SURFACE × 武部聡志
Special Collaboration LIVE「SAIKAI II」
2019年5月25(土)昭和女子大学人見記念講堂
2018年のデビュー20周年を機に再始動したSURFACEと音楽プロデューサー・武部聡志とのコラボライブ“Special Collaboration LIVE「SAIKAI II」”が5月25日、東京・昭和女子大学人見記念講堂で開催された。1stシングル「それじゃあバイバイ」(1998年)のプロデュースを武部が手がけるなど、メジャーデビュー前後から深い関りを持っている両者。この日のライブでは、SURAFCEと武部の“これまで”と“これから”をたっぷりと堪能できるステージが繰り広げられた。
SURFACEの椎名慶治(Vo)、永谷喬夫(Gt)と武部(Pf)がステージに登場、3人で一礼して、ライブはスタートした。1曲目はデビュー曲「それじゃあバイバイ」。武部のピアノ合わせて“自分らしく生きてますか?/気持ちイイことそこにありますか?”と歌い上げると、会場からは大きな歓声と拍手が巻き起こる。さらにバンドの音が加わり、観客が一斉に立ち上げり、心地よい一体感が生まれる。続く「空っぽの気持ち」では、永谷、武部がソロ演奏を披露。オープニングから“SURFACE×武部聡志”の刺激的な化学反応を実感できるシーンが続いた。
椎名「『SAIKAI II』へようこそ!永谷、どうですか?」
永谷「すごいですね。ありがとうございます!」
武部「再始動するタイミングで、また僕と一緒にやりたいと言ってくれて、それがこうやって実現して。こんなに嬉しいライブはないよ」
と言葉を交わす3人からも、この記念すべきライブに対する強い思いが伝わってきた。
「僕とSURFACEが作ってきた曲、SURFACEの代表曲、普段はお目に掛けないものも見せたいなと。僕の最新のプロデュース作が今日のライブだと思ってます」(武部)という言葉通り、この日のライブは過去・現在・未来を行き来する多彩な楽曲が披露された。ライブ中盤は3人のソロコーナー。まずは椎名がロックバラード「ヤワじゃないだろう」「それだけ」を熱唱。ダイナミックかつエモーショナルな歌声からは、シンガー・椎名慶治の魅力がはっきりと感じられた。続いては武部のソロ楽曲「僕らの音楽~our music~」テーマ曲。ラテンとジャズが絡み合う美しいインスト曲で、原曲はアルトサックスが主旋律を担っているが、この日は武部のピアノがメイン。このアレンジによる演奏もきわめて貴重だった。そして永谷は、昨年リリースされた1stソロアルバム「Heartbeat」から「beat」と音源未収録曲「Rope」を披露。R&B、ソウルミュージックの香りが漂うアレンジ、大人の恋愛を描いた歌は、SURFACEとは一味違う、ソロアーティストとしての個性が滲み出ていた。
この日だけのスペシャルなステージはまだまだ続く。「やったことがないことをやりたかったんです。ふたりのデュエットをお送りします」(武部)という言葉に導かれたのは、椎名、永谷のデュエットによる「夏の終わりのハーモニー」(井上陽水&安全地帯)。ふたりが目を合わせて、ハーモニーを響かせるシーンは、今回のコラボライブの大きな見どころだった。椎名は「このデュオは今日で解散します(笑)」と言っていたが、ふたりのデュエットソングをもっと聴きたいと思わせてくれる“名演”だった。さらに7月24日リリースされるSURFACEの7thアルバム「ON」に収録「spilt milk」も初披露。武部がレコーディングに参加したこの曲は、洗練されたコード進行、抑制の効いたアンサンブル、切なくも美しいメロディがひとつになったミディアム・ナンバー。恋愛の終焉を詩情豊かに描いた歌詞を含めて、ニューアルバムへの期待がさらに高まる名曲だ。
「御褒美」からライブは終盤へ。「振り返らない君の涙を僕は忘れない」「さぁ」といった人気曲を次々と披露、オーディエンスも体を揺らし、手を叩き、声を出しながら、全身で楽しんでいる。
ここで椎名が改めて観客に語り掛ける。「音楽を捨てずに歩んできて、その先でまた永谷と出会って、武部さんと一緒にこうやってライブができて。長く続けることって、それだけですごい力があるなと。みなさんもいろんなことあるだろうけど、真っ直ぐ進んでほしい。そう思ってもらえるような奇跡の一夜を見せられたと思います」という言葉に導かれたのは、代表曲のひとつである「なにしてんの」。SURFACE、武部、バンドメンバー、観客がひとつになり、会場は大きな感動と興奮で包まれた。
アンコールも嬉しいサプライズがたっぷり。まずはこのライブのために新たに制作された「I CH I」(SURFACE×武部聡志)。永谷の軽快なギターカッティング、軽やかな解放感に溢れた武部のピアノ・フレーズ、大らかな心地よさをたたえた椎名のボーカルがひとつになったこの楽曲は、両者の未来をしっかりと照らし出していた。さらに武部が「予定ではあと1曲なんだけど、このまま終わるのは寂しいね」と、1曲目の「それじゃあバイバイ」をもう一度披露。観客もオープニングのとき以上の盛り上がりを見せる。そして最後は「素直な虹」。クラシカルなピアノの旋律に導かれ、ドラマティックなメロディと“いつかまた君に会えるなら 素直に思い伝えるから”というフレーズが響き渡り、ライブはエンディングを迎えた。
ライブ中「また2年後くらいに(“SAIKAI”)をやろうか?」(武部)、「武部さんが65才のとき、3年後にやりましょうよ!」(椎名)という会話も。決して過去を振り返るのではなく、“これまでのキャリアを肯定しながら、未来に進む”という意思に溢れた本当に意義深いコラボライブだった。
SET LIST
01. それじゃあバイバイ
02. 空っぽの気持ち
03. Tell me
04. ジレンマ
05. ヤワじゃないだろう(椎名慶治ソロ)
06. それだけ(椎名慶治ソロ)
07. 「僕らの音楽~our music~」テーマ曲(武部聡志ソロ)
08. beat(永谷喬夫ソロ)
09. Rope(永谷喬夫ソロ)
10. 夏の終わりのハーモニー(カバー)
11. spilt milk(SURFACE 7thオリジナル・アルバム「ON」収録新曲)
12. 御褒美
13. 振り返らない君の涙を僕は忘れない
14. さぁ
15. なにしてんの
ENCORE
16. I CH I(SURFACE×武部聡志 新曲)
17. 素直な虹