-真天地開闢集団-ジグザグ、 満員のガーデンシアターで参拝者とファイナル禊を完遂

ライブレポート | 2023.12.08 17:00

-真天地開闢集団-ジグザグ
ホールツアー2023 『全国開闢禊 -最高-』
2023年11月21日(火)東京ガーデンシアター(有明)

 4thアルバム『慈愚挫愚 四 -最高-』を引っ提げて初の全国ホールツアー「全国開闢禊-最高-」を開催した-真天地開闢集団-ジグザグ。彼らの禊ファイナル公演が11月21日(火)に東京ガーデンシアターで開催された。

 参拝者たちの熱気が充満する中、禊は最新アルバムから疾走感たっぷりのロックチューン「Drip」で幕開け。影丸(Dr)の力強くタイトなドラミング、龍矢(Ba)の太いベースが、がっつりジグザグのサウンドを支え、間奏で命(Vo&Gt)が「東京!」と叫んだ「Mr. Idiot」ではハンドクラップ。禊は全ての演奏が終わり、誰もいなくなったステージに「愚か者に救いの手を」という命の叫びが何度も響き渡り、終幕するのだが、タイトルの“Idiot”も“愚か者”に近い意味で使われているのだろうか。明るい曲調なのにどんな運命が待っていたとしても“愛すべき不格好な翼で 羽ばたいていけ”という歌詞に泣けてくる。
 しかし、グッときていると予想外の場面転換をするのがジグザグの禊だ。影丸がドラを叩くチャイナアレンジの「ニイハオ・ワンタンメン」では命と龍矢がステップを踏んで盛り上げ、客席も踊る展開の中、“ギョーザ”という歌詞の部分から、いきなりデスメタル、デスボイスになり、カオスからまたポップに戻るアプローチもぶっ飛んでいる。
「愚かなる者どもよ!我々が-真天地開闢集団-ジグザグだ!」と命が挨拶。手に持っているのが瓢箪徳利なことに笑いが起こり、「ファイナルですよ。広いね」と客席の上を見上げて「大丈夫? 落ちひん?」と心配しつつ、初の全国ツアーが全てソールドアウトしたことを報告。「大きくなったもんやな」と感慨深げだ。

 禊の前半は『慈愚挫愚 四 -最高-』からのナンバーが中心。レーザーが飛び交う中、届けられた四つ打ちのナンバー「Dazzling Secret」はジグザグの新境地であり、格別の心地よさ。もともと、ジャンル無法地帯のバンドだったが、さらにその世界は広がっている。続いて披露された和風テイストの煌びやかなナンバー「生きて」はサビで命が“生きていて欲しいよ”とリピートする楽曲だ。ジグザグにはキッズも歌える「いいこいいこして」という曲があるが、“今日も生きたよ いいこ”という歌詞が出てきて、ドキッとさせられたことを思い出す。メッセージは少しもブレていない。

 新曲に感じられるのは突き抜けた開放感だ。鍵盤で始まる「Cry Out -victims-」はややハスキーで声量のある命の歌が活きるパワーミドルバラード。和の曲がある一方で洋楽に通じるメロディとコード感の曲を得意とするジグザグ。引き算のプレイも上手い龍矢と影丸のキャパシティの広さにも毎回、唸るものがあるが、こんな側面もフェスで多くの人の心を掴んだ要因の一つだろう。「Aria」、「Sha. La. La.」とじっくり聴かせる曲が続き、MCでは中央に鳥居を据えたステージセットにまつわる命の話が参拝者を沸かせた。
「見てください。この素晴らしいセット。気球も飛行船もあるで。そんなバンドおる? みんな、これ、ちっちゃいと思ってるやろ? ホンマはこれ何十メートルもあるねん。冗談やけど(笑)。この鳥居も作るのにすごいお金かかるんですよ。こんなことができるようになったのはなぜか? 答えは簡単ですよ。いつも、皆さんが応援してくれてるからですよ。ホンマ、幸せですよ。」
 何度もスタッフと打ち合わせして試行錯誤してセットを決めるエピソードでは、命と龍矢に任せきりらしい影丸いじりも。

 そして日本武道館ワンマンで披露した時には振り付けが難しすぎたと反省をまじえ、新たな振り付けをレクチャーして「オマエたちのキュートな姿を見せてくれ!」と「スマイル★かわいいねん」を披露。メンバーが楽器を持たず、横並びで盛り上げるこの曲では、歌いながら龍矢に迫っていき、思わず龍矢が後退りしたことを反省したのか、「全然かわいくなかった」、「ガーデンシアターなのに花がないからや」といったん、引っ込んだ命が手作り感満載の“最高さん顔ハメパネル”を持ってくると、場内大爆笑。そこから「手をZ(の形)にしてください」とジグザグ流ロックンロール「最高だZ」に移行する流れもみんなを高揚させた。財布を無くしても寝坊しても問題なし。最低な出来事も最高に反転させる歌詞も最高だ。命のギターも冴える「Stay with me」ではドラムセットの背後のミラーボールの反射する光が場内をキラキラと照らし、大ホールならではの演出に浸っていると、またまた翻弄されるジグザグ禊。

龍矢

影丸

 命がアコギを弾き下ろすと拍手喝采。「本日はフォークシンガーソングライター、命-mikoto-のリサイタルにようこそ。この世界はとてつもなく広大で果てしない。そんな果てしない世界に小さく果敢に生きる儚い生命。どんぐりのことをみなさん、考えたことがありますか? どんぐりは果たしてどのような人生を描くんだろうか? どんな生涯を終えるんだろうか? そんなことを1日中、考えていたら涙が止まらなくなりました。そんな時にふと出来た壮大なバラードがあります。ハンカチのご準備をお願いします」と、勇敢にして切ないどんぐりの生き様を歌った「どんぐり」を熱唱。はんてんに早着替えした命がアルバムの1曲目を飾る「おっかちゃん」を語り、その横では影丸が犬、龍矢が母に扮して小芝居を繰り広げ、笑いと歓声の中、メンバーがステージからはけた。

 緻密でパワフルなリズムでコール&レスポンスのセクションも盛り込まれた影丸のドラムソロを挟んで、禊は後半戦に。「帰りたいけど帰れない」、「Requiem」で暴れ倒し、猫耳をつけた3人がかわいい「拙者忍者、猫忍者。〜木天蓼三毛蔵と町娘おりん〜」では客席も猫忍者になった気分で楽しみまくり。途中で影丸のDJブースがセッティングされ、パリピモードになったりと基本、とにかく忙しい展開なのも笑える。そして広大な空と海が見えるようなスケール感たっぷりの曲から多くの参拝者を涙させたバラード「傷と嘘」へと。日本武道館での禊の時のように客席にはスマホの光が揺れ、シンガロングが広がっていった。歌い終わって深く深く頭を下げた命が感謝の気持ちを伝えつつ、コロナ禍が明けてやっと声が出せる状況になったのに大事な曲を思うように歌えなかったと今の想いを包み隠さず参拝者の前で話したのも印象的だった。「ボーカリストとして不甲斐ないというか、悔しい状態で、ホントに悔しかった」と俯く命に励ましの声が飛ぶ。心残りな命の背中を押したのは参拝者でもあり、龍矢と影丸が背中を押すように鳴らした音だった。メンバーの想いを受け取るように体勢を立て直し、「最高」コールで煽り、禊でおなじみの激しさ炸裂のナンバー「燦然世界」、「復讐は正義」を投下。参拝者へのメッセージが込められた「Promise」は大合唱になり、記念の写真撮影をはさんで、みんなを笑顔にする魔法の求愛ソング「きちゅねのよめいり」。ラストは最新アルバム曲で“ハッピーエンドは君のおかげ”と歌うストレートなポップナンバー「Nighty night!」で締められた。

 無人のステージにはいつものように命の声だけが鳴り響き、ハイヴィジョンには“みんなありがとう 愛してるZ byジグザグ一同”の手書きの文字が映し出されるエンディング。彼らが愛される理由がてんこ盛りの禊であった。

SET LIST

01.Drip
02.Mr. Idiot
03.ニイハオ・ワンタンメン
04.Dazzling Secret
05.生きて
06.Cry Out -victims-
07.Aria
08.Sha. La. La
09.スマイル★かわいいねん
10.最高だZ
11.Stay with me
12.どんぐり
13.おっかちゃん
14.帰りたいけど帰れない
15.Requiem
16.愛シ貴女狂怪性
17.拙者忍者、猫忍者。〜木天蓼三毛蔵と町娘おりん〜
18.ラスデイ ラバー
19.傷と嘘
20.燦然世界
21.復讐は正義
22.Promise
23.きちゅねのよめいり
24.Nighty night!

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