“純情/妄想ミクスチャー・シンセポップロック”を掲げ、1995~1996年生まれで構成された名古屋発の5人組バンド、The 3 minutes。2017年はトリプルA面シングルをリリース、地元での初の有料ワンマンライブをソールドアウトさせ、全国各地で精力的なライブ活動を行った。12月に新メンバーたかひろ(Gt.)が加入し、3月25日にはTSUTAYA O-nestにて東京での初ワンマンライブが控えているという過渡期の渦中である彼らは、いったいどんな気持ちのもと音楽に向き合っているのだろうか?
まっすぐ想いを伝えればちゃんと返ってくる、そういう空間が幸せ
──The 3 minutesは“純情/妄想ミクスチャー・シンセポップロックバンド”とのことですが、この音楽性に至る経緯とは?
りょう(Vo.)
キャッチーでありながら激しいライブをしたいという気持ちと、作曲をしているのがキーボードのひろ坊というのもあって“シンセポップロック”という音楽性になりました。歌詞は僕が書いているんですけど、“純情”と“妄想”という言葉は自分からフィーチャーされている成分で。純情ゆえに実行に移せずに妄想をしてしまうんですよね(笑)。
ひろ坊(Key.)
僕が音で作った世界観に、りょうが言葉で自分の世界観をつけているという感じですね。
りょう
僕とひろ坊と当時のメンバーが大学1年生になる年に結成して、その当時はどういう音楽性にするかとか、音楽で食べていくなんてことも考えていなくて。でも仲がいいメンバーと一緒にスタジオでああだこうだ言いながら練習したりするのがすごく楽しかったんです。それをずっと続けていきたいからもっと上達したい、もっとお客さんが増えてこれを生業にできれば素敵だなと思っていました。だからライブもお客さんと一緒に楽しい空間を作っていきたいという気持ちが強いんですよね。まっすぐ想いを伝えればちゃんと返ってくる。そういう空間が幸せだなと思いますね。
わたべ(Ba. )
僕はもともと友達が欲しかったから音楽を始めて……スタジオが終わったあとに回転寿司を食べに行ったりするのに憧れていたんです(笑)。みんなで楽しみたいという気持ちは一致していますね。
なおき(Dr.)
僕は身長が小さいから「本当にドラム叩けるの?」とバカにされたりするんです(笑)。僕個人としてはこんな人間でも努力すれば夢を叶えられるんだなと証明したい気持ちもありますね。
──たかひろさんはなおきさんの専門学校時代の1個上の先輩で、学校でバンドを組んでいたという縁で2017年12月に加入したそうですね。
たかひろ(Gt.)
もともと重たいロックをやっていたので、The 3 minutesを初めて聴いたときはポップでキャッチーだなと思いました。メンバーはライブでもどんなお客さんにも楽しんでもらうために心を掴みに行っていて。大きく広くいろんな人に届けようとしているなと思いました。
りょう
たかひろとは、なおきの紹介で知り合って、物腰のやわらかい優しい人だなと思ったんですけど……飲んだときに本性が出てきて(笑)、熱いものを感じたし、必死に僕らに追いつこうとしている姿を見ていると希望を感じるんです。5人の人間でどうバンドを動かしていくかというのは音にもつながってくると思うので、入ってくれて良かったなと思います。どれだけ本気でこのバンドをやってくれるかをいちばんに考えていたので。
わたべ
僕は顔合わせ3時間で加入してほしい!と思いました。そのあとそのまま回転寿司を食べに行って、そこでグルーヴ生まれちゃいましたね。
なおき
たかひろはMIYAVIさんが大好きで、そういう要素をいま制作中の新曲に入れてきたりしてくれているんです。新しいThe 3 minutesの側面が出た楽曲が出来つつありますね。
かっこつけることをやめると、やれることも増えてくる
──The 3 minutesのライブパフォーマンスは、ものすごくまっすぐ全力でお客さんに向かってぶつかっていて、お客さんと同じ目線に立っている印象がありました。昨年リリースされたトリプルA面シングルに収録された「Shiny Days」はライブについて歌った楽曲であることからも、ライブへの想いはかなり強いのかなと。
ひろ坊
ライブは大事ですね。人気のメディアに出たい気持ちももちろんあるんですけど、それよりも日本武道館や名古屋のガイシホールでライブがやりたいですね。僕たちを見るためにお客さんがその場に来てくれることや、楽しんでくれているのを見られるのがうれしいから。
わたべ
ライブは(観客の)温度を感じるから最高ですね。僕はコミュニケーションを取るのが苦手だから、音楽があると人と関われるし楽しいんです。でも有名な音楽番組も出たいですね(笑)。
なおき
ライブは音源で伝えられないことをたくさん伝えられる場所だし、お客さんの楽しんでいる姿や笑顔を見られるので、ライブでそういうシーンを見るたびに「バンドをやっていて良かったな」と思いますね。
たかひろ
演者がエンタテインメントとしての形を見せられるのはライブだし、お客さんのダイレクトな意見で自分が成長できるなと思います。そういう意味でもライブはたくさんやっていきたいですね。
りょう
僕らは学校でいうクラスのイケイケの男女がわちゃわちゃしているところに入っていけないタイプなんです(笑)。僕は休み時間に机に突っ伏してイヤホンをして、音楽ではなくそのイケイケのグループの会話の内容を盗み聞きして、心の中で「僕のほうがもっと面白いこと言えるのに!」って……。普段は寝てばっかりなのに成績が良い、みたいなのがかっこいいと当時の僕は思ってたんですよ(笑)。
わたべ
典型的なアニメ脳やん(笑)。
りょう
友達もできず告白もされず……これはだめだ!と気付いて(笑)。かっこつけてるだけだと自分の良さは伝わらないと思ったし、かっこつけることをやめると、やれることも増えてくるんですよね。ライブは視覚もあるぶん僕ら自身がいちばん楽しみたいと思っているし、僕らが思っていることをちゃんとありのままに伝えれば、お客さんは聴いてくれるし、返してくれると思うんです。ステージ上だったらどれだけ自分が頑張るかで、休み時間に机に突っ伏しながら言いたくても言えなかったことを聞いてもらえるんだ――そう思うんですよね。人気者になりたいという気持ちがひねくれてひねくれて“純情/妄想”というものになって、それが音楽を辞められない理由でもあって。
──飾らないステージを展開する理由には、そんな思いと過去があったんですね。
りょう
「自分たちの想いをもっといろんな人に聞いてほしい」という願望をいちばん叶えられる場所がライブだと感じています。かっこ悪いやつらでもかっこいいライブをしていることを見せていけたらと思いますね。「自分なんかなんもできないし」と思っている人が僕らのライブを観て「あいつらでもバンドできるならやりたいことに挑戦してみようかな、負けたくないな」と思ってもらえたら幸せです。