名古屋のHalf time Oldが、新しいミニアルバム『宅配便で現実を送りつけて』を9月4日(水)にリリース、東名阪で初のワンマンツアーを行う。ベーシストの脱退以来、サポートを加えて活動してきたが、今年7月に内田匡俊が正式加入、4年ぶりに4人編成に戻ったタイミングでもある。4人になったから、というのももちろんあるだろうが、それだけではないと思わせる勢いと覚醒感に満ちている、どの曲も。全員に新作とツアーにかける思いを訊いた。
──こんなふうな作品にしたい、というようなイメージはありました?
鬼頭大晴(Vo&Gt)前回が、けっこう激しめな曲というか、ロック色の強い曲が多かったんで。今回は、全部そういう感じではなく、いろんなバリエーションのものを見せたいなと。あと、4曲目の「101分の1の本音」ができた段階で、この曲のような感じで歌詞を書いていきたいなと思って。身近なことを具体的に歌おうと意識して、7曲通してその感じで書きました。
──なぜそうしたくなったんでしょうね。
鬼頭なんだろう? うーん……4曲目を書いた時は、本当に、すごい素直に、特に何も考えずに書いたら、そういう曲になった、というのがあって。それを自分で聴いていたら、なんかすごいスッと入ってきたんです。自分の経験とか、身近なことを歌うと、自分にすぐ入ってきやすいというか。それが自分にいちばん刺さりやすい形だったんだと思います。もともとそういうの、好きではあったんですけど、メロディにのせたりとか、歌詞にしたりするのが難しくて。それが、どんな感じにすればいいのかわかったんですかね。「これなら伝わりやすいな」っていうのがわかったんだと思います、この曲を書いて。
──全体に、自分の中の直視したくないこと、できればはっきりさせたくないことから順に、曲にしてはっきりさせていく、みたいな感じが聴いていてしたんですが。
鬼頭ああ、そうですね。基本的に僕、いろんなことに対する文句は、日常すごい出てくるんですけど。でも、文句だけで曲にはしたくないな、っていうのはすごい思ってて。自分なりの、答えというか、どうしていくべきかとか、そういうのを何も見つけないまま、ただただ文句だけを言う曲は、あんまり作りたくなくて。だから、曲を書いてるうちに、そういうのを最後の方でまとめていく、っていうことを毎回やってますね。
──できあがったアルバムを通して聴いて、どんなことを感じたか、教えてください。
内田匡俊(Ba)もともと僕、このバンド自体は、暢さんが学校の先輩で、お客さんで観に行ったこともあるんですけど。その時から、バラエティ豊かな、音楽性が広いバンドだなっていう印象があって。そういう、もともと持ってた方向性を、めっちゃアップデートさせて、ブレない部分も詰め込んで……Half time Oldってこうだな、っていうアルバムになったと思います。
小鹿雄一朗(Gt)全部曲を並べて聴くと……前よりもすごい、わかりやすい、想像しやすいアルバムというか。ギターも、今までどおりのアレンジのものもできたし、自分的に新しいことを入れたりもできたので。さらに歌詞の部分で、今までと違うものを見せられたな、と思います。
阪西暢(Dr)新しく入った内田が、プログラミングのトラックをすごく作れる人で。今までギター、ベース、ドラムだけで作ってたサウンドに、新しい風が入ったのは、曲を聴いてもらえればわかると思うんですけど。僕個人で言うと、今まで、やりたいビートを、ドラムで全部カバーしようとしていて。だから音を詰めがちだったんですけど、今回はわりと最小限に、シンプルで……隙間があった方がいいなと思って。それで、ほかの楽器、ギターやベースやプログラミングも使って、いいグルーヴというか、いいビート感を出していけたら、よりみんなが際立つのかな、っていう。それは今回、工夫できたかなと思います。まだまだなところもあるんですけど、次作以降もチャレンジしていけたらなと。次作につながるような、すごくバランスのいいアルバムができたなっていうのはありますね。
鬼頭僕の中で今回いちばん大きかったのが……今の話にも出ましたけど、ベースが加入して、プログラミングができるようになった。今まで、「こういう音をプログラミングで入れてみたい」っていうのがあっても、イメージどおりできてなかった部分があって。でも今回、ブラスだとかストリングスだとかを、「ここで入れたい」って伝えたら、ちゃんとそのイメージどおりに作ってきてくれるので。達成感というか……今までも達成感はあったんですけど、「でもあれ、やりたかったな」っていう心残りもあって。できたものを聴いていると「ここ、もうちょっとこうすればよかったな」っていうのが、だんだん出てくるんですよ。でも今回は「あ、これでちゃんと完成したな」っていう達成感は、すごい大きいですね。
──4人になっていかがですか? 正式メンバーでベーシストがいるの、久々ですよね。
阪西4年ぶりですね。で、やっぱり、でかいですね。サポートでバンドを回すのって、スケジュールの管理から、リハーサルから、ライブから……サポートということで、バンド業務的に、ひとつ考えないといけないことが増えるので。その負担が消えて、すごい動きやすくなりましたし。今回、加入を発表したのは7月ですけど、曲作りの段階から参加してくれたので、それもすごいでかいですね。久しぶりに、正しい道順でレコーディングに臨めて。で、この後ツアーにも行けるので。
──4年間ベースがいなかったのは、単に適任な人がいなかったから?
小鹿でも、ずっと探してはいましたよ。サポート、一回だけの人も合わせると、10人ぐらいと一緒にやったんですけど。その中で「入ってほしいな」って思う子もいたんですけど、自分のバンドをやっていたりして。けっこうしんどい時期はありましたね。ライブ1本決めるのにもベースを探さなきゃいけない、そういうストレスがなくなったのはすごい大きいですね。晴れやかな気持ちです(笑)。
──何が決め手になったんですか?
阪西前のベースがやめて、最初にサポートしてくれたのがウッチーで。その時も、このまま入ってほしいな、っていうのはあったんですけど、その後ウッチーは就職したんですね。で、何年か経って、またサポートが見つからない時に、僕が「またサポートしてくれない?」って連絡したんですよ。そしたら「仕事を辞めて、また音楽をやろうとしてます」っていう話だったんで。「よかったらその流れでサポートで手伝って、メンバーにならないか?」と。
小鹿だから、決め手っていうよりは、問題がない。
三人(笑)。
小鹿逆に今までは、何かしらの問題があったんですよ。こっちは入ってほしいけど向こうはバンドやってるとか、スケジュールが難しいとか。何かしら今まであったんですけど、何も問題がない。
阪西多少はありますけど(笑)。
小鹿はははは。問題はあるんですけど、なんとかなる範囲の問題(笑)。
内田名古屋に住んでるから、とかじゃないの?
阪西それも、あります(笑)。
──タイミングがよかった?
内田そうですね。音楽は、働きながらちょこちょこはやってたんですけど。でも、「人生一回きりだしな」とか、いろいろ思うことがあって。そういうタイミングでHalf time Oldの新譜を聴いて、「うわあ!」って、自分の中でグッとくるものがあったりして。そんなタイミングで、お誘いの電話をいただいて、もうこれは、人生一回だし……人生の使い方を考えました(笑)。
──次のツアー、どんな感じになりそうですか?
鬼頭初めて東京、大阪でワンマンができるんで。今まで地元の名古屋でしかワンマンやってなかったから、同じ内容にはしたくないな、っていうのがあるんです、東名阪全部。今回ミニアルバムで7曲なんで、ライブで7曲全部やっても……ワンマンで20曲やるとして、あと13曲は旧譜からできるので。昔の曲をセトリに加えたいな、っていうのはありますね。1年にアルバム1枚ペースで出してきたんで、普段のライブでも、いちばん固いセトリが、だいたい決まってきちゃうんで、なかなかやれない曲もあって。そういうのを、この機会にやりたいな、っていうのはありますね。東名阪、それぞれセットリストを考えていきたいです。
PRESENT
サイン入りポスターを3名様に!
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