2018年結成の男女6人組ハイブリッドロックバンド、AliAが1stフルアルバム『Me』を完成させた。2020年のコロナ禍で国内ツアー、アジアツアーともに中止となるも、情勢を見定めながら工夫を凝らしたオンラインライブや観客動員のライブを開催してきた。ジャンルにとらわれない華々しいサウンドメイクだけでなく、2021年12月にはLINE CUBE SHIBUYAにてチケット代100円のライブを行うなど、規格外の活動も注目を集めている6人。いったいどんなマインドでアルバムを制作したのだろうか。2022年2月から開始される5大都市Zeppツアー「AliAliVe 2022 -Me-」を控えるメンバーたちにインタビューを行った。
──AliAは12月5日にLINE CUBE SHIBUYAにて「-Me- release special 100円LIVE」を開催しました。終演後にサイン入りポストカードを配布したり、SNSにライブ写真を使ったセットリスト画像を作るなど、ステージ以外にも様々な工夫でライブを盛り上げているみなさんですが、この太っ腹っぷりにはかなり驚いて。
EREN（Gt）あははは、ありがとうございます。言い出しっぺはSEIYAくんなんですよ。
SEIYA（Ba）10月に今回のアルバムが完成して、2022年の2月からそのリリースツアーがスタートするので、そのちょうど真ん中の時期にライブやイベントが打てたらなといろんな人に相談したんです。9月に野外イベントに出させていただいた時、僕ら6人も大きいステージや野外でのライブに手ごたえを感じたし、自分たちの目指したい景色がしっかり定まったんですよね。それで野外ライブの提案をしたら、LINE CUBEが決まってました（笑）。
ERENもっともっとAliAの音楽を世の中に投げかけていきたいので、Zeppツアーに来てもらうためにも一度大きなライブを打ちたくて。フリーライブをやっている人はたくさんいるので、引っ掛かりを作るための「100円ライブ」ですね。
SEIYA「100円ワンコインライブ」って、意味わからなくてポップでキャッチーだなって。ご時世的にチケットをネット決済せざるを得なかったんですけど、本当は来ていただいた人に会場入口で座席番号が入ってるガチャを100円で引いてもらったりしたかったです（笑）。ライブステージだけでなく、入口から楽しんでもらえる空間作りは今後もしていきたいですね。
──当日は12月22日リリースの1stフルアルバム『Me』の楽曲も多数演奏し、8人のストリングス隊を招いたそうですね。
RINA（Vn）小さい頃からずっとクラシックをやっていたので、いつかAliAでもストリングスやオーケストラと一緒にライブがしたいと思っていたんです。でもまさかこんなに早く実現するとは思っていなくて（笑）。わたしの音大時代の友人や先輩をお招きして、6人だけではできない壮大な音をお客さんの前で披露することができました。自分のやりたいことや課題もいろいろ浮かんできて、これからもっとグレードアップしていきたいなと強く思いましたね。AliAの可能性を感じました。
AYAME（Vo）『Me』には難しい曲が多いし、世界観も曲ごとに違うので、ライブでどういう切り替えをしていったらいいんだろう？ と整理をつけていくのに時間が掛かって。今までの楽曲も交えたセットリストを組んだので、新旧のバランスをどう取るべきなのか、お客さんがどんなふうに感じてくれるのか……そういうことをすごく考えました。実際にLINE CUBEのステージに立って、今わたしたちが作った世界観はちゃんと出し切れるし伝えられるなと自信がつきましたね。やりたかったことをちゃんと実現できたライブでした。
TKT（Key）広いところで演奏することをイメージして曲作りをしているので、LINE CUBEのステージに立って、やっぱりAliAの音楽は大きな会場が似合うなと感じました。楽しかったですね。
SEIYAバンドとしてかなり若々しい状態でLINE CUBEのステージに立ったので、やっぱりたくさん課題は見つかったんです。でも今後の糧になるので、今あの場所に立てて良かったなと思っています。ライブハウスで勢いよくライブをするだけではなく、もっと丁寧にダイナミックな演奏ができるようにもなりたいし。お客さんにAliAのやりたいことをわかりやすく伝えられる場所にもなったと思っていますね。
──今作『Me』は、いまおっしゃっていただいたマインドが込められた作品になっているのではないでしょうか。今まで以上に幅広いアプローチが見えるアルバムだと感じました。
BOB（Dr）そうですね。これまでにあんまり自分がやってこなかったプレイスタイルやアプローチを取り入れています。
SEIYA僕らにも届けたい気持ちや音楽がたくさんあるので、それを洗練させて不特定多数の人に届けるためにどうすればいいんだろう？ と向き合いましたね。そのうえでチーム内の意思疎通はすごく重要だと思ったんです。
EREN僕らは目指している音楽がはっきりしているので、それを表現しきれていないだけだと思っているんです。だからそのために表現力や精神面を磨いたり体力づくりをしたり、AliAでやりたいことを実現するために力を注ぎましたね。人とのつながりや心の動きを歌っているバンドなので、特にコミュニケーションは大事にしました。「Me」みたいな曲は、それがなければ作れなかったと思うんです。
AliA「Me」Music Video
──と言いますと？
ERENコロナ禍のように思うように動けない、どうしたらいいのかわからない世の中になった時、AliAは一歩先を行く存在でいたいんです。「あのバンドなら信じてもいいかも」と思ってもらったり、「自分も動き出してみよう」と一念発起するきっかけを作ったり、そうやって生きていけたら素敵だなと思ったんですよね。コロナ禍で大変なことは多かったけど、コロナ禍があったからわかったこと、今のAliAがあることをメンバー全員が実感できていると思います。
──結成からハイスピードで駆け抜けてきたバンドなので、コロナ禍をきっかけにじっくりメンバー間の意思疎通が取れたところも？
EREN最初は急に環境が変わった戸惑いもあったんですけど、そこを乗り越えてあきらかにメンバー間の仲が良くなったんですよ。お互いがどんな人間なのかわかってきたし、意見を言い合える仲になってきて。控えめな性格のAYAMEとRINAにも、意見を言うように頑張ってもらってます（笑）。
SEIYA僕ら6人の結束がしっかりしてないと、今後たくさんの人と意思疎通を取ること、外に届けていくことは難しいと思うんです。音楽以外のことを話してどういう思いで生きているのかを知って、自分の意見を伝えて相手の意見も尊重して――面倒くさくて言いづらいかもしれないけど、そこは疎かにしたくないなって。人間は変化していくものだからこそ、コミュニケーションを取っていくことは大事だと思うんですよね。それが高じて、最近はメンバー全員で週2で走り出すという（笑）。
ERENLINE CUBEのライブを終えたあと、1回5km走ってるんです。そしたらZeppツアーが始まるあたりには100km走ることになるんですよね。運動してこなかった人間だから5km走るのは泣きそうになるほどつらいんですけど（苦笑）、100km走ったら何かが変わるんじゃないかなと思っています。
SEIYAルーツも、憧れてきたものも、年齢も何もかも違うメンバーだから、全員で集まって走ることで、ステージでの結束も増していくんじゃないか、そしたらそのいい空気をお客さんにも伝えられるんじゃないか、人々の心に残る音楽を作れるんじゃないか――そんなふうに思っているんですよね。『Me』は6人の意思疎通が取れたうえで作れたアルバムだと思っています。
RINAコミュニケーションはすごく大事だなと『Me』を作りながらすごく思いました。バイオリンのフレーズもひとりで苦しんで悩みながら考えていたんですけど、ERENくんに「僕がこの曲をどういう思いで作ったのか考えてみて」と言われて、そういうところを大事にしなきゃいけないなと気付かされました。ERENくんの話を聞いたあとに弾いてみるといいフレーズが思いついて。話せばいいだけなんだ！と思いました（笑）。
ERENRINAはぼろぼろ泣きながらレコーディングをして、マスクが涙の跡だらけになってました（笑）。僕は中学2年生みたいなマインドなので、「嫌だと思うこと嫌だと言って何が悪いんだ」という思いで突き進んでるんです。ラクなほうに流されていくことは違うと思う。それに納得してほしくて、心の動きをロジカルに伝えることを心がけているんです。
──それがAliAにとってのコミュニケーションということですね。
ERENバイオリンのフレーズも、僕が考えたフレーズをRINAが弾くテイクと、RINAが思うからこそ出てくるフレーズやテイクでは全然違うと思うんです。だからメンバーみんなが後者のマインドでやろう！という話はよくしましたね。意志疎通ができたあとのテイクは見違えるほど変わるんです。音に心は宿るんだなと思います。メンバーでそれを引き出し合っていきたいんですよね。
