LUNKHEAD「ALL TIME SUPER TOUR」
2020年1月31日(金) TSUTAYA O-Crest
なんと、1曲目から去年までのツアーのセトリと全く違う!「白い声」「プリズム」「体温」だったオープニングは「冬の朝」「プリズム」「シンフォニア」に変わり、より解放感あるエネルギッシュなスタートダッシュだ。「めでたく二度目のソールドアウトになりました。楽しんで帰ってください」と小高芳太朗。幻の初日公演から3か月後、日程変更にも負けず再びソールドアウトにしたランクヘッド・ファンに拍手を。数の問題じゃない、どこにも負けない、ランクヘッドのファンは素晴らしい。
推進力みなぎるミドル・チューン「魚の歌」や、ソウルっぽくハネたリズムがかっこいい「はるなつあきふゆはる」など、今年になって加わった曲たちがいい味を出してる。桜井雄一の力強いキックが鼓動のように響く「体温」、ギター山下壮が研ぎ澄まされたナイフのような鋭利なリフを繰り出す「決戦前夜」と、ほぼノンストップで怒涛の7曲。からの、MCも入れずにさらに4曲。「夏の匂い」「桜日和」など、中盤にはじっくり聴かせる抒情的な曲が並んだ。そうだ、少年から大人への成長の葛藤をピュアに描く曲が、あの頃のランクヘッドには多かったな。この時期に聴く「桜日和」に、特にぐっときてしまうのは、あの頃の「僕の中の少年」が今も心のどこかにいるせいだろう。ランクヘッドの曲は切なく激しい。でもとても優しい。
どうやら小高は5曲目「果てしなく白に近づきたい青」で、一小節早く始めてしまったらしい。「すみません」と謝る小高に、「20年やってまだそんな間違いできるってことは新鮮ってことだよ」と笑う合田悟。空気がふっと和んだところで、このツアーならではの特別メニュー「日替わりレア曲コーナー」へ。「覚醒☆再☆リダイヤル」はバンドの極初期に自主リリースされた曲で、ライブで聴けるのは本当に珍しい。どうやらこのコーナーには「盛り上がらないことを楽しむ」という裏テーマがあるらしく、「盛り上がらんかったね」とニヤつく小高。ひねくれや意外性も全部まとめて、それもこれもランクヘッドの個性なり。
気が付けばあっという間に15曲。「後半戦盛り上がっていけるか渋谷!」小高が煽り、オーディエンスが拳を上げる。「白い声」では、ここまでややおとなしめだった合田が、遂に我慢できなくなったか、持ち場を離れて暴れ始めた。そうこなくっちゃ。「渋谷、飛び跳ねろ!」小高に言われるまでもなく、「アウトマイヘッド」ではすでに全員飛び跳ねてる。小高がマイクをつかんでフロアに乗り出し、ファンの手をつかみながら絶唱する「はじまれ」から、ポジティブなパワーあふれる「スモールワールド」へ。僕がいて君がいた、それだけでいいんだ──。これ以上にシンプルに人の絆を歌う歌詞があるだろうか。ランクヘッド20年の戦いは、この言葉に尽きる気がする。
アンコール。先日発表されたばかり、所属事務所「直球」を離れる決断について小高、合田、山下がしっかり語ってくれた。詳しくは彼らのブログに譲るが、バンドは至って元気で前向きだ。「これからもよろしく」という言葉に応えるあたたかい拍手。これからの第一歩となる新曲「アス」は、「US(オレら)」と「明日」の掛け言葉だ。気迫みなぎるロック・バラードに、未来への決意がにじむ。そして陽性のパワーあふれる「ENTRANCE」と「カナリアボックス」。今のランクヘッドには明るいエンディングがふさわしい。
おっと、まさかのダブル・アンコール?鳴りやまない拍手に応えて再登場したものの、「何にも決めてねーのに出るなよ!」と桜井が怒鳴ってる(笑)。本当にノープランだったらしいが、小高の「『果てしなく白に近づきたい青』、リベンジいいですか?」という一言で再チャレンジが決定。今度は見事に歌いきり、満場の笑顔と拍手の中で特別な夜は終わった。これがベスト・オブ・ベスト、バンドの過去と現在と未来を一望する濃密な2時間。
ツアーは残すところあと6本。相変わらずじたばたしながらもがきながら、全国各地のファンからもらった熱い思いを推進力にしてランクヘッドは走る。過去に誇りを持ち、今を強く生きれば、きっと未来は変えられる。3月12日、TSUTAYA O-EASTで会おう。
SET LIST
SE LUNKHEAD入場のテーマ
01. 冬の朝
02. プリズム
03. シンフォニア
04. 魚の歌
05. 果てしなく白に近づきたい青
06. ハイライト
07. はるなつあきふゆはる
08. 体温
09. 決戦前夜
10. シンドローム
11. プルケリマ
12. 夏の匂い
13. 桜日和
14. 幻灯
15. 覚醒☆再☆リダイヤル
16. 白い声
17. SHIBUYA FOOT
18. アウトマイヘッド
19. はじまれ
20. スモールワールド
ENCORE
01. アス
02. ENTRANCE
03 カナリアボックス