本作はHelsinki Lambda Clubや渡辺シュンスケ(Schroeder-Headz)などの多彩なアレンジャーを迎えた、全曲“失恋ソング”というコンセプトミニアルバムで、みゆはんに楽曲提供した、代表曲「たばこ」のアンサーソング「恋人失格」のセルフカバーも収録。「別れがテーマだけど、出会いがいっぱいあった」という今作に対する思いに加え、失恋ソングを提げた全国ツアー「HEART BREAK TOUR!!」に向けた意気込みを聞いた。
──新作はコンセプトミニアルバムになってますね。
いつも、どんなものを作りたいかはあんまり考えていなくて。今回も出てきたものを見て決めたいなと思ってたんですけど、それが失恋ソングばかりで。それなら全部、失恋のほうが面白そうと思って、そのままのテンションで作っていった感じでした。
──世の中的にはコレサワ=失恋ソングという印象が強いんですかね。
失恋ソングというよりも、「たばこ」を歌ってる人っていうイメージなんだと思います。自分としては、等身大の女の子の気持ちを歌ってるって思われたいし、このミニアルバムをきっかけに、失恋というものをちゃんと歌ってる人だって受け取ってもらえたらいいなと。それも、今回のテーマで描こうと思ったきっかけでした。
──「たばこ」のMVは3000万再生を超えてますから。
そうですよね。「たばこ」が広まったのも、みんながセンチメンタルな気持ちを探しているからなのかもしれない。実際の恋愛でセンチメンタルな気持ちになってる人もいるし、意外とそういう気持ちに出会ってない人もいたりする。音楽で切なくなるのは気持ちがいいし、だから、みんな失恋ソングが好きなのかな?って考えたりもしましたね。
──ご自身の中から失恋ソングが出てきたことに関してはどう感じました?
こんなに別れっていろんな種類があるんだって思いましたし、1つの事柄を書くのは楽しいなっていう気持ちでしたね。よく出てきたなって思います(笑)
──(笑)失恋がテーマだからといっても、バラード集にはなってないんですよね。
そうですね。別れる、フラれるってなると、みんなどうしても感傷的なイメージだと思うんですけど、別れには、自分がふる場合もあるし、別れてすっきりする人たちもいたりして。マイナスなものだけじゃないなという気持ちがあったし、湿っぽい印象にはしたくなかったので、アップテンポやミドルテンポのものもしっかり作れたんじゃないかなと思います。
──本作は全曲失恋であることに加えて、これまでにない多彩なアレンジャーさんを迎えています。
前作『コレでしょ』を作った時に、誰かに全部、任せたい!と思って(笑)。アレンジャー志望でもなかったから、自分の中の引き出しの少なさにイライラしたし、2019年はこの人のピアノが好きだなとか、この人にアレンジをやって欲しいなっていう出会いが多くて。それを今回、結実させたというか、自分が好きな人にお願いをしたので、別れがテーマのアルバムですけど、出会った人と一歩距離を縮められた作品になったと思います。
──では、アレンジャーとの出会いを中心に、1曲ずつ詳しくお話を聞かせてください。「Day by Day」はHelsinki Lambda Clubの編曲になってます。
数年前にイベントで対バンした時に衝撃を受けて。曲がいいのはもちろんだけど、特に、ライブパフォーマンスですね。ベースの稲葉(航大)くんの動きがすごく面白くて。同世代で、見てて自分がどんどんステージ近くまで行ってしまうようなアーティストってあまりいなかったんですね。そこからずっと好きだったんですけど、サーキットとかで会ってもご挨拶する程度だったんです。でも、改めてこの曲はヘルシンキがアレンジしてくれたらいいものになるんじゃないかなと思ってお願いしました。
──ヘルシンキには何を求めました?
いつも通りやってください!って言いました(笑)。いつもの彼らの中に混ざりたかったので、女の子とか、コレサワとかは考えずに、いつものヘルシンキのやり方でってお願いしました。自分の好きなアーティストのサウンドで歌うのって、やっぱ単純にアガるなって思ったし、3人のわちゃわちゃした感じもすごく楽しかった。好きな人たちが演奏してる曲の中で歌うっていうだけで、声もテンションが上がってたし、その曲の主人公になり切れたイメージでしたね。
──歌詞は片想いのまま終わった恋ですよね。
思わせぶりをされていた女の子が、この先の未来が見えないならバイバイしようっていう曲。女の子の尊い時間を思わせぶりなやつに使わせたらもったいないと思って書いた曲ですね。
──あはははは。男子としてはどう言っていいのか……。
男性への恨み辛みみたいなアルバムになっちゃったんで、すみませんって感じです(笑)。
──あははは。でも、この男の子も、もう一歩でいく、ギリギリにいるんじゃないかと思います。
ああ、迷ってるんですかねぇ。でも、女の子としてはっきりして欲しいんですよ!やっぱり、じれったい人よりも素直な人がいい。はじまりは強引でいいと思うんですけど、なかなかはじまらなかったパターンですね(笑)。
──お泊まりはしてるけど何もなかったっていう。
そうですね。男が悪いです!思わせぶりな態度をされている女の子はいっぱいいると思うので、その子たちが吹っ切るきっかけとか、次に進むきっかけになったら一番いいなと思いますね。
──「最後の彼女になりかった」の編曲は川口圭太さんです。
2019年にhalcaちゃんに「君だけ」を提供した時のアレンジャーが川口さんで、その時に初めてお会いしたんですね。自分が作曲した曲のアレンジが返ってきた時に、「うちもこんなアレンジで歌いたい!」って率直に思いました。私の今までの曲もちゃんと聴いてくれていて、「こういうのが好きかなって思って入れてみた」って言われて。私の曲でも川口さんとやりたいなと思っていたので、お願いしました。
──コレサワさんらしくもあるんですよね。
そうなんですよ!ピアノとか、グロッケンとか。私の好きなツボをわかってくれてるのか、川口さんも好きな音なのか。全部の音がツボなんですよね。切なくて、可愛いけど、エモい。引き出しも何万個あるんだろうって感じだし、また一緒にやりたいなと思ってます。
──歌詞はタイトル通り、最後の彼女になれなかった女の子の心情ですよね。
好きな人の苗字と自分の名前を合わせて、名前が変わったらどうなるんだろうって。私は特にやっちゃうけど、みんなも、そういう経験はあるかなと思って。
──女子は結婚すると名字が変わりますもんね。
そうなんですよ。やっぱり20代に入って、周りが結婚したりもするし、結婚というカベがあることによって付き合いが変わったりもして。先のことを年齢で気にするようになっちゃうんだっていうのが切ないんですよね。それって、10代の頃とは違った恋愛観だなぁと。10代の頃は、この人と結婚する!みたいな勢いがあるじゃないですか。自分がそういう歳になったのもあると思うんですけど、どの年齢の女の子にも聴いてもらえる曲なんじゃないかなと思います。男子はちょっとどうかわからないですけど(笑)。
──(笑)男もいつかの恋愛を思い出して切なくなったりすると思います。この曲は最後、前向きになってますよね。
好きな人と一緒になることって幸せだけど、それって、ちゃんと一人一人が自立してのことだと思ってて。男の人に寄りかかって、幸せを男頼りにするよりかは、一人で頑張ってる女の人も素敵だなって思うし、振り返った時に、いい思い出だったんだ、これでよかったんだって思えるような進み方をしたいっていうのが私のモットーでもあって。ちゃんと前を向いてる女の子は素敵だと思うし、一人でも幸せになれるっていう気持ちを込めましたね。