BIGMAMA COMPLETE
2023年3月3日(金)柏PALOOZA
「全国25ヶ所で149曲をコンプリートするツアーの初日です。どうか決められたルールの中で、全力で楽しんで帰って下さい」
ライブ序盤戦を駆け抜けた後、金井政人(Vo/Gt)が、改めてツアーの開会を宣言する。３月３日(金)柏PALOOZAで華やかに幕を開けた、BIGMAMAの全国ツアー『BIGMAMA COMPLETE』。約２ヶ月かけて全国25ヶ所のライブハウスを周り、これまでリリースした149曲を全曲披露するという前代未聞のこのツアー。ツアーに懸ける想いや覚悟、バンドのモチベーションの高さや状態の良さ、溢れる自信がステージからしっかり伝わって来たこの日のライブは、ツアー初日と思えない完成度とクオリティだったし。こんな言葉を安易に使うのもどうかと思うが、完璧なツアー初日だったと思う。
前代未聞のツアー開催に至る経緯や、そこに込めた彼らの様々な想いや覚悟は、先日公開したインタビューでたっぷり語ってもらった。
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“決意表明の年だった”と語る、2022年。バンドを取り巻く環境が大きく変わる中、「ここからも挑戦し続けること」を高らかに宣言し、生まれ変わるくらいの気持ちでフリーライブや新曲制作に挑んできたBIGMAMA。改めて自身と対峙する中、Bucket Banquet Bis(Dr)の提案から、コンプリートツアーが実現。約１年半前、Bis加入直後に行ったツアーと比べると、バンドの意識も大きく変化していれば、収容制限ナシ、マスク着用ながら声出しOKと、ライブ環境も大きく変わる中で迎えたツアー初日。フロアを埋め尽くす観客の期待や待望感で、笑顔と熱気に溢れた会場の雰囲気が、コロナ前のライブハウスを思い出させて嬉しくなる。
開演時間となりSEが流れ、超満員の観客の湧き上がる歓声と大きな拍手に迎えられて５人がステージに登場。一瞬の静寂から、金井の歌声で１曲目「the cookie crumbles」が始まると、フロアから歓喜の声が上がる。気合い十分の歌と演奏に、観客が手拍子や歌声を合わせ、会場に生まれる強固な一体感。再会した瞬間に気持ちが燃え上がる恋人同士のようなこの関係性は、まさに相思相愛。こうして再び、ライブでひとつになれる瞬間を、双方ともに長く待ち望んでいたのだ。「POPCORN STAR」、「ILLUSION」と勢いある曲が続き、心を大開放して盛り上がるフロア。その光景に嬉しそうな表情を見せる５人の歌や演奏に、危うさや緊張感は一切ナシ！感情豊かなボーカルと美しくスケール感ある演奏で魅せた「Paper-craft」で序盤戦を駆け抜けた時、僕はその自信に満ちた堂々たるステージに、「このツアーは絶対に良いツアーになる」と早くも確信していた。
金井のツアー開会宣言から力強く始まったのは、インタビューで柿沼広也(Gt/Vo)が、「演奏するのが楽しみな曲」にあげていた、「alongside」。Bisと安井英人(Ba)のタイトで重厚なリズム隊、金井と柿沼のギターと東出真緒(Vn/Key/Cho)の美しいヴァイオリンのアンサンブル、金井の伸びやかな歌声とメンバーのパワフルなコーラス。BIGMAMAのバンドとしての強さを存分に発揮した、痛快かつエモーショナルな楽曲に大きな拍手と歓声が起きると、間髪入れずに始まった「look at me」の歌い出しに歓喜の声が上がる。さらに「A Chocolate Ghost」、「ワンダーラスト」、「Today」と続き、レア曲や初期楽曲も織り交ぜた前半戦。一曲一曲が強い個性を放ち、否応なく気持ちを高ぶらせる楽曲たちは、熱心なファンを大喜びさせるのはもちろん、最近ファンになった人も置いてけぼりにしない。
金井 政人(Vo/Gt)
柿沼 広也(Gt/Vo)
安井 英人(Ba)
東出 真緒(Vn/Key/Cho)
Bucket Banquet Bis(Dr)
MCではフロアの歓声に、「最高だね、みんなの声が。でも、誰よりも一番、声を待ってた男がいるんで」という柿沼の振りに、加入後、初めて声出しOKのライブに臨んだBisが、「こうしてみんなの声が聞ける日が、超待ち遠しかったです。ありがとう！」と興奮気味に語り、温かい拍手を受ける。ライブ中盤はシティポップ調の「Why You Refrigerate Me？」が会場の空気を変え、「ヒーローインタビュー」でしっかり聴かせると、「ダイヤモンドリング」で美しく壮大な楽曲世界を描く。高い演奏スキルを持つ、個々のプレイがぶつかり合って火花を散らした、「アリギリス」のヒリヒリした演奏には大興奮。全曲ライブならではの選曲や魅せ方の面白さに感心していると、ライブは早くも後半戦へ。
「ファビュラ・フィビュラ」の雄叫びに会場中が声を合わせて一体感を生むと、スリリングな「Donuts killed Bradford」、高らかに愛を歌う「愛はハリネズミのように」と続き、「あなたの心が晴れますように、あなたの迷いが晴れますように」と言葉を届け、「CRYSTAL CLEAR」を披露。＜一点の曇りなし＞の力強いフレーズはクリアな視界で迷いなく前へと突き進む、現在のBIGMAMAを表してるようだったし。堂々とした金井のボーカルはたくましく勇ましく、ここからの躍進も大いに期待させた。
「ここにいる一人ひとりのあなたに、希望の光を」と金井が告げ、優しく温かい光を放った「セントライト」、Bisのけたたましいドラムで始まった「Dowsing For The Future」と、明日への希望溢れる楽曲が続くと、ライブは終盤戦へ。BIGMAMAが伝家の宝刀であるロックラシックの剣を抜き、激しく美しい渾身の歌と演奏で魅了した「Cinderella～計算高いシンデレラ～」、「Swan Song」で、この日のクライマックスを生む。しかし、これで大団円で終わらないところがこのツアーのすごいところ。「ラスト、新曲です！」と沸き立つフロアに投入したのは、まだライブでしか聴くことの出来ない最新曲「虎視眈々と」。現在のバンドのモチベーションの高さや状態の良さがよく分かる、激しく勢いあるロックチューンに、沸点超えの盛り上がりを見せるフロア。生まれ変わるくらいの気持ちでツアーに挑み、いまの技術やセンスをもって過去楽曲を生まれ変わらせて。ラストはBIGMAMAの最新型が見えるリリース前の新曲で、この日一番の盛り上がりを生んでフィニッシュ！ これがツアー初日だっていうんだから、僕が“完璧なツアー初日”と言ったのも決して、大げさではないだろう。
ライブ中に何度も笑みがこぼれたメンバーとは裏腹に、冷静さを保ち続けていた金井が終演後、フロアの鳴り止まない拍手と大歓声を浴びて顔を緩める。金井の「行ってきます！」の挨拶に、「行ってらっしゃい！」と温かい声が上がり、ツアー初日が幕を閉じる。メンバーがステージから去った後も、いつまでも鳴り止まない拍手と歓声がこの日の素晴らしさを物語っていたし、このツアーが間違いなく良いものになることを予感させたし。一度ライブを見た人は、絶対に別会場の別メニューも見たくなり、もう一度、いや二度三度と通いたくなるツアーだと思った。それは実際、僕自身が「このツアー、あと何本見れるだろう？」と、改めてツアースケジュールを確認したのだから間違いない(笑)。BIGMAMAがとんでもないライブをやってることをお伝えするため、このレポではあえて全曲、曲名を上げましたが。「こんだけネタバレしても、絶対に楽しめるツアーだから大丈夫！」と、最後にお伝えしておきます。
SET LIST
01. the cookie crumbles
02. POPCORN STAR
03. ILLUSION
04. Paper-craft
05. alongside
06. look at me
07. A Chocolate Ghost
08. ワンダーラスト
09. Today
10. Why You Refrigerate Me？
11. ヒーローインタビュー
12. ダイヤモンドリング
13. アリギリス
14. ファビュラ・フィビュラ
15. Donuts killed Bradford
16. 愛はハリネズミのように
17. CRYSTAL CLEAR
18. セントライト
19. Dowsing For The Future
20. Cinderella～計算高いシンデレラ～
21. Swan Song
22. 虎視眈々と
