ずっと若手バンドだと思っていたのが、いつのまに頼もしくたくましくなっていた驚きと感動が音の中からあふれ出す。金沢代表・プッシュプルポットの最新ミニアルバム『願いの花束』は、レコーディング前にライブで楽曲をブラッシュアップしていくという、新たな手法で磨き上げた全5曲を収録。リード曲「どうか」を筆頭に、ライブバンドの実力とプライドを詰め込んだ、力強いメッセージソングばかりだ。10月16日からは対バン&ワンマンの2ウェイで届けるリリースツアー『誰よりも近くで』がスタート、さらなる高みを目指して意気上がる4人の最新の声を聞いてみよう。
──プッシュプルポットって、ずっと若手、後輩キャラのイメージがあったんですけどね。そろそろ中堅ぐらいの意識はあるんじゃないですか。
山口大貴(Vo/Gt)いやぁ、結構やってきたけど、先輩たちがまだまだいるじゃないですか。結構バリバリやってる人が、あの年代で中堅とか言ってるから。
山口大貴(Vo/Gt)
──そうですよね。近しいところで言うと、koboreとか。
山口それ聞くと、どっちの気持ちもあるっすね。結構やってきたから、もっともっとしっかりしなきゃいけないなって気持ちもあるし、あの人たちが中堅って言ってるからこそ、常にチャレンジャーの気持ちでいたいなというのもあるし。
堀内一憲(Ba/Cho)気持ちはフレッシュでいたいですよね。ハングリー精神を絶やさずにガツガツ行きたい、という気持ちはあります。
──それは、お客さんに対してもそうですか。イベントとかで、フロアに知らない顔が多いと、聴け!って感じになったりとか。
堀内本当にアウェーだなみたいな感じになると、僕個人は「見せつけるモード」に入るんですね。「これがプッシュプルポットだぞ!」みたいな。ホーム感あるところだと、一体感を欲しがっちゃったりするんですけど、アウェーだったらそういう、カッコつけるじゃないですけど、堂々とするようなスイッチに切り替えるようにはしてます。
山口俺、どっちなんだろうな。俺はホーム感あると逆にガツガツいくタイプで、アウェー感あると「みんなで一緒に」みたいな。あんま良くないんですけど、それが出ちゃうんで、気をつけるようにしてるっす。
明神竜太郎(Dr/Cho)顔色をうかがっちゃうんだよね。
山口で、うかがいすぎたまま終わっちゃうことがあるから。そうならないように、ライブの前に改めて自分に言ったりします。年上の先輩とやる機会が増えて、つい下手(したて)に出ちゃうというか、後輩感出しちゃってたというか。それが変にクセついちゃって、それ良くないなって切り替えてる。安心するとガツガツ行けるから、たぶんほんとにやりたいのはそっちだろうな、と思ってて。

──後輩キャラから頼れる中堅へ。バンドはちょうど端境期(はざかいき)にいるのかもしれない。そんな時期に出る5枚目のミニアルバム『願いの花束』。どんな作品になりましたか。
明神全体としてメッセージ性が強いというか、応援歌ちっくな曲が多いというか、生活する中で抱えたものを鼓舞するような、ぐっち(山口)の人間性が出てる楽曲が集まってて、そこにサウンド面では自分たちが培った全てを乗せて楽曲を転がしていく、そうやってできたミニアルバムかなって思うんで。この5曲に関しては、愛着が湧いてるというか、頑張ったなって思う曲たちですね。
明神やっぱりぐっちの歌に寄り添いたいから、あんまり音符を詰めずに自分は伴奏に徹しようみたいな、ドラムはあくまでメトロノーム的に聞かせるのがいいかなっていう意識もあったりしたんで。入れたいフレーズはがっつり入れ込んで、ビートはみんなの土台になれるように、意識して作ってましたね。お客さんが聴いてくれてる時に、自分が思った通りのポイントで拳を出すとか、スネアの位置で首が動いちゃうみたいなのをやりたいんですよ。それができた時に「俺のおかげで揺れてんな」みたいな、ドヤッてするところがあるんで、それがやりがいというか、ドラムの楽しさですね。
明神竜太郎(Dr/Cho)
明神「悪あがき」です。これが一番大変だったんで。ギリギリまで何もできなくて、でもめっちゃ感情移入というか、歌詞も自分の状況と合ってるし、誰にでもある状況だと思うし、それをうまく言語化できてるなと思って。叩く力も入るし、フレーズに焦燥感を込めたというか、8小節ごとにビート感が変わるんですけど、そういうのもうまく表現できたかなって思います。
明神歌詞に合わせます。ぐっちの熱量に合わせて、「こっちも熱くなってるぜ」って。
──それがプッシュプルポットのリズム隊がかっこいい理由。ギタリストとしてはどうですか。
桑原拓也(Gt/Cho)今のプッシュプルポットの全てを詰め込んだような、良さを全部出せた1枚になりましたね。でも、大変でした。
桑原俺も「悪あがき」。大変だったけど、やりがいがありました。「悪あがき」の前に「未完成」とかを録ったんですけど、今回はプロデューサーさんとかも来て、色々な知識を学んだので。そのあとの「悪あがき」は、はじめてのおつかいみたいに、一人で挑戦してみました。
桑原拓也(Gt/Cho)
明神♪だーれにもないしょで(笑)。でもほんと、ギターはその前の2曲で教わったことの吸収力がすごくて、「悪あがき」ではそれがすごい反映されてるんですよ。
桑原結構急ピッチだったんですけど、楽しかったですね。ここからどう進化していくっていうのが課題というか、みんな見てくれてたらいいなと。
明神そうそう。別の雑誌の取材で「今回のギターはどんな感じでできましたか」みたいなことを聞かれた時に、いの一番に「ニュー拓也が出ましたね」って言ってて(笑)。その答えが面白すぎてすごい笑ったんですよ。
山口でも、ギターは今回一番変わったと思う。俺はそれが嬉しかった。曲を作る上で意図を汲み取ってくれて、楽曲としての立体感が増えたなって思う。今までは、お洒落なコードを使っても、音色はずっと変わらなくて、それは別に間違いではないけれど、「じゃあお洒落なコードじゃなくていいかも」みたいな感じになってたのを、理解してくれるようになったから。
桑原ニュー拓也です。「拓也覚醒」のほうがいいですかね。
──みなさん、ライブではニュー拓也に注目を。ベーシスト的には?
堀内今回は、ライブでやりながら曲を作っていったんで、ライブのイメージをそのまま音源に落とし込めたなっていうのが一番大きくて。レコーディングする時に、ライブを想像した状態でプレーに出せるというか、音も結構変わったような気がするっすね。届ける相手が見えてる状態で作っていってるんで、それがツアーのコンセプトにも繋がっていったりして、「俺たちはライブバンドだよ」っていうのを、今までの音源より伝えられるような作品になったと思います。推し曲は、個人的に言うとやっぱり「悪あがき」なんですけど、もう1曲選べるなら「どうか」ですね。俺たちの新しい名詞みたいな曲だなって思ってて、これからいろんなところに連れてっていってくれたらなと思うし、自分らも行けるように努力しないとなと思うし、「どうか」という名刺を持って、「悪あがき」みたいに活動していく、みたいな感じですね。
堀内一憲(Ba/Cho)
明神締めくくりました。今日のインタビューはこれで終わり(笑)。
堀内「悪あがき」のサビのベースのフレーズが、すごいお気に入りなんですよ。作ってる時にテンション上がりすぎて、エンジニアさんにニコニコで「かっこいいっしょ?」みたいに言っちゃって。だから個人的には「悪あがき」が推しです。
山口これからのプッシュプルポットを引っ張ってくれる5曲だなって思ったし、これからもやり続ける自分たちが見えてるし、それぞれ毛色が違う5曲ができたのが嬉しかったし、音がいいだけでも印象ってめちゃくちゃ変わるから、それが良かったっすね。
――音、すごくいいと思います。クリアで、迫力があって、ライブ感満載で。
──音、すごくいいと思います。クリアで、迫力があって、ライブ感満載で。
山口音が良くなって嬉しかったなって思うし、コードとか、サウンドとかも、新しいことを入れたりしたから、作ってて楽しかったっすね。
──さっき、応援歌ちっくというワードが出たけれど。「どうか」の歌詞って、励ましでもあるし、自分のことでもあったりするじゃないですか。プッシュプルポットのメッセージって、人に歌ってるけど自分に言い聞かせるみたいな、両方を感じるんですね。
山口大体は、自分に対して歌ってることが多いっすね。「悪あがき」は特にそうだし。
明神「悪あがき」は、僕が最初に音源を作ってぐっちに送ったんですよ。「ラストチャンス」っていう仮タイトルで送ったら、その音源じゃなくて「ラストチャンスっていう単語いいね」って。
山口音源に一言も触れずに(笑)。そこで一回作ったんだけど、「ラストチャンス」だとポップっていうか、キャッチーっぽい感じになっちゃったから、「やり直します」ってなって、次の日のスタジオに持って行って、これで作っていこうかみたいな感じになって。
──「悪あがき」のテーマは、幅広い年齢層のリスナーに刺さりますよ。「いつかきっと」でも「今さら無理」でもなくて、「ここでやんなきゃ終わりだろ」って、ものすごい力で背中をどつく曲。
明神学生とかの、ちょっとだらだらした瞬間の子たちとかに刺さるんじゃないかな?って。俺が一番そうだったんで。大学時代なんてだらだらしてばっかりだったし、そういう何もやってない自分への焦りみたいな瞬間にこの曲を聴くと、持ってかれそうになるんで、それがいいなと思ってて。
山口サウンドも、それぞれが成長してきたものが5曲目に出たと思います。変に悩みすぎて、ああだこうだっていうより、それまでの4曲で成長したのが、直感的に出たのかなって思います。プッシュプルポットらしいっていうか。
──リード曲は1曲目「どうか」だけど、5曲目「悪あがき」は隠れリード曲。世代関係なく、現実に不安や不満、焦りを感じている人ほど刺さるかもしれない。
明神そういう1枚になってくれたらいいですね。こっちはそういう願いを込めてるつもりなんで。

──まさに『願いの花束』。そんなミニアルバムを引っ提げてツアーが始まります。「対バン編」が10月16日の千葉LOOKから始まって、「ワンマン編」は2027年1月の大阪、名古屋、東京、ファイナルが地元・金沢。どんな思いを持って臨むのか。
桑原このミニアルバムの曲をやるからには、どの対バンにも負けないようにやりたいと思います。それと同時に、聴いてくれるお客さんにもちゃんと届くようなライブをしたいと思ってます。『誰よりも近くで』っていうタイトルなんで。
堀内対バンで呼ばせてもらったバンドも、このツアータイトルにぴったりな熱量を持ったバンドが多いと思ってて、何かしら、自分がぐっと持ってかれそうになったことのあるバンドばっかりなんで。自分らもそれに負けじと、もっとお客さんの心をつかめるように頑張りたいと思いますし、バンドとしては、ファイナルの金沢EIGHT HALLを今回こそは必ず売り切りたいなっていう気持ちで、それを目指して頑張ろうかなって思ってます。
──EIGHT HALLって、キャパいくつでしたっけ。
山口500です。金沢の500は、東京の2500ですね。換算すると。
山口EIGHT HALLのワンマンを売り切ったら、ホームの金沢vanvanV4でワンマンを解禁できるっていうのを自分たちに課してるんですけど。今回が4回目の挑戦です。4っていう数字は、なんかあるかもしれないっすね。しあわせの4。
山口今回のツアーは、ライブが強いバンドを呼んでるし、そうしたいって思って呼んだから、自分たちが常にチャレンジャーの気持ちで負けじとやっていきたいなって思ってますし、お客さんももちろん感動させたいって思うんですけど、何より自分が自分で感動するライブにしたいなって思います。
明神対バンに出てくれるバンドたちも、今回持っていくミニアルバムの5曲に少なからず共感するものがたくさんあると思うし、たぶんその曲を聴いてライブメイクしてくれると思うんですよ。そうやってお客さんと僕らのために力を貸してくれるバンドがいるわけですから、一緒に戦う気持ちもありますし、こっちも負けじと「俺が心も体も揺らしてやるよ」ぐらいの気持ちでドラムを叩けたらいいなって思いますね。それが目標です。

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