山崎あおいの「ニワカ趣味のススメ」、第2回です。
先日、某ライブの楽屋にて、ドラクエ好き「ガチ勢」vs「ガチ勢」の戦いを目撃しました。アイテムの名前とか、呪文の名前とか、登場人物の名前とか、セリフとか…二人でずっと、マニアックすぎる、早押しドラクエクイズをやっているんです。その光景を眺めながら「ああ…私はニワカだったんだ」と気づいてしまいましたが、実は私も、かなりのゲーム好きなんです。まあニワカですけど。
ゲームが趣味なんです!と言うと、FFやった?ドラクエやった?やってないの?じゃあマリオカートめっちゃ強いとか?となりがちですが、私はそのあたり、スルーしてきてしまったクチです。そもそも、ゲームをやる目的が、ゲーマーの皆さんとは少し違うのかもしれません。ゲームをやっている時間が「楽しい」というより、どちらかと言うと少し苦痛だったりします。
話は逸れますが、人間の快楽について考えたことがあります。例えば私が年収1億円超えの大金持ちになったら、最初の1年はものすごく楽しいと思うんです。毎日美味しいものを食べて、好きな時に寝て、好きな時に遊んで…毎晩寝る前に「今日も最高!」と。先日、家族で調子に乗って、少々お高めなすき焼きを食べに行ったのですが、もう、最高でした。しかし2年目以降、どうでしょう。その快楽に慣れて、何も感じなくなってしまうと思うんです。霜降りのすき焼きも、4日連続で食べたら、普通に胃もたれすると思います。嬉しいことや、楽しいことに対しては、人間、いつか慣れてしまう日が必ずやってきます。
しかし、「苦痛からの解放」と言う意味での快楽は、永遠に快楽であり続けるような気がしています。長時間の仕事が終わった時の開放感、締切に間に合わせた時の開放感…それらは同じことを2年続けても3年続けても「終わったー!」と快楽に浸ることができると思います。
話をゲームに戻しますが、私がハマってしまうゲームはいつも「ホラーゲーム」や「ゾンビゲーム」です。つまりゲームに求めているものは、「苦痛からの解放」です。
一番好きなゲームは、PS3やPS4でプレイできる「THE LAST OF US」という、ゾンビゲーム。簡潔に内容を説明すると、主人公のおじさんになって、ゾンビ(時には人間も)を倒しまくりながら目的地へ向かう、というゲームです。もう、プロローグからエンディングまで、ずーっと陰湿な空気が漂っています。BGMもずっと不穏だし、真っ暗だし、すぐ殺すし、すぐ死ぬし。それを寝る前に1時間くらいプレイして、ゲームの電源を切った瞬間「よかった…こっちの世界に戻ってこれた!」と、本当に、心の底から嬉しい気持ちになります。パッとしない毎日が、途端に「命の危機を感じずに眠れるだけマシな毎日」に変わります。
「ゲーム好き」も様々です。ゲームの世界を愛し、キャラやアイテムの名前を暗記し、攻略する人もいれば、私のように、陰湿なゲームの世界からの解放を楽しむ人がいても良いのではないでしょうか。それをニワカと呼ぶなら呼びたまえ、という感じです。