ツアーの延期はイベンターのみなさんからの要望でしたので、僕としては受け入れる以外の選択肢はありませんでした。ただしその時点で、「早い段階で実現できるように手配します」と言っていただき、こうして開催できることになったので、感謝しています。みなさんが力を尽くしてくださった結果なので、ありがたいなと感じています。日程や会場が変更になったことに関しては、お叱りもいただきました。そこは「申し訳ありませんでした」と謝るしかありません。
バンドのメンバーもストリングスチームも優先してスケジュールを調整してくれたので、ありがたいです。
ツアーに向かう意気込みはまったく変わりません。自分が発するパワーもおそらく変わらないと思います。ひとつだけ大きな変更となったのはドラマーが変わったことですね。盟友であるドラマーの菅沼孝三が他界しまして、孝三から娘のSATOKO(FUZZY CONTROLのドラマー)への最後の遺言が「ASKAさんを頼む」というものだったですよ。
そうなんです。そうした経緯もあり、SATOKOがステージに上がることになりました。SATOKOと知り合ったのは彼女が幼稚園の時で、そのSATOKOがドラムというバンドの守護神をやってくれるわけだから、長いことやっていると、悲しいこともありますが、良いこともありますね。「孝三、なんて憎い演出をするんだよ」と思いました。彼女は手数王と呼ばれる孝三のDNAを受け継いでいるので、SATOKOの手数王の瞬間もライブで披露させます。
いくらDNAを受け継いでいるといっても、SATOKOにはSATOKOの持ち味があるので、リハーサルでやりながら、どういう部分を引き出せばいいのかを見ていきます。
「歌いたい」というのは二番目ですね。一番目は「ツアーを延期して申し訳ありません」という気持ちでした。実はコロナでこういう状態にならなかったら、東名阪のアリーナクラスの会場でアコースティックライブをやろうと計画を立てて、動いている最中だったんです。中止になってしまったので、その替わりに、という気持ちもありました。
今回のオンラインライブの主役は「群れ」ですね。あと、「DAYS OF DREAM」はフォービートの良さをアコースティックサウンドの中でうまく出すことができたこともあり、歌詞を伝えようという意識がかなりありました。
実はファルセットはあまりの得意ではなかったんですよ。これまではファルセットの音域までミックスボイスで、トーンと抜けるように歌っていました。そういう歌い方ができることを驚いてくれる人もいましたが、その歌い方を暑苦しく感じる人もいたんですね。この曲に関しては、イメージとしてあそこはファルセットで抜きたいところだったので、やってみたら、なぜか自然にできました(笑)。
いい空気感を出せたなと感じてします。今回はああいう形のオンラインでしたが、大きな会場でも小さな会場でも、変わらずやることができたらいいなあと思っています。今回のツアー中にもホールでのライブが終わった翌日が空いていたら、どこかのライブハウスで、こういう形のアコースティックライブをできないだろうかと検討しているところです。