Guiano、3年半ぶりワンマンは完売!会場中溢れるシンガロングとクラップに等身大の愛と音楽で応える

ライブレポート | 2025.01.31 12:00

Guiano 3rd ONE-MAN LIVE「Save Me」
2025年1月25日(土) Spotify O-WEST

サポートバンドメンバーの4人がステージに登場し、ピアノの音色をきっかけに最新EP『Save Me』の1曲目「悪夢」のイントロへとつなぐ。ほどなくしてGuianoがセンターに現れ、ほのかな緊張感を纏いながら歌い始めた。Guianoにとって2021年6月以来となるワンマンライブ『Guiano 3rd ONE-MAN LIVE 「Save Me」』。この約3年7ヶ月の期間で自身の歌唱曲はもちろん音声合成ソフトを使用した楽曲制作、他アーティストへの楽曲提供、理芽とのコラボレーションアルバムのリリース、多種多様なライブイベントへの出演など、多彩な活動と進化を重ねてきた。この日のライブは彼が音楽とともに懸命に生きてきたことを証明する、純粋で濃密な時間だった。

Sosuke Oikawa(Key / Bandmaster)
GOTO(Dr)
Shoma Ito(Gt)
Takayasu Nagai(Ba)

1曲目から悪夢にとらわれて苦しむ様を歌うというダークなムードが漂うも、メロディに乗った笑い声がそれをユーモラスに映し出す。観客も存分に声を出して彼に歌を届け、それを全身で受け取った彼のパフォーマンスの迫力も増していった。会場が明るくなると「ポップソング」「夜、眠るため」とバンドの生演奏を全身で味わうように躍動しながら歌い、飄々としながらもシャープネスや激情を感じさせるその佇まいに目を見張る。「みんなで歌おうぜ」と呼びかけた「シャナ」ではイントロからシンガロングとクラップが華やぎ、会場は笑顔で溢れた。

「初っ端から声を出してくれてうれしかった」と喜びをあらわにしたGuianoは、「今回のワンマンでは前回やらなかった“あいつ”をやろうと思いまして。昔の曲を久しぶりに披露させてもらおうかな」とエレアコを抱え、初期曲「ブラックゴールド」「Girl」、理芽とのデュエットソング「言っちゃいけないことばっか浮かぶよな」「詞を書く化物」の4曲を届ける。その歌声と音色、一挙手一投足、楽曲といった表現のすべてから、彼が過去に心を動かされた物事、ひとり思い悩んだ時間、抱えた葛藤などが生々しく立ちのぼる。強烈なほどにGuianoという個が表れていた。歩んできた歴史があって今の彼が存在すること、バンドのライブアレンジによって楽曲の新たな魅力が引き出されていること、そんな彼の音楽を自分なりに噛み砕いて味わっている観客たちが彼に愛を伝えること、すべてが美しい光景だった。

前回のワンマンはコロナ禍による制限があったため、彼がワンマンで観客の歌や声援を浴びるのは今回が初となる。「みんなからの途轍もない熱気や愛を受けて歌っていると酸欠っぽくなる」と話していたが、観客がそこまで突き動かされるのは、彼が楽曲にもステージにも取り繕うことなく自我を表現しているからこそだろう。その後もディープとポップが混在する「ネハン」、歌詞の一字一句に感情を刻みつけるように歌った「I Don’t Wanna Know」、彼が向き合い続ける“愛”という壮大なテーマを自問自答する「S.O.S」、現在の彼の哲学が堂々と痛快に響く「Da Ba Du」と異なる魅力を見せた。

観客からのコメントにレスポンスをしたり、彼の長年の夢であった「黄色い声援が欲しい」というリクエストに女性客が応えたりなど和気あいあいとした空気が繰り広げられるなか、ふとフロアから「誕生日おめでとう」の声が飛ぶ。Guianoは1月21日(火)に24歳を迎えた年男だ。

誕生日の話題をきっかけに、高校時代にレコード会社へデモテープを送るももっと経験が必要だと言われ、ライブハウスに出演したものの観客は2、3人しかいなかった過去を振り返る。「辛酸を舐めた日もありました。そんな劣等感を抱えて作った曲です」と告げ「花」を披露し、その後も「鳥」「風」「月」と『花鳥風月』シリーズ4曲を順に届けた。それぞれをモチーフに葛藤や苦悩を経てたどり着いた思考などをしたためた四季折々の組曲は、ライブで聴くとGuianoの人生の変遷にも受け取れる。切なさ、苦しみ、鋭さ、高揚感など様々な感情が交錯する様は非常に眩しかった。

「さっきのMCで(黄色い声援が欲しいという)夢を叶えてもらったから、めちゃくちゃ元気になっちゃって疲れが一切ない」と告げると、幻想的な音色と寂寥感のあるボーカルで魅せた「死んでしまったのだろうか」、喜怒哀楽を吐き出すように歌い上げた「Good Style」、音楽への気持ちは中高生の頃とあまり変わっていないと話し、ギターを抱えてぬくもりと切なさがない交ぜになった歌声で彩った「優しい大人になりたい」、観客の歌声がさらなる爽快感を生んだ「冷たい人間と夏の悪魔」と異なるカラーの楽曲を立て続けに披露する。会場の熱気はひたすらに上がり続けた。

ラスト1曲を残し「感動的なMCをしようと思ったんだけど、幸せすぎてなんも出てこないや。ひとりで部屋にいるときは“俺なんてだめだ……”ってずっと思ってるんだけど、幸せなことが起きると不幸せなことが頭から全部飛んでいくから、今は幸せしかない」と笑うと、『Save Me』というタイトルについて、作り手や聴き手の中で完結させられるアルバムには「自分自身で自分を救いたい」という思いが、観客と顔を合わせて一緒に歌うライブには「俺はみんなに救われて、おこがましいけどみんなは俺に救われてほしい」という希望が込められている旨を伝えた。そして「みんなの涙が晴れるような曲を最後に一緒に歌いましょうか。声聞かせてくれ」と呼び掛け、『Save Me』のラストを飾る「星くずのうた」をスケール大きく歌い始めた。観客も思いを歌に乗せ、Guianoもそれを受け取ろうとイヤモニを外してステージの前に乗り出して、マイクを通さずに歌いながらギターをかき鳴らす。ライブへの憧れから自身で歌い始めた彼の思いが結実した、隅々まで澄み渡った情景だった。

アンコールでは単身ギターを持って登場し「1曲弾き語りでどうしてもやりたい曲があります。東京に出てきて初めて作った曲です」と「ミュージック」を演奏する。誕生日を迎えて間もないこの日に、満員の観客の前で上京直後の心情がありありと綴られた曲を歌うというシチュエーションも、楽曲の本質を引き立てていた。その後は「きっと気に入ってくれると思う。俺も大好きな曲だから」とバンドメンバーとともにミラーボールが回るなか未発表の新曲「藍空、ミラー」を初披露し、生命力あふれる楽曲と歌声を響かせた。

7月6日(日)にVeats Shibuyaで開催予定である次回のワンマンライブを発表し、「今日は次の曲が最後だけど、あなたたちと俺はいつでも音楽でつながっているので」「たくさんみんなとしゃべれて、いっぱい歌えてとっても幸せでした。死なないで、生きていれば必ず会えます。また次、7月も絶対会おう」と呼びかけると、初音ミクの「スーパーヒーロー」の歌声が流れ出し、デュエットで晴れやかにライブを締めくくった。3年7ヶ月ぶりのワンマンライブで10年の音楽人生を凝縮した熱演を繰り広げたGuiano。彼の佇まいから歌声まで、すべてから愛と音楽が迸っていた。

SET LIST

ENCORE
01. 悪夢
02. ポップソング
03. 夜、眠るため
04. シャナ
05. ブラックゴールド
06. Girl
07. 言っちゃいけないことばっか浮かぶよな
08. 詞を書く化物
09. ネハン
10. I Don't Wanna Know
11. S.O.S
12. Da Ba Du
13. 花
14. 鳥
15. 風
16. 月
17. 死んでしまったのだろうか
18. Good Style
19. 優しい大人になりたい
20. 冷たい人間と、夏の悪魔
21. 星くずのうた

ENCORE
01. ミュージック
02. 藍空、ミラー(新曲)
03. スーパーヒーロー

SHARE

Guianoの関連記事

アーティストページへ

最新記事

もっと見る