
“よりキャッチーに、よりマニアックに”ということは少し考えました(フクスケ)
──事務所の方から声があがったということは、メトロノームがスタッフにも愛されていたことが伝わってきます。さらに、ただ単に再起動するのではなく、メジャー・デビューも決まりました。
シャラクメジャー・デビューは、ビックリしましたね。自分はメジャーに憧れがある世代なので嬉しかったし、もちろん親とかにも言いました(笑)。もう安心していいぞと(笑)。
フクスケキング・レコードさんというと、本当に大手のレコード会社じゃないですか。そこから音源を出せるということで、心強かったですね。
リウ最初に活動していた頃は、そういう話が出ては消え、出ては消え…だったので、そこで決まったのは嬉しいと同時に、ちょっと不思議な感じがしました。あとは、メジャーにいくことで、メトロノームが復活したことが多くの人に伝わりやすくていいなと思いましたね。その後いろんなバンドが復活するのを見ましたけど、タイミング的にもよかったのかなと思う。いろんなバンドが復活して、復活ブームみたいな状況になる前に復活できたので。
──その辺りからも、メトロノームは持っていることを感じます。メジャー・フィールドに移ったことで、意識面などで変わったことはありましたか?
フクスケキング・レコードさんは縛りとかは基本的になくて、自由にやらせてもらえたんです。とはいえ、もちろん自分達はそれぞれがメジャーということを考えながら曲を作ったとは思いますけど。できないことをやろうということはなかったけど、“よりキャッチーに、よりマニアックに”ということは少し考えましたね。
シャラクメトロノームがメジャーということで、僕はちゃんとメジャー・バンドとして癖をどんどん消したほうがいいなと思って、歌い方とかも気にするようになりました。その結果、癖を消した歌い方と、癖のある歌い方の両方ができるようになったというのはありますね。
リウ僕だけじゃないのかもしれないけど、年齢が一緒だからか、キング・レコードのディレクターとよく話すようになったんです。別件で打ち合わせをすることも多かったし。そこで、いろいろアドバイスとかをもらったりしたけど、僕の場合はメトロノームがメジャーになったからということよりも、活動休止している間に有頂天のケラ(Vo)さんとかとご一緒する機会があったことが、いい経験になったのかなという気がしますね。言ってしまえば、僕はそういうジャンルを知らなかったわけですから。それを、ケラさんという偉大な人と一緒に音楽をすることになって、レコーディングとかもして、思考とかを学ぶことができた。それを、そのまま自分も使ったわけではないけど、経験できたのがよかったなと思います。
やっぱりコロナは大きかったなと思いますね。やっと歌に対して向き合うという(笑)。(シャラク)
──メジャーに移ってもメトロノームの持ち味は継承されていて、ファンの方は嬉しかったと思います。では、メトロノームの活動を振り返った時に強く印象に残っていることなどを、あげるとしたら?
フクスケすごく印象に残っているのは、コロナ禍で無観客ライブをした時のことですね。川崎CLUB CITTA’でクリスマス・ライブをして、無観客の配信ライブだったので、客席にクリスマス・ツリーを並べたんです。お客さんがいないからこそできるアイディアを絞り出した…みたいな。そういう経験をできたのは、すごくよかったなと思いますね。配信ライブはテレビだったり、ケータイだったりで観るわけですけど、その画面だけを観ていると、どの会場でも大して変わらなく感じてしまうんですよね。どれだけ大きな会場でも、逆に小さい会場でも、そんなに変わらなく見えてしまう。それを、いかにスケールを大きく見せるかということを考えて、客席にクリスマス・ツリーを沢山置くことにしたんです。それは、その時にメトロノームがあったからこそ、できたことだと思うんですよ。自分はソロとかもやっていますけど、ソロではそういう規模のことはできないから。
シャラクフクスケの話を聞くと、やっぱりコロナは大きかったなと思いますね。配信ライブというのは、今まで経験したことがなかったんです。DVDシューティングとかでライブにカメラが入ることはたまにあるけど、それが毎回みたいな感じで、なおかつ2週間映像が残るという。ライブというのは“今晩、この瞬間が楽しければいいじゃん”みたいな感じだったけど、お客さんに低いテンションで、じっくり観られるのか…というのがあって、それに耐えられるクオリティーじゃないとダメだなと思って。そこで、やっと歌に対して向き合うという(笑)。ある程度聴けるような歌を歌えるようになりたいなと思いました。そのために、なにしたというわけじゃないんですけど(笑)。
──シャラクさん……(笑)。無観客の配信ライブはMCがツラいというアーティストが続出しましたが、その辺りはいかがでしたか?
シャラク自分は、それほど気にならなかったです。僕はMCも話しかけるというよりは、独りごとを言っているので(笑)。相手の見えないラジオをやっているような感覚でMCをしているんです。だから、セッションとかで、会話形式になるほうが苦手です。なので、MCがキツいなというのは、なかったですね。ライブ自体も僕は普段からPAさんとか、客席のちょっと上のほうを見ながらやっているので、無観客はやりづらいというのもなかったですし。反応がない寂しさみたいなものは、もちろんありましたけど。逆に、お客さんの反応が返ってこないから、スタッフが笑っているかなというのが気になって、イヤモニを外したりはしましたね。
リウメトロノームの活動を振り返ってみると、復活してから最初にMVになった3曲は自分が書いているんです。曲を選んだのはキング・レコードのディレクターを含めたみんなですけど、こういうジャンルを1つ見せたいなという思いがあって、それを3曲で提示できたのはよかったかなと思う。復活した時はそこからどれだけ続くか分からなかったから、特にスタートダッシュ的なところは他と違うものを出したいと思っていたんです。オリジナリティーがあって、なおかつちょっと前衛的なものを提示したかった。それを、うまく形にできたことは印象に残っていますね。
ソロと並行して活動していると、バンドの自分の立ち位置がより明確に見えてくる(フクスケ)
──7年間のブランクをものともせず、活動を再開すると同時に最適解を見つけたのはさすがの一言です。続けて、ここ最近の皆さんのミュージシャンとしてのモードなども教えていただきたいです。
フクスケ僕はメトロノームと並行してソロとかもずっとやっていて、やっぱりそっちのほうが自分を出せるんですよね。そういう形で活動していると、バンドのほうの自分の立ち位置がより明確に見えてくる。今まではバンドの内側からの目線だったけど、外から見た客観的な視線というのがあって、そうすると僕は別にテクニック重視で難しいことが弾けるわけじゃないので、“いかに変な音を鳴らすか?”といったことをどんどん考えるようになってきています。普通のところは普通な音でいって、いけるところはトリッキーにいくという両極端になれるといいなと。特に、ライブの時に、そういうふうに鳴らせたらいいなと思って取り組んでいますね。
──ソロを始めたり、複数のプロジェクトを並走させるなどで、バンドで自分が果たすべき役割が見えたというアーティストは多いです。
フクスケそう思います。僕の場合はさっき話したように、最近はそれぞれが自分で責任を持って曲を作っているので、人の曲を演奏する時は普通な音でいって、楽曲に変な影響を与えないようになりましたね。まあ、大人になったというのも、あると思いますが(笑)。それに、生のアンプを鳴らしてギターを弾くというのは、もうどんどんしなくなってきています。ラインで、いい音を出すという。
──そのほうが、メトロノームには合うような気もします。
フクスケそう。そもそも1番最初の頃……メトロノームを始めた時か、前のバンドの時かは忘れましたけど、僕は30年前にラインでギターを鳴らそうとしていたんです。
──えっ!本当ですか?
フクスケはい。だけど、信じられないくらい、音が悪かったんです(笑)。そこで、さっきシャラクも言ったように周りのバンドを見て、これじゃいかんと思った。こういうふうにしたほうがお客さんが増えるんじゃないかということを考えた時に、やっぱりバンド・サウンドにしないとお客さんは増えないだろうと思って、アンプで鳴らすようにしました。その後1度メトロノームを止めて、そこから復活して1週した現代ではラインでもいい音を出せるようになったという。長く続けていると、こういうこともあるんだなと思いますね。
シャラク僕もメトロノームとプライベートなものは、完全に切り分けている感じですね。“メトロノームで、なにかを作りましょう”みたいな雰囲気になった時に、必要なものを一気に吸収するというか。とはいっても、人から見ると“同じじゃん”となるかもしれませんけど。
──自身の中で明確な違いがあることは、よりメトロノームの純度を高めることにつながっていると思います。では、シンガーとして、こういう歌い手になっていきたいという思いはありますか?
シャラクメトロノームとかは関係なく、“1シンガーとして”という言葉が言えるようになりたいです。ボーカリストというより、シンガーみたいな存在になりたい。いろんな先輩方とか、好きなアーティストとかも50代、60代になって、本当にギターと歌だけで成立させているのを見て、いいなと思いますね。
──以前お話をうかがった時に、今後はビブラートをかけたり、よりエモーショナルな歌唱だったりを出していこうと思っているとおっしゃっていました。その辺りは、いかがでしょう?
シャラクその話をしたのが、3~4年前じゃないですか。その後かなり勉強とかをして、そういう歌唱もするようになりました。“尖った歌い方=カッコいい”というのも勿論ありますが、それ以外もできるといいなと思うんです。まだ、全然勉強途中ではありますが。
年々いろんなところでベースを弾く機会があって、本当に楽しくて、刺激を受ける日々を送っています(リウ)
──リウさんのモードはいかがでしょうか?
リウ僕は年々いろんなところでベースを弾く機会があって、本当に楽しくて、刺激を受ける日々を送っています。先輩の現場も多くて、最近ではKiyoshi(Gt / hide with Spread Beaver、MADBEAVERS、Lucy、machine等)さんとか、今井さん(寿 Gt&Vo / BUCK∞TICK、Lucy)もそうですし、CASCADEのMASASHI(Vo)さんとか。あとは年下ですけど、逹瑯(Vo / MUCC)くんとかも一緒にいてすごく刺激的で、そういうことにワクワクしながら音楽をやりたいというモードになっています。もう楽器を始めた時くらい純粋に、楽しくベースを弾くことができている。逆に、バンドとか、サポートとかは考えていないかもしれないですね。ただただ、楽しく弾いています。いろんなところで弾くといろんな評価も聞けるし、最近は5弦ベースも買ったりして、今はすごく充実感がありますね。
3本で完成ということではなく、1本ずつ完成というライブにしたい(フクスケ)
──皆さん長いキャリアを持たれていながら、今なお音楽に対する情熱が薄れていないのは本当に素晴らしいことです。今後のメトロノームの動きとしましては、9月から10月にかけて<メトロノーム 再起動&メジャーデビュー10周年記念クアトロ東名阪ツアー 「1/∞ -繰り返される0の扉-」>が開催されます。
フクスケ再起動してから10周年ということで、この10年間の集大成を見せられるといいなと思いますね。ただ、3ヵ所あるじゃないですか。僕らは3ヵ所あると3ヵ所全部同じ内容でまわるということが、まずないんです。同じライブをするというアプローチもあると思いますが、僕らのライブバンド的なところも出していけたらすごく嬉しいので、3本が3本とも見逃せないようなライブにしたいと思うんですよね。今回のツアーも3本で完成ということではなく、1本ずつ完成というライブにしたい。きっとこの年代になったことで、それができるんじゃないかなと思うんですよ。そういうツアーになるように、がんばります。それに、9月のツアーに向けて新しい音源を作りたいなと思っているので、それも楽しみにしていてほしいです。
シャラク最近は後輩というか、年下の人と接して、先輩と呼ばれることが多くなっているんです。なので、今度のツアーではちゃんとキャリアを踏んできたバンドという感じを見せられたらいいなと思いますね。そこに関しては、僕の中ではまだちょっと不安なところがあるんです(笑)。3ヵ所をまわった後に自分が納得できるようなツアーにしたいなと思っています。
リウまだ、“なにが”ということは思いつきませんが、新しいことはやりたいなと思っています。と同時に、集大成じゃないけど、ここまでの10年を完結させるような何かも見せたいですね。相反するものがあるから面白くなる気がするので、そういう気持ちで臨んでいきたい。ずっと記憶に残るようなライブを各地でできると思うので、期待していてください。
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