてGRASAM ANIMALのワンマンライブ『GRASAMANIA〜ONE MAN SHOW〜』が開催された。花の金曜日、チケットはソールドアウト。幅広い年齢の男女がこぞって集まっていた。ライブは2017年にリリースした1stアルバム『ANIMAL PYRAMID』に収録された「インサイド!インサイド!」でスタート。次曲は2016年にリリースした1stEP『Surf Ride Monster』から「熱海でバカンス」「俺たちに夏はない」と、これまたGRASAM ANIMALの初期を彩った楽曲を演奏。すると木屋が“意外にも我々、5年くらいバンドをやってて今日が初ワンマンなんですよ。序盤で昔の曲をやったんですけど、やっぱりみんな良い曲だなって。今日はレアだと思うんで、みんなちゃんと耳に残して帰ってください”と挨拶をした。

木屋和人(Vo&Gu)

その後、「Dogs」「HERO」「Bali High」「抱きしめたい」を含む10曲を演奏し、中盤戦を迎えたところで「ヤモメ」を披露。去年、2ndアルバム『GOLDEN BAD』のインタビューで木屋に話を聞いた時、“俺はポップ野郎なので良いメロディーにしないと気が済まないフシがある。あとは根が良い奴だから、自然に作るとキレイな曲がいっぱい出てきちゃうんです”と言ったので“キレイな曲って例えば?”と尋ねたら“「ヤモメ」とか「花の香りに」のことです。雪景色とか広い草原とか、そういう感動する情景が好きなんです。多分、『ANIMAL PYRAMID』までは爆音で流したり、しっかり聴かないとわからないことも多かったと思うんですよ。だけど、今までに比べて『GOLDEN BAD』は、もうちょっと軽くなれた感じはあります。このアルバムに文句を言える人は少ないはずだし、悪い言い方をすると浅く広くというか”と答えていたのを思い出した。確かに、こうしてGRASAM ANIMALの楽曲を振り返ると、初期に比べて今はより大衆に響く楽曲を作るようになったな、と改めて気付かされる。そして「あの子の心臓に」や「厄介な人たち」を歌い終えた。

柳澤凌成(Ba)

熊谷拓人(Gt)

気付けば、ライブが始まって1時間20分が経過していた。超満員のライブハウスでは演奏しているメンバーも見ている側も相当体力を奪われる。フロアー後方にいた僕の目にもヘトヘトになっている観客が分かった。その様子を見ながら木屋も思わず“……ヘビーっすねぇ、中々(笑)”と漏らす。“でもね、やっぱり楽しいですよ。本当にGRASAM ANIMALを好きで観に来てくれている事実が嬉しいです。全曲をやるってことなんですけど、そうなったらピアノを弾かないといけないんですよ”と話すと椅子に座り、ピアノを弾きながら「花の香りに」「Y字路より」を演奏した。

歌代(Dr)

17曲を歌ったところで木屋が“みなさん、もう直ぐお別れのお時間です”と告げ、ラストスパートに相応しい「Golden Bad」「End」「LOVE OIL」で本編を締め括り4人はステージを後にした。

するとフロアーから“まだ曲が残ってるんじゃないのー!?”と声が上がり、次々に拍手が起きると再びステージに現れたメンバー。まずはアンコールの感謝を伝えると木屋が清々しい表情を浮かべて“あの……ギターの熊谷(拓人)が今日でバンドを抜けるんです”と報告。すると柳澤凌成(Ba)も歌代(Dr)も、これまで苦楽を共にした熊谷に労いの言葉を向ける。熊谷が“あと3曲でギタリストとして終わります”と話せば、木屋は感慨深そうに“俺は6年くらい一緒にやってきたんですけど、最後はY字路で別れていく2人です。よくよく考えたら、そういう曲ばっかり書いてたな”と言って天井を見つめた。まるで、これまで出来事を思い返しているように。

そしてアンコール1発目は「Sir, Fried Monster」を演奏し、2曲目へ行く前に“次の曲は4年ぶりくらいにやるんじゃないかな? 知らない人もいると思う”と言って「サマーカーブ」の前奏が始まると、フロアーから歓声が上がった。そして、いよいよ2時間に及ぶ全曲ライブの最終地点へ到達。木屋が大きな声で“俺たちは死ぬまでフラミンゴです!”と叫び、その言葉通り「死ぬまでフラミンゴ」を披露。残りの力を振り絞るように、メンバーも観客もノルのではなく狂喜乱舞している。そしてアウトロではメンバー同士で向かい合って、“この4人で演奏する最後の音”を噛み締めるように鳴らした。あの時、木屋、柳澤、歌代、そして熊谷はお互いを見つめ合いながら、まるで少年のようにキラキラした笑顔をしていた——。

SET LIST

01. インサイド!インサイド!
02. 熱海でバカンス
03. 俺たちに夏はない
04. POCARI SWEAT
05. Dogs
06. HERO
07. Bali High
08. 抱きしめたい
09. 風のサンバ
10. Here Come The Dogs
11. ヤモメ
12. Higher Power
13. あの子の心臓に
14. 厄介な人たち
15. 花の香りに
16. Y字路より
17. 地球が何周回っても
18. Golden Bad
19. End
20. LOVE OIL

ENCORE
01. Sir, Fried Monster
02. サマーカーブ
03. 死ぬまでフラミンゴ

  • 取材・文

    真貝 聡

  • 撮影

    山川哲矢

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