──お二人は、いつ頃からの知り合いなのでしょう?
千聖最初に会ったのは、いつだったかな?あまり記憶がないな、細かいことは。
KAMIJO僕はPENICILLINさんのライブにカメラマンさんと何回か観させていただいたことがあります。あと、メンバーさんが通われていた大学が僕の地元の近くにあるので、勝手に親近感を湧かせていただいていました。そんなふうに、千聖さんはずっと一方的に見させていただいていた先輩です。
千聖でも、何回か一緒に対バンしたことがあるよね。この前のWOW WOWもそうだったし。
KAMIJOはい、WOW WOWのイベントのときにPENICILLINさんと対バンさせていただきました。千聖さんはCrack6とPENICILLINをやられているじゃないですか。それぞれで活動されるときの千聖さんの心の中のバランスといいますか、モチベーションだったりが僕は常に気になっているんです。僕もVersaillesというバンドとKAMIJOとしてのソロ活動を常にやっているので、その辺りを知りたいんですよね。
千聖そうなんだ。俺がソロを始めたのは特殊で、まずCrack6の前に千聖という名義があるんだけど、PENICILLINがデビューしたのが'96年の3月なんだよね。で、俺が徳間ジャパンからソロ・デビューしたのが、同じ年の9月だったんだ。
KAMIJOえっ、そうなんですか?
千聖うん、デビューから半年後。だから、賛否両論で、ソロ活動をする意味がわからないということを相当、当時マスコミとかファンの人に言われたりもしていた。まだPENICILLINが浸透していない時期にソロを始めるというのは、どういうこと?ってね。当時の普通はバンドが解散してからソロを始めたりすることが多かったから、セオリーがめちゃくちゃというか(笑)。で、そもそも歌い手だった人がソロをやるなら、まだわかるよ。PENICILLINの前にそういう歌手活動をしていて、PENICILLINと並行してまたやりますということならわかる。そうじゃなくて、自分が知らないところでいろいろ話が決まっていて、「歌ってください」とレコード会社の人とかみんなに言われて、仕方なく歌ってみたという(笑)。
KAMIJOそういう流れだったんですね。
千聖そう。自分個人の音楽の歴史としては、高校1年生くらいからどんどんハードになっていったんだ。中学の頃とかはUSポップスとか、UKポップス……わかりやすくいえば、デュラン・デュランとかカルチャークラブ、プリンスとかが大好きだった。だから、ソロでは元々の自分のルーツに近いところをやることにした。それに、ちょっとハードな要素を混ぜて…という感じのもの。ギターのスタイルが、そっちだったからね。それに、ライブではキーボードとかコーラスの人とかも入れて大所帯にしたし、衣裳もあえてスポーティーにしたりした。そうやってPENICILLINとソロは完全にスタイルを差別化していたから、バランスを取ることができたというのはあったね。KAMIJO君は、その辺りはどうなの?
KAMIJO僕はソロを始めたときというのはVersaillesが2012年に活動休止しまして。僕はVersaillesの前にLAREINEというバンドをやっていて、これ以上肩書きがあってもしょうがないかなと思いまして、だったらKAMIJOという名前で活動しようかなと思ったんです。だから、ソロを始めたのは肩書きからでしたね。
千聖ソロは、何年から始めたんだっけ?
KAMIJO2013年です。なので、今年で10周年になります。2013年からソロを主軸に活動していて、Versaillesが復活したときもメンバーのほうからやろうよという話があって、武道館をやる覚悟があるならいいよという話をして、みんなでがんばって武道館を実現させたんです。そういう流れでソロとVersaillesを並行してやるようになって、自然と差別化はできてきたなというのはありますね。ソロでは僕がイメージするとおりのものを出していて、だからこそVersaillesではVersaillesに求められるものに全力投球できる。そんなふうに、自分の中ではバランスが取れています。
千聖俺がバンドとソロを並行していることに関しては誰もがわかる簡単な物理的な話をすると、ソロではボーカルだけどPENICILLINではギタリストなんだよね。パートが違うというのは相当変わる。もちろん曲作りの段階までは一緒だけどね、PENICILLINもデモは全部自分で歌うから。デモの段階までは一緒だけど、そこから先の行程が変わってくる。歌詞も書かないといけないし、歌を歌わないといけない。だから、PENICILLINとソロは物理的に違うというのがあるんだ。で、Crack6は「千聖」と違って、もっとミニマムに最小人数で音楽活動をするという目的のもとに立ち上げた。そういう意味ではPENICILLINに近いところがあるけど、Crack6でも歌っているからやっぱり全然違う。だから、自分の中ではしっかり棲み分けができているというのはあるね。
──お二人ともにバンドとソロの両方に同等の熱意を注がれていることは本当にリスペクトします。最近のそれぞれの活動なども話していただけますか。
千聖PENICILLINは昨年結成30周年を迎えて、今年の2月からもう31周年になったんだけど、4月までアニバーサリー・ツアーをしてた(笑)。30周年が終わる2月14日の手前の2月1日に『30 -thirty- Universe』というベスト盤を、ギリギリセーフで出した(笑)。要は、コロナで30周年が全然思うように動けなかったから、最終的にここからツアーをまわらないと…いうのがあった。コロナで全然地方に行っていなかったからそのリベンジも兼ねて色々行ったよ。10年ぶりに行くところとかも結構あって、いい光景が沢山見れた。コロナが起こってからいろいろドタバタしていて音楽業界も大変だったけど、やっとなんとなく雰囲気がよくなってきたなということを感じたツアーだった。あと、今年は6月6日(火)に、『カナリア最終楽章:CODA 』というCrack6の新しいアルバムがリリース。っていうかフルアルバムは7年ぶり(苦笑)
今回、コンセプトアルバムだから、ストーリー性があるんでぜひ聴いてもらいたいな。
今回、コンセプトアルバムだから、ストーリー性があるんでぜひ聴いてもらいたいな。
KAMIJO僕は、まずVersaillesは5月13日からツアーが始まるんですけど、ドラムのYUKIがジストニアを患っていて年内でドラマーとしての活動をお休みすることになってしまったというのがありまして。なので、バンドとして今前に進むべきかということをメンバーですごく話し合ったんですけど、コロナ禍の中でファンの皆さんがいろんな形ですごく応援してくださいましたし、Versaillesが15周年を迎えて皆さんから受けた愛情をお返しするためにもやはり前進すべきだろうということになりました。前進するというのは新しく曲を作って、今やりたいことを示すことだと思うんですね。未来は変わらないかもしれないけれどあるけれども、今できる精一杯のことをやっていくということに自分達を奮い立たせて、5月のツアーに臨みたいと思っています。
──前進している姿を見せることで、ファンの皆さんは1番安心されると思います。
KAMIJO僕達も、そう信じています。最近はアニバーサリーのときしか活動ができていなかったので、新しいVersaillesを見せようということで11年ぶりにシングル「VOGUE」をリリースすることになったんです。どれだけ出していないんだという話ですが(笑)。なので、シングルにも期待していていただきたいです。