ハルカトミユキ Best Album Release Tour 2019“The Origin”
2019年8月22日(木) 渋谷LOFT HEAVEN
初のベストアルバム『BEST 2012-2019』を引っさげ、ハルカトミユキが2人編成で行なう全国ツアー『ハルカトミユキ Best Album Release Tour 2019“The Origin”』。その2本目となる東京公演が8月22日(木)、渋谷LOFT HEAVENで開催された。
見事ソールドアウトとなり、多くのお客さんが熱い眼差しを向ける中、ハルカ(Vo&G)がゆったりとアコギを奏で出して、ライヴはスタート。フロアーに椅子が並ぶ落ち着いた空間とはいえ、型にはまったアコースティックセットという感じはなく、曲によってハルカがギターなしで歌ったり、ミユキ(Key&Cho)がキーボードやグランドピアノ、サンプラーを使い分けたりしながら、彼女たちは今しっくりくるアレンジで自由に歌を、音を鳴らしていく。ふたりきりなのに、ふたりだけではないように聴こえる、そんな豊かな表現力を孕んだ演奏は、成長を重ねてきたハルカトミユキの現在形であり、聴く側も思わずグッと惹き込まれてしまうものだった。
ツアータイトルの“The Origin”、そして“10年前に4曲入りのCDを作って、500円で初めて手売りしてました。それがハルカトミユキの起源です”と話すハルカの言葉通り、昔からのファンにとってたまらない、活動初期の懐かしいナンバーも数多く披露。“どうして歌っているんだろう…みたいになってしまった時期もあったけど、その時に書いてた曲が今でも私をすごく励ましてくれてます”とハルカが打ち明ける場面もあり、楽曲に含まれた在りし日の記憶を辿っては、どこか慈しむように、ふたりが思い思いのアプローチをしていたのも感慨深い。
“みなさん、楽しんでますか? もう満足してる? じゃあ、終わりにしましょうか(笑)。『The Origin』ツアーへようこそ。このライヴが素敵な夏の思い出になったらいいなと思ってます!”とミユキが会場の観客に挨拶すれば、初日の8月18日(日)北海道・札幌COLONY公演と比べて東京はリアクションが大人しいことに対し、ハルカが“関東の人ってシャイですよね。感情をどうしていいか分かんないみたいな。私もそうだから、気持ちは分かります。きっと似たような人たちが集まってくれてるんだと思うし、それはそれですごく愛おしいです”と話したりと、MCでも距離を近付けながらライヴは進んでいった。
ハルカ曰く“ふたりとしてやりたいこと、ふたりだからこそできることが、デビュー7年目にしてやっと考えられる感じになってきた”のだという。そんなハルカトミユキの現在形が最も顕著に表われていたのが、明るいメロディーが会場に沁みわたるように広がった「17才」、サビの不可思議なハモリっぷりにゾクゾクさせられた「二十歳の僕らは澄みきっていた」で、演奏後にひときわ大きい拍手と歓声が上がるのも頷けた。ベストアルバムのリリースを経て、新たな自信が芽生えている彼女たち。そのパフォーマンスは言うまでもなく頼もしい。
その後もフラワーカンパニーズのカバーを含め、新旧織り交ぜたセットリストの中、時に狂気を感じさせつつ、不器用ながらも正直に、生きていくことを肯定する音楽を届けた。デビュー当初こそオルタナティブロックの印象が前に出たところもあったけれど、そうしたサウンドの鋭さや派手さよりも、根っこのフォーキーな部分、メロディーの素晴らしさがしっかりと再確認できたライヴだったと思う。また、ハルカがその都度必死で紡いできた、過ぎ去った瞬間さえ鮮やかに呼び覚ますような、言葉の強さにもあらためて驚かされた。
名古屋、大阪の他、このあとも続いていく本ツアー。ライヴ会場で販売されている、今年2月にロンドンで撮った写真をはじめ、これまでの思い出深いショットやふたりの特別対談なども収めた、初のフォトブック『Memento』もチェックを! そして、ファイナルは11月23日(土)、2人編成での最大キャパとなる東京・日本橋三井ホールで『ハルカトミユキ Best Album Release Special Live “7 DOORS”』と題した公演を行なう。“今までとは違ったスペシャルなライヴにしたい”という意気込みもあっただけに、ぜひ足を運んでハルカトミユキの集大成を感じてみてほしい。