ヒグチアイの最新リリース「雨が満ちれば」
岸本昨日新曲が出たじゃないですか(※この取材は1月16日に行われた)。めちゃかっこよくて。メロディとか、一回聴いたら覚えられるくらい印象的で、アレンジもすごく、打楽器の感じが……。
井上うん、あれがおもしろかった。普通にストレートにいけるのに、あえてああいう、ちょっとハネていて──。
岸本人が叩いてるのか、サンプリングなのか、打ち込みなのかわからない感じで。
ヒグチありがとうございます。でも、これはずっと言いたかったんですけど、foxと一緒にやらせてもらった2曲、自分のライブでは私が弾かなきゃいけないじゃないですか。めちゃくちゃ耳コピしたんですよ、ピアノを。「なんでこんな行き方するの?」「どうしたらこれが浮かぶの?」とか思いながら、ずっと反復反復で練習してたんです。そうしたら、すごくピアノのことを考えるようになって。2024年は、ピアノをもうちょっと自分の中で、豊かにしてもいいんじゃないか、って思えたのは、ご一緒させてもらったからだったんですよね。
岸本へえ!
ヒグチもともとずっとクラシックをやっていて、ある時から「ピアノはもういいや、歌をちゃんと歌えればいいや」って思ってたけど、そうじゃなくて、もう一回立ち返ろうと思えたんです。そこからピアノについてもいろいろ考えるようになった先の曲が、この「雨が満ちれば」なので。聴いてもらえてほんとによかったです。
岸本そうなんですね。間奏のピアノの拍の不思議な感じもよかったし、ピアノがメイン楽器的に前に出ていて、今までのヒグチさんの楽曲になかった感じで──。
ヒグチいただきました。
岸本(親指で「Good!」のサイン)
井上(笑)。
fox capture plan最新アルバム『DEEPER』について
──ヒグチさんは、foxのニューアルバム『DEEPER』は聴きました?
ヒグチ聴きました! めっちゃかっこよかったです。まず「Tokyo」がすごく好きでした。あと「Vortex」がすごいなと思ったのと、「Step’n」のピアノって、どうやったらこんな行き方になるんだろうな、っていうのが、何回聴いてもわからなかったので。それもすごく楽しかったです。
岸本「Step’n」はレコーディングしたのがけっこう前なんで、あんまり憶えてなくて。しかも、譜面も今捜索中で、見つからないので、ライブに向けてがんばって耳コピしようかなと。
ヒグチ(笑)えー! 大変すぎる。譜面、なくしちゃったんですか?
岸本はい。データがあると思うんですけど、どこにあるのかわからなくて。
ヒグチ『DEEPER』を聴いて、なんだか、やりたいことがいっぱいあるんだろうな、って思って。
岸本・井上(笑)。
ヒグチ私、自分がやりたいことが、どんどんなくなっていっちゃうというか。ひとつやったら、それは終わっちゃうから。うらやましいな、と言ったら言い方があれだけど、『DEEPER』を聴いていて、まだまだ自分もやりたいことがあるかもしれない、って思いました。
岸本アルバムを出す度に、新しい要素は入れていこうと。今までやってない曲調とか。その方が、自分たちのモチベーションが上がるので。
井上自分たちが、新しいことをやったとか、これまでと変わったと思っていても、意外とリスナー側は、そんなに変わったとは思っていないですもんね。「Vortex」ぐらい振り切れたものをやって、やっと──。
岸本そう、やりすぎぐらい、やらないと。
ヒグチあれはほんとにびっくりしました。