兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第28回[4月の巻~前編~]

コラム | 2019.04.18 12:00

イラスト:河井克夫

音楽などのライター兵庫慎司が、自分が観たすべてのライブについてひとことレポしていく連載の、2019年4月前半編。今回は6本、そのうち最後の2本は「1日二回ライブの一本目と二本目をハシゴ」でした。

4月6日(土) ユニコーン @ 三郷市文化会館

ニュー・アルバム『UC100V』のリリース・ツアーであり、2019年はユニコーンの100周年であることを記念してのツアーでもある『百が如く』(なんで100周年なのかはDI:GA ONLINEで行ったこのインタビューをご参照ください。 )、4月から12月までかけて回る全50本の初日。
レーベルが各ウェブメディアに配信するオフィシャルニュースレポを書きました。BARKSにアップされたものはこちらです。

4月8日(月) 氣志團 @ マイナビBLITZ赤坂

現在氣志團はホール・ツアー中、しかしこの日はそのツアーとはまったく別内容。昨年夏から行っている、誕生日を迎えたメンバーが「一日團長」になって、セットリストから演出からすべて決めて行うライブの第四弾の、ベース白鳥松竹梅が仕切る日だったのでした。
映像(白鳥松竹梅がハローバイバイ関に扮して都市伝説をレポしていく内容)も、セットリストも、さまざまな小ネタなども、すべてこの日一回きりのためだけに用意されたもの。もったいないし、大変! ……というのは、氣志團にとっては普通のことなんだけど(ほかのバンドだったらありえない)、今回の場合、この直前に綾小路翔のお父さんが亡くなったことが、SNSで報告された。
ゆえに「一回きりなので大変」に加え「要の綾小路翔がご葬儀等で大変」というダブルパンチ状態だったはずなのに、それをまったく感じさせない大爆笑&感動のエンタテイメント・ショーだった。しびれた。綾小路翔だけじゃなくて、メンバー全員のタフさに感じ入るものがありました。
あと「白鳥松竹梅のいいところを挙げる」というMCのコーナーがあって、メンバーだけでなくスタッフもステージに呼ばれていいところを挙げていったんだけど、マネージャーのひとりである最年少の女性の「実はメンバーでいちばん好きな顔です」という告白に、團長(一日團長じゃなくて翔やん)が素で動揺していたのがおもしろかった。笑いました。

4月12日(金) GRAPEVINE @ 恵比寿・LIQUIDROOM

ニュー・アルバム『ALL THE LIGHT』のリリース・ツアーの一発目。2~3月に東名阪を回った中村佳穂とのカップリング・ツアーの時は、『ALL THE LIGHT』の曲は4曲くらいだったので楽しみにしてました。で、満喫しました。このツアーに限ったことじゃないが、初日だろうがなんだろうが歌も演奏も仕上がっているのが常態のバンドなので。にしても、『ALL THE LIGHT』の曲、粒ぞろいなのでは? 普遍性高いのでは? ファン以外にもリーチするのでは? と、ライブで聴くと改めて思う。

4月13日(土) ジョニー大倉大臣企画 てちまジャンボリー2019 @ 上野恩賜公園野外ステージ(水上音楽堂)

水中、それは苦しいのジョニー大蔵大臣プレゼンツのイベント。去年は水中、それは苦しいの主催として同じ場所で行っていたので、二回目である、と捉えていいと思います。去年も行ったんだけど、動員が目に見えて上がっていた。このように素敵極まりない出演者たちだったし、快晴だし、ほぼ満員でいいムードだし、楽しくて思わず観ながらツイートしまくった。今見直したら5回してました。
andymoriの曲いっぱいやってくれた(弾き語りの時はわりとそうだけど)小山田壮平と、Theピーズの大木温之がドラム&ベースのサポートと共にやっている3人ピーズ(※Theピーズでは彼はボーカル&ベースだけど、このバンドではボーカル&ギター)が、特にぐっときた。

4月14日(日) 9mm Parabellum Bullet @ 日比谷野外大音楽堂

結成15周年記念東阪フリー・ライブの東京編、1 日2ステージの一回目。アンコール含め正味1時間弱、フリー・ライブだし2ステージだから通常のライブよりは短いですよ、ということなんだろうけど、食い足りなさなどまったくない、超特濃な時間だった。途中で雨が降ってくる、という天気予報だったんだけど、二回目も最後まで降らなかったそうです。
で、この一回目と二回目、あと来週の大阪も当然同じ内容なんだろうと思っていたが、あとでオフィシャルブログを見たらセットリストがアップされていて、一回目と二回目で内容が違った。アップしてるってことは、大阪も変えるわけですよね。なんちゅうサービスのよさ。このバンドのファンは幸せだとつくづく思う。
なお、写真は改装工事で新しくなった野音の客席のイスです。

4月14日(日) ワンダフルボーイズ @ 下北沢BASEMENT BAR

ニュー・アルバムにしてメジャー・デビュー・アルバム『We are all』の東阪リリース・パーティの東京編、1日2ステージの二回目。9mmは日比谷で2ステージの一回目が17:30開演で二回目が19:30開演、ワンダフルボーイズは下北沢で一回目(アコースティック)が14:00開演で二回目が18:30開演。ってことは9mmの一回目とワンダフルボーイズの二回目、ハシゴできるな、というわけで千代田線で移動。9mm最後まで観れたし、ワンダフルボーイズも開演に間に合いました。
楽しくてせつなくてシリアスで真摯でもある、すばらしい日本語歌もの生音ダンス・ミュージック。合間合間のSundayカミデの楽しいMCも確かに魅力だけど、というか毎回大爆笑だけど、一切MCはさまずにやっても、この楽しさは褪せないと思う。あ、MCするなとは全然思いませんが。
メロディも歌詞も極限までシンプルな形に磨き抜かれているがゆえに、パッと聴くと「普通じゃん」と思われる可能性もあるが、じっくり聴けば聴くほど「いやいやいや、これ全然普通じゃない」ということがわかると思う。

  • 兵庫慎司

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    兵庫慎司

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