兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第14回[8月の巻~後編~]

コラム | 2018.09.08 12:00

8月23日(木) 『メタルマクベス』disc1
@ IHIステージアラウンド東京(豊洲)

アムステルダムとここ豊洲にしかない、客席が360度回ることでステージセットの数や映像の使い方等が画期的に変わるこの劇場の、『髑髏城の七人』に続く興行。「disc1」「disc2」「disc3」とキャストが変わって行く趣向で、私が観たのは最初の「disc1」にあたります。
今回も劇団☆新感線で、いのうえひでのりの演出。『髑髏城の七人』を観た時に「この劇場を使いこなせる演出家、日本にはいのうえひでのりしかいないんじゃないか」と思ったので、次もこの方の舞台だというのは納得。ただ、「生バンドが入る」「円形のステージをバイクなどが走り回る」という、『髑髏城の七人』にはなかった演出に、さらに度肝を抜かれました。
なお、この舞台、シェイクスピアの『マクベス』を、戦争でリセットされた後の2206年の世界と、80年代のジャパメタ・ブームの渦中にいるバンドの物語に二重に置き換えて、宮藤官九郎が脚本を書いたもので、今回が12年ぶりの再演。で、私、『マクベス』って子供の頃『少年少女世界名作文学全集』か何かで読んだきりで、どういう話だったか完全に忘れてたんだけど、いろんな演出にびっくりしながら観ているうちに「ああ、こういう話だった!」「そうだ、このセリフ、後半でポイントになるやつだった!」などと、どんどん記憶が蘇って来るのがちょっと新鮮な体験で、そういうおもしろさもありました。

8月24日(金) 宮崎吐夢『「吐夢の㊙ダイエット手帖」発売記念 真夏のダイエット(orリバウンド)歌謡ショー(仮)』 @ 東京キネマ倶楽部

大人計画の宮崎吐夢が、昨年松尾スズキの舞台『業音』に出るにあたって、役の都合上、演出家(松尾さん)に痩せるよう指示され、それに従って2ヵ月で10キロのダイエットに成功。そのことを綴った『吐夢の㊙ダイエット手帖』の発売記念イベント、という体。ご本人の他、池津祥子、伊勢志摩、根本宗子、金山寿甲、金子鈴幸等が出演、あとシークレットで阿部サダヲも登場。内容は……死ぬほど笑ったけど、いろんな人をネタにしているがあまり、具体的に書くと差し障りがありまくりそうなので自粛します。吐夢さんのライブっていつもそうなんですが。
なお、その『吐夢の㊙ダイエット手帖』、ライブ会場でしか販売しないということだったので買ったんですが、めちゃめちゃおもしろくて一気に読んだ。ちゃんと売らないの、もったいない。大人計画でネット通販とかすればいいのに。せめて電子書籍にするとか。

8月25日(土) 『PEANUTS CAMP 2018』
@ 千葉県市原市・一番星★ヴィレッジキャンプ場 1日目

このDI:GA ONLINEでインタビューやレポなどいろいろ書いて来た、2016年に始まったカジヒデキがキュレーターを務めるキャンプ・フェス、3回目が開催されました。後日ちゃんとしたレポもアップします。とりあえず、1日目に私が観たもの。全部観たのも一部なのも含む。なお、初日の頭、あんまりちゃんと観れていないのは、慣れないタープ張りに長時間四苦八苦したせいです。晴れたけど風が強くて大変だったのでした。それで私のテントのポール、2本のうちの1本が折れました。

台風クラブ→DJみそしるとMCごはん→3人でサービス(曽我部恵一・ワタナベイビー・カジヒデキ)→小山田壮平→曽我部恵一→GRAPEVINE→ピーキャン音頭→スチャダラパー→DJやついいちろう

『ピーキャン音頭』というのは、このフェスのためにカジくんが作った「ピーキャン音頭」を、カジくん&かせきさいだぁ&おみそはんと参加者みんなで踊りまくる、昨年から始まった時間。去年も「こんなにみんな熱く踊るのか!」とびっくりしたけど、今年はそれ以上でした。完全にレイヴだった、なんかもう。

ピーキャン音頭

8月26日(日) 『PEANUTS CAMP 2018』
@千葉県市原市・一番星★ヴィレッジキャンプ場 2日目

ザ・なつやすみバンド→かせきさいだぁ(かせ山達臣)→The fin.→カネコアヤノ→androp→大木温之(Theピーズ)→おとぎ話→カジヒデキ→小西康陽→野宮真貴

お昼くらいに何も観てない時間があるのは、一緒に行った友人一家の娘(3歳)が、笛をマスキングテープで彩ったり、トランポリンに興じたりするのに付き合っていたせいです。というふうに、子供が遊べるものがいっぱいあるところも、とてもいいフェスなのでした。詳しくは後日。

8月27日(月) 奥田民生 @ 広島上野学園ホール

なんで急に広島なのかというと、私、広島出身で、お盆はフェスとかで帰れないので時期をずらして帰るのですが、どうせ帰るなら、ということで、地元で何か観たいライブがある時にぶつけるのが習慣になっているのですね。で、今回はこの、奥田民生が7月の西日本の豪雨災害を受けて急遽始めた樽募金ツアー『カンタンヒキガタビレ』の広島公演と、3日後のフラワーカンパニーズのツアーの時期に合わせたのでした。
なお、この奥田民生のツアー、ちょうどユニコーンがファンクラブのツアー中なので、その日程にくっつける形で迅速にスケジュールを組めた、という事情もあり。この広島上野学園ホールの前日と前々日は、ユニコーン、BLUE LIVE広島でライブでした。
というわけで、奥田民生の他、川西幸一と手島いさむも出演、さらに前日が佐世保のフェス出演だった浜崎貴司も駆けつける、という豪華なメンツ。奥田民生ソロが半分、それ以外は半分くらいのバランスで、川西×テッシー、川西×浜崎、というふうに奥田民生抜きでふたりでやるコーナーもあり、テッシーと浜ちゃんはひとりのコーナーもあり。アンコールは4人勢揃いで2曲、でした。

8月30日(木) フラワーカンパニーズ @ 広島Live Juke

横浜T-SITEに続くツアー『フォークの爆発』の3本目。普段ジャズやアコースティックのライブが中心らしいこのLIVE JUKEというハコ、私、初めて行ったのですが、なんで「Live Juke」という名前なのかというと、ビルの19階にあるからなのね。ということを、行って初めて知りました。しかもステージ後方がガラス張りになっているもんで、広島の夜景を背に演奏するフラカン、という、大変にレアなものを観れました。こんなおしゃれなのこのバンドには合わん!でも素敵!という、ややこしい気持ちを満喫した夜でした。
あ、あと、アコースティックで平日で広島、ってことはもしかしたら集客厳しいかも……と、心配したけど、ほぼ満員でした。安心した。根強い、フラカンの支持ベース。

  • 兵庫慎司

    TEXT

    兵庫慎司

    • ツイッター

SHARE

関連記事

イベントページへ

最新記事

もっと見る